『 逃げるときめたからには、もの惜しみしないことが肝心である。 』
河合隼雄(1928〜2007 / 臨床心理学者 京都大学名誉教授 文化庁長官)
格言は著書『こころの処方箋(新潮文庫 1998年)』の「33 逃げるときはもの惜しみしない」より。
曰く―――
『 火事のとき一旦は逃げておきながら、今のうちなら少しは持ち出せると考えて、火のなかに飛びこんで死ぬのは、まったく馬鹿げたことである。しかし、うまくゆけば少しは損をせずにすんだのにと思えるわけだから、なかなかその判断は難しい。それでも、やはり命あってのことだから、逃げるときめたからには、もの惜しみしないことが肝心である。 』
日本のユング心理学の第一人者である河合隼雄(かわい はやお)氏は、男ばかりの7人兄弟の五男として兵庫県篠山市生まれた。1952年に京都大学理学部を卒業後、アメリカ留学を経て、スイスのユング研究所で日本人として初めてユング派分析家の資格取得。帰国後、幾多のカウンセリングを手がけ国際箱庭学会や日本臨床心理士会の設立など国内外におけるユング分析心理学の草分けとして活躍された。その一方で、故小渕恵三(1937〜2000)首相の私的諮問機関「21世紀日本の構想」懇談会座長、第一次小泉内閣時代の2002年2月から安倍内閣時代の2007年1月まで17年ぶりとなる民間人登用の文化庁長官を務めるなど日本の政治・教育分野で幅広い貢献された。『昔話と日本人の心(1982年)』で大佛次郎賞、『明恵 夢を生きる(1988年)』で新潮学芸賞受賞など著作多数。1995年紫綬褒章受章、1996年日本放送協会放送文化賞、1998年朝日賞受賞。2000年文化功労者顕彰。2006年8月に脳梗塞で倒れ、翌2007年7月19日逝去。
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