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イレーナ・シンガー(1944?~2009 / アメリカの心理療法士)の著書「災害で傷ついたあなたへ~自分のこころをケアする方法」の被災疲れの対処についての名言 [今週の防災格言644]

time 2020/04/27

イレーナ・シンガー(1944?~2009 / アメリカの心理療法士)の著書「災害で傷ついたあなたへ~自分のこころをケアする方法」の被災疲れの対処についての名言 [今週の防災格言644]

『 心のあり方はエネルギーレベルに対応する。 』

 

イレーナ・シンガー(1944?~2009 / アメリカの心理療法士)

 

格言は著書(翻訳・栗原泉)『災害で傷ついたあなたへ~自分のこころをケアする方法』(阪急コミュニケーションズ 2012年)の第四章「被災疲れ」より。(原題:Emotional Recovery After Natural Disasters: How to Get Back to Normal Life by Ilana Singer (Idyll Arbor,Inc. December 17, 2000))

曰く―――。

《 心のあり方はエネルギーレベルに対応する。エネルギーに満ちていれば、気分がよく、頭のなかでは肯定的な声が響くだろう。反対にエネルギーレベルが低ければ、元気がなく、否定的な声が聞こえてくる。次の四点を心にとめてほしい。

一、否定的な心の持ち方は身体の摩耗につながる。
二、トラウマを負うと、否定的な感情に耳を傾けがちになる。
三、苛立ちは身体のエネルギーを枯渇させ、人を疲労させる。
四、重要なのは起きたことではなく、それをどう受け止めるかである。

のんびり構えることを意識的に心がけよう。決まった日常のスケジュールをこなせば、トラウマを負った心の要求をいくらかでも和らげることができるだろう。
自分の状況をよく理解することが大切だ。あなたは家の建て直しや引っ越しなどで長い間苦労をし、たいへんな犠牲をはらった。だが、被災者はたいてい自分が疲れていることにはなかなか気づかない。絶え間のない苛立ちや苦労が重なれば、エネルギーが奪われるのは当然だと知ってほしい。あなたのエネルギーが低下しているのは精神的苦労がたまっているからで、それは正常なストレス症状であり、この試練を乗り越える機会をひとたび掴めば消えてなくなるものだ。 》

 

イレーナ・シンガー(Ilana Girard Singer)教授は心理療法士として1972年来34年間にわたって自然災害などでトラウマを負った人たちのメンタルヘルス治療に従事した人物。

カリフォルニア大学バークレー校およびカリフォルニア州立大学ヘイワード校を卒業。その後、アメリカ合衆国カリフォルニア州オークランドにある精神的トラウマをはじめとするあらゆるメンタルヘルスの問題を扱う医療外のメンタルヘルスクリニック「反対条件づけ療法センター(Center for Counter-Conditioning Therapy)」の共同運営者となる。人間行動学の研究をもとにしたメンタルヘルスの効率的な治療法「C-Cセラピー(C-C Therapy)」を提唱し、1985年に女性部門を設立。C-Cセラピー教授、心理療法士、臨床民族学者(Clinical Ethnologist)として、患者たちの精神的な混乱に対処し克服する方法を教えている。特に、サンフランシスコ湾岸の住家3,000棟が全焼し25名が亡くなった1991年10月のオークランド大火事の被災者らのメンタルヘルスおよび生活再建支援で活躍。イーストベイ・ジャーナル誌で3年間「セラピスト・コラム」を執筆。著書に、様々な自然災害に見舞われてトラウマを負った多くの人達のケーススタディーをもとに、子供や高齢者など年齢別のアドバイスとともに自分で「心の傷」を癒すための心理療法を解説した『災害で傷ついたあなたへ~自分のこころをケアする方法』など。
2009年2月2日、カリフォルニア州ピエモンテにて死去。64歳。


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<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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