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荒川秀俊が著書『実録大江戸壊滅の日』に記した格言（気象学者）[今週の防災格言459]

time 2016/10/03

folder 先人たちの防災格言学者、思想家

荒川秀俊が著書『実録大江戸壊滅の日』に記した格言（気象学者）[今週の防災格言459]

『今までの経験によると、東京の山の手方面はわりに震災を受ける率が低く、江東方面とか新しい干拓地では震災を受ける率が高いといわれているが、安政の江戸地震もその例にもれるものではないようである。』

荒川秀俊（1907〜1984 / 気象学者・災害史家元気象庁気象研究所長）

格言は江戸時代の災害についての古文書を現代語訳した著作『実録大江戸壊滅の日（昭和57年）』のあとがきより。

安政江戸地震は、160年前の1855（安政2）年に東京で発生したM6.9の直下型地震で、とくに深川、本所、浅草、下谷での被害が大きく、江戸市中の死者は10,000人にのぼったとされる震災。

荒川秀俊（あらかわひでとし）は、近代気象学の開拓者の一人として、理論気象学を応用した天気予報の技術向上に多大な貢献をされ、日本付近の気団論「シベリア気団」や「小笠原気団」の分類・命名者としても知られる人物。理学博士。

福島県白河市生まれ。荒川家は下野国（栃木県）壬生藩で馬廻り役を務めた武士の家系にあり、父親もまた馬専門の獣医だった。元藩士という厳格な家庭に育ち、小学生から四書五経などを読む神童であったという。
福島県立安積中学校（旧制）、宮城県仙台市にある旧制・第二高等学校 (後の東北大学) を経て、東京帝国大学理学部物理学科に入学。大学で上京してからは終生を東京で暮した。1931（昭和6）年、東京大学を卒業すると同時に中央気象台（現気象庁）入り、後に第5代中央気象台長となる藤原咲平（1884〜1950）に師事し、各種気象調査に従事した。1941（昭和16）年からは東京帝大工学部の講師を兼任し、1943（昭和18）年には陸軍の依頼で偏西風を利用した風船爆弾の気象調査を行った。敗戦後は、中央気象台、気象研究所で研究のかたわら東大講師を兼任。1964（昭和39）年には福岡管区気象台長、1966（昭和41）年に気象研究所長となり、1968（昭和43）年4月に気象研究所長を停年退職。同1968（昭和43）4月に東海大学教授（理学部及び教養学部）として物理学や気象学を講じ、1983（昭和58）年に後事を気象庁出身者に託して退職。1984（昭和59）年12月23日、心不全により死去。77歳。

著書に「気象力学」「気象熱力学」「戦争と気象」「気象学発達史」「お天気日本史」「日本気象学史」「日本と世界の気象」「近世気象災害志」「災害の歴史」「異国漂流物語」「江戸幕府代官史料」など。
荒川秀俊
写真Wikipediaより