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2022年5月の 防災・危機管理ニュース をピックアップしてお届けします。
【 2022年5月1日~5月31日 】

time 2022/05/31

2022年5月の 防災・危機管理ニュース をピックアップしてお届けします。<br />【 2022年5月1日~5月31日 】
表紙画像:【首都直下地震】最大死者6100人、東京都が10年ぶり被害想定

【2022年5月1日~5月31日】
今月の防災・危機管理ニュース
ピックアップ13選

 


 


【首都直下地震】
最大死者6100人、東京都が10年ぶり被害想定 食料枯渇や長期停電「災害シナリオ」初公表

東京都で5月25日、10年ぶりとなる首都直下地震の新たな被害想定が発表されました。最大の被害が想定される都心南部直下地震(M7.3)では、約19万4400棟の建物が全壊・焼失し、約6100人が死亡すると試算されました。これまで住宅の耐震化など防災・減災の取り組みが進んだ結果、前回10年前(2012年)の想定から4割程度被害が減少していることが特徴。今回の想定見直しは、この10年の時間経過による耐震化率の増大や都市状況の変化を反映したもので、東京都では今後新たな地域防災計画を策定するとしている。

 


【動物由来のウイルス感染症“サル痘”世界流行】
感染拡大の原因不明 WHO警戒「極めて異常だ」

天然痘に似た症状が出るウイルス性疾患「サル痘」の発生状況について、世界保健機関(WHO)は5月29日、サル痘を風土病とする地域以外の23カ国で計257人の感染が確認され、約120人が疑い例として報告されていると発表した。サル痘の集団発生が広域に分散して見つかった例は過去になく、世界的な公共保健上のリスクは中程度とされる。今後、幼い子どもや免疫不全患者など高リスクの集団に感染が広がり始めた場合は、公共保健上のリスクもさらに高まる恐れがあるという。サル痘は、感染症法上の4類に位置付けられていて、患者が確認されたら直ちに届け出る必要があります。日本国内では、これまでに患者の報告はありません。
5月24日、後藤厚生労働大臣は「発生動向を監視し、必要な対応を取っていきたい」と警戒感を強めました。厚労省では、患者の「疑い例」であっても国に報告するよう都道府県などに求めています。

 


【米バイデン大統領来日】
日米豪印「Quad(クアッド)」首脳会談など東京で開催

5月23日に行われた岸田首相とバイデン米大統領の首脳会談は、東アジアで軍事行動を活発化させている中国やロシアに対抗し、日米が外交・安全保障や経済で主導的な役割を果たすことが確認された。5月23日~24日には日米豪印による「Quad」(クアッド)の首脳会談が東京で初めて開催された。
5月以降、中国軍の空母「遼寧」などの7隻の艦艇が、沖縄県の南方、台湾の東方の太平洋上となる沖縄周辺海域で、戦闘機などの発着艦訓練を300回以上行い、日本で首脳会談が行われた期間中も、5月20日には中国海軍のミサイル駆逐艦が沖縄本島と宮古島の間の海域を航行し、また爆撃機2機も沖縄本島と宮古島の間を往復するなど「台湾侵攻を想定した演習」とみられる行動が確認されている。
クアッド開催時となる5月24日には、中国とロシアの爆撃機が共同で日本周辺を飛行し、クアッド直後となる5月25日には北朝鮮がICBMなど計3発の弾道ミサイルを発射している。

 


【食料安全保障】
小麦高止まりが続く…ウクライナ侵攻で穀物輸出停滞「世界的な食料不足に」ロシアを非難

ロシア軍が、穀物の輸出拠点であるウクライナの港湾を封鎖しているため、ロシアによるウクライナ侵略以降、穀物価格が高騰し、世界的な食料危機が深刻化し始めている。ウクライナは世界の小麦輸出の約1割を占めているが、ロシア軍の妨害によりウクライナの港湾で足止めされている穀物は2500万トンに上るという。多くの食料を輸入に頼る日本にとって、食料安全保障は大きな課題であり、小麦や大豆などの価格上昇で、国内でも幅広い食品に値上げの動きが広がっている。
5月12日、ドイツ北部バイセンハウスで先進7カ国(G7)外相会議が開幕し、議長国ドイツのベーアボック外相は開幕に当たり、ロシアのウクライナ侵攻が「欧州だけでなく、世界の危機になった」と指摘し、食料危機もその一環として「G7は阻止する」と断言した。
5月18日、アメリカのブリンケン国務長官のイニシアチブにより、ニューヨーク国連本部で「グローバルな食料安全保障のための行動要請に関する閣僚会合」が開催された。この会合で国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、ロシアによるウクライナ侵攻のため「今後何カ月かのうちに世界的な食料不足が発生する恐れがある」との警告を発し、ロシアに輸出を認めるよう求めました。また、ウクライナの輸出が戦争前の水準に戻らなければ、世界は何年にもわたって飢饉に直面する可能性があると付け加えています。

 


【防衛装備品の輸出規制緩和へ】
日本政府は年度内に戦闘機やミサイルなど防衛装備品の輸出規制を緩和する方針

日本経済新聞の取材で、日本政府が今年度内にも、個別に協定を結んだ国への戦闘機やミサイルなど防衛装備品の輸出に関する規制を緩和することが分った。これまで1967年の武器輸出三原則で武器の輸出が原則禁止されていたが、安倍内閣時代の2014年に一部規制が緩和されたが、殺傷能力のある装備の輸出禁止となっていた。

 


【黒潮大蛇行】
1965年の統計開始以来、過去最長を更新「発生4年9か月」…関東~東海の高潮注意

船舶の経済的運航コースや、漁場の位置や魚種、沿岸の海洋環境に影響を与える「黒潮」の流れ。2017年8月下旬から「黒潮」が紀伊半島から東海沖で大きく離岸して流れる大蛇行の状態となり、現在もその状態が続いています。1965年の統計開始以降で、黒潮大蛇行は今回を含め6回発生しており、2017年8月に始まった今回の大蛇行は、2022年4月で継続期間4年9か月となり過去最長を更新しました。気象庁によると、最新の海流の予測資料によれば、今後も黒潮大蛇行が継続する見通しとのことです。
黒潮大蛇行の影響としては、令和元年東日本台風が北上した際に、東海地方で黒潮大蛇行の影響で潮位が通常より10~20cm程度上昇していたところに台風の接近・通過に伴う潮位上昇が重なったため、清水港(静岡県)など一部の観測地点では過去最高潮位を記録し、高潮による浸水被害が発生しています。

 


【気候変動・集中豪雨が倍増】
地球温暖化などの影響「線状降水帯」が発生しやすくなった(気象庁気象研究所)

いよいよ6月1日からスタートする「線状降水帯予報」。この発達した積乱雲が次々と流れ込む「線状降水帯」などでもたらされる「集中豪雨」の頻度が、この45年間で2倍余りに増えていることが気象庁気象研究所の分析でわかりました。特に梅雨にあたる6月や7月では3.8倍となっており、専門家はこれからの時期、気象情報などに十分、注意してほしいと指摘しています。
気象研では、線状降水帯が発生する可能性が高い「3時間降水量130ミリ以上」のケースを集中豪雨として分析。1976年~2020年に全国のアメダスで観測されたデータを調べたところ、集中豪雨の発生頻度は年間で2・2倍に、梅雨末期の7月は3・8倍に増えていました。近年7月に豪雨災害が相次いでおり、西日本豪雨(2018年)や九州豪雨(2020年)では線状降水帯も現れた。台風・災害気象研究部の加藤輝之部長は「過去に集中豪雨がなかった地域でも発生のリスクが高まっている。危機意識を一層引き上げてほしい」と話しました。

 


【コロナ禍でのマスク着用目安…政府見解発表】
屋内でも「2m以上の距離・ほとんど会話なし」ならマスク不要

5月10日、東京都医師会の尾崎治夫会長は記者会見で、新型コロナウイルス感染対策のマスク着用について、屋外は感染リスクが低いと考えられるとして「着用を見直してもいいのでは」と述べ、屋内に関しては、飲食店など「リスクが高い場所には、抗原検査でかかっていないと確認して行く。マスク一本やりではなく、抗原検査をうまく使い分けていく時代に入っていかなければならない」との考えを示した。
5月19日に開催された新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」では、屋外でのマスク着用について専門家有志らが、「周囲で会話が少ない場合は必要ない」とする提言を示し、一時的に推奨している2歳以上の未就学児の着用も見直すよう求めた。
5月20日には、政府・後藤厚生労働相が、新型コロナウイルスのマスク着用に関する見解をまとめ発表しました。
これらを受けて、厚生労働省は5月25日、20日に発表した政府見解をわかりやすく伝える狙いから、新型コロナウイルス対策としてマスク着用が必要かどうかの目安を示すイラスト入りのチラシを作成し公表しています。

 


【福島県いわき市で震度5弱】
茨城県沖を震源、M6.0…国内で震度5以上は今年7回目

5月22日(日曜日)12時24分頃、茨城県沖を震源とする地震で福島県いわき市で震度5弱が観測され、地震の影響で、東北新幹線では一時的に停電が発生し、新白河―白石蔵王駅間の上下線で約10分間、運転を見合わせた。この地震で、福島県浜通りでは、長周期地震動階級2が観測され、この地域の高層ビルの高層階などでは、物につかまらないと歩くことが難しい、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがあるなどの大きな揺れになった可能性があります。震源の深さは暫定値で5kmとされ、この領域では地震の少ない深さでした。深さが浅い地震は、規模の割に揺れが大きくなる傾向があるため今後の余震にも注意が必要です。
去年2021年8月4日に発生した茨城県沖のM5.4、深さ6kmの地震の後には同規模の余震が2回起きました。2022年5月29日15時55分頃には、今回の地震の余震とみられる最大震度4(M5.4)の地震が発生しました。
尚、今回の震源に近い茨城県沖~福島県沖の浅い所で起きた有感地震は2011年3月の東日本大震災を引き起こした超巨大地震以降に増えている傾向がありますが、国内で震度5弱以上の地震が発生するのは、2022年4月19日の茨城県北部を震源とする地震以来で、今年に入ってから7回目となり、茨城県沖を震源とする地震に限ると2020年11月22日以来の発生となる。

 


【火山噴火・焼岳(長野・岐阜)】
噴火警戒レベル2に引き上げ…火口域から1キロは噴石に警戒

5月23日午後11時頃から山頂付近を震源とする微小な火山性地震が増加していることから、気象庁で5月24日、長野・岐阜の両県境にある焼岳(2455メートル)の噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から2(火口周辺規制)に引き上げられました。火口域から約1キロの範囲は噴石に警戒するよう呼びかけています。焼岳では1962年~1963年にかけて山頂付近で断続的に中規模の水蒸気噴火が起き、1995年2月には焼岳山頂付近の工事現場で水蒸気爆発とそれに伴う土砂噴出が発生し、作業員4名が犠牲となっている。

 


【火山噴火・口永良部島】
噴火警戒レベル2→1へ引き下げ(レベル1は2014年8月以来、約7年10か月ぶり)

7年前の2015年5月29日、口永良部島(くちのえらぶじま・屋久島町)の新岳で爆発的噴火が発生し、噴煙は火口から9000メートル上空にまであがり、火口から流れ出た火砕流は、2キロ先の海岸や集落近くまで達しました。噴火警戒レベルは国内で初めて「レベル5(避難)」に引き上げられることになり、一時、住民137人全員が島外へと全島避難することになりました。およそ7カ月の避難生活を経て住民らは島に戻りました(現在は69世帯108人が島で生活しています)。5月25日、噴火警戒レベルが8年ぶりに「1」に引き下げられましたが、島では噴火への備えが続いています。

 


【上海ロックダウン】
6月1日に実質解除…封鎖から2か月

5月30日、中国上海市当局は、2カ月に及ぶロックダウン(都市封鎖)を6月1日深夜に解除すると発表した。上海の人口の9割以上にあたる市民に外出を許可するほか、10日以内に新規感染者が出た地区などを除き、居住エリアへの出入りなどの規制を取りやめ、地下鉄やバスなどの運行も再開させ自動車での移動制限も解除するという。その一方で、一部のオフィスビルなどでは出勤者を3割~5割に抑えるよう通知が出されており、自主的な行動制限は当面、続く予定。
中国最大の経済都市・上海市では、新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、3月28日からロックダウン(都市封鎖)が始まって以降、市民らは約60日間以上、自宅隔離の状態が続いていた。

 


【原発甲状腺癌訴訟】
福島原発事故の放射線被曝で小児甲状腺がんが発症したとする審理始まる(東京地裁)

東京電力福島第1原発事故の放射線被曝により小児甲状腺癌を発症したとして、事故当時6~16歳で福島県内に住んでいた男女6人が東電に計6億円余りを損害賠償請求した訴訟の第1回口頭弁論が5月26日に東京地裁(馬渡直史裁判長)で開かれた。事故による放射線被曝と癌発症の因果関係が争点となる。原告側は、福島県が当時18歳以下を対象に行ったスクリーニング検査で計約38万人のうち約300人が甲状腺癌と診断され、発症率は通常の数十倍に上ると指摘し「放射性物質が甲状腺癌の原因物質であることは学術的に確立されている」と述べた。

※余談※ 原子力事故で放出される放射性ヨウ素は、のど仏の下の甲状腺に集まり癌を引き起こす可能性があり、特に若い世代が影響を受けやすいと考えられている。「放射性ヨウ素131」は半減期が約8日と短いために迅速な測定が必要です。今年(2022年)4月6日、国の原子力規制委員会で、原子力発電所で重大事故が発生した場合の「原子力災害対策指針」が改訂されましたが、このなかで、甲状腺の被曝線量測定について「18歳以下の男女、妊婦、授乳中の女性を対象とした簡易測定を、放射性物質を吸い込んだとみられる日から約3週間以内に行い」「のど近くの放射線量が一定値以上の場合は、吸い込んでから約4週間以内に地域の中核的な医療機関などで詳細な測定を行う」とされています。

 

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