【2023年5月1日~5月31日】
今月の防災・危機管理ニュース
ピックアップ13選
- 【能登半島沖地震・石川県珠洲市で震度6強(M6.5)】死者1人、重軽傷45人、住宅被害772棟 [2023/05/05]
- 【地震多発】5月だけで震度5弱以上が6回、震度4は17回、2016年4月以来の多さに [2023/05/31]
- 【伊豆諸島の新島・神津島近海の群発地震】24時間で43回の有感地震 過去には三宅島噴火も [2023/05/22]
- 【北朝鮮からミサイル発射(発射失敗)】沖縄に一時“Jアラート”発令「正常作動」[2023/05/31]
- 【大型で強い台風2号】台風の動き遅く影響長引くおそれ [2023/05/31]
- 【中国でコロナ再拡大中】2023年6月末に約6500万人感染で、第2波ピークか?[2023/05/29]
- 【新型コロナ】5月8日「5類移行」[2023/05/08]
- 【中央防災会議(第43回)】政府の中央防災会議(会長・岸田文雄首相)開催 [2023/05/30]
- 【日本海溝・千島海溝地震対策】警察、消防、自衛隊 最大15万人規模の広域応援部隊を派遣へ [2023/05/23]
- 【日本版CDCの関連法成立】米CDC(疾病対策センター)をモデルに「国立健康危機管理研究機構」創設(参院で可決)[2023/05/31]
- 【国土強靭化】防災や減災の緊急対策についての報告書を公表(会計検査院) [2023/05/17]
- 【被災度区分判定】被災家屋の危険度を判定する有資格者がピーク時の2割以下に急減 [2023/05/24]
- 【amazon.comが日本に災害救援拠点を設置】配送網生かし無償で迅速に物資発送 [2023/05/23]
【能登半島沖地震・石川県珠洲市で震度6強(M6.5)】
死者1人、重軽傷45人、住宅被害772棟 [2023/05/05]
大型連休中の2023年5月5日(金曜日)14時42分頃、石川県珠洲(すず)市で最大震度6強を観測する大きな地震がありました。震源は石川県能登地方、規模はマグニチュード6.5、震源の深さは12kmで、各地の震度は、石川県珠洲市(震度6強)、能登町(震度5強)、輪島市(震度5弱)でした。また、同日21時58分頃には、マグニチュード5.9の最大余震も発生し、珠洲市(震度5強)、能登町(震度5弱)で観測されています。この地震で梯子から転落した60歳代の男性1人が搬送先の病院で死亡したほか、重傷2人、軽傷42人、住家全壊22棟、半壊81棟、一部損壊669棟(いずれも石川県)が出ています。
能登地方では2020年12月から2年以上にわたって活発な地震活動が観測されており、珠洲市では2022年6月19日に震度6弱(M5.4)、その翌日に震度5強(M5.0)の強い揺れに相次いで見舞われており、今回の地震は一連の地震活動では最大規模となります。
翌5月6日、政府の地震調査委員会は臨時会議を開き、これらの地震活動では地下の流体の移動が関与している可能性があることが改めて指摘されました。平田直委員長(東京大名誉教授)は記者会見で「地下では、まだ私たちの理解が及ばない現象が起きている。引き続き研究を深めていく必要がある」と述べました。また、国土地理院が地球観測衛星「だいち2号」のデータを分析したところ、珠洲市北部の震源周辺が上向きもしくは西向きに約20センチ動いていたことを確認されました。
国土交通省 > 石川県能登地方を震源とする地震について(2023/05/31現在)
内閣府 > 石川県能登地方を震源とする地震に係る被害状況等について(2023/05/18現在)
読売新聞 > 震度6強の珠洲、20cmの地殻移動…地震調査委「理解が及ばない現象起きている」(2023/05/06)
【地震多発】
5月だけで震度5弱以上が6回、震度4は17回、2016年4月以来の多さに [2023/05/31]
5月は日本各地を比較的強い地震が襲いました。震度3以上の地震が40回以上、震度4以上の地震は17回に上り、震度5弱以上の地震は6回を数えています。震度3以上の地震が1か月に40回以上となったのは2021年4月以来で、震度4の回数も北海道胆振東部地震が発生した2018年9月以来の多さとなり、震度5弱以上が6回というのは熊本地震が起きた2016年4月以来の多さとなります。5月5日の石川県能登地方地震では石川県(珠洲市)で震度6強、同日の余震で震度5強を観測しました。5月11日には千葉県南部地震(M5.4)で千葉県で震度5強、5月13日にはトカラ列島近海地震(M5.1)鹿児島で震度5弱、5月22日には新島・神津島近海地震(M5.3)利島(東京)で震度5弱、5月26日には千葉県東方沖地震(M6.2)千葉県と茨城県で震度5弱が観測されています。
ウェザーニュース > 【2023年5月の地震】震度5弱以上が6回 2016年4月以来の多さに(2023/05/31)
ウェザーニュース > 千葉県東方沖でM6.2の地震 茨城県・千葉県で震度5弱 津波の心配なし(2023/05/26)
ウェザーニュース > 東京 伊豆諸島 利島村で最大震度5弱 新島・神津島近海でM5.3の地震 津波の心配なし(2023/05/22)
ウェザーニュース > トカラ列島近海でM5.1の地震 最大震度5弱 津波の心配なし(2023/05/13)
ウェザーニュース > 千葉県南部の地震で震度5強 M5クラスの規模は11年ぶり(2023/05/11)
【伊豆諸島の新島・神津島近海の群発地震】
24時間で43回の有感地震 過去には三宅島噴火も [2023/05/22]
5月22日(月曜日)16時42分頃、伊豆諸島の新島・神津島近海を震源とする地震があり、東京都利島村で震度5弱が観測されました。震源の深さは11キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.3と推定されます。主な震度は、東京都新島村で震度4、静岡県牧之原市と東伊豆町で震度3など。新島・神津島近海は5月21日から地震活動が活発になっていました。過去には4~5年に1回程度、群発地震が活発化しています。伊豆諸島では2000年6月~8月の3ヶ月には有感地震が約1万4200回に上り、震度6弱から5弱の地震が30回起き、8月に三宅島が噴火しました。海底下のマグマの動きが地震を起こしていると考えられています。
ウェザーニュース > 新島・神津島近海の地震活動続く 24時間で40回超の有感地震を観測(2023/05/23)
静岡新聞 > 伊豆諸島・利島、震度5弱 東伊豆と牧之原で震度3 古村孝志氏「南海トラフとは別の活動」(2022/05/23)
【北朝鮮からミサイル発射(発射失敗)】
沖縄に一時“Jアラート”発令「正常作動」[2023/05/31]
5月31日朝、韓国軍は北朝鮮が南に向けミサイルを発射したと発表し、韓国政府は、ソウルや北朝鮮に近い地域に警戒警報を発令し避難準備を呼びかけました。日本でも朝6時30分、沖縄県にJアラートが発出されました。北朝鮮は、5月29日に海上保安庁に対し、5月31日の午前0時から6月11日の午前0時までの間に「人工衛星」を打ち上げると事前通告していました。北朝鮮による衛星と称したミサイルの打ち上げは2016年以来、7年ぶりとなります。また、北朝鮮による飛翔体の発射は4月13日の新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星18」以来となります。発射から2時間半後には北朝鮮メディアは弾道ミサイル(軍事偵察衛星)の打ち上げについて「推進力を失い墜落した」と失敗したこと認める報道を伝えるとともに、なるべく早いうちに2回目の発射を断行すると強調しました。
読売新聞 > 朝鮮中央通信「軍事偵察衛星の発射時に事故発生」…発射からわずか2時間半後に発表(2023/05/31)
読売新聞 > 北朝鮮のミサイルは墜落、朝鮮中央通信が失敗認める…できるだけ早期の再発射を主張(2023/05/31)
読売新聞 > 早朝からミサイル、Jアラート鳴り響く…石垣市民「台風で軌道を外れ落ちるかもと不安だった」(2023/05/31)
【大型で強い台風2号】
台風の動き遅く影響長引くおそれ [2023/05/31]
5月31日(水曜日)、気象庁によりますと、大型で強い台風2号(マーワー)は宮古島の南の海上を北北東にゆっくりと進み、31日正午現在で沖縄本島の一部が風速15m/s以上の強風域に入っており、今後もゆっくりと北上しますが、動きが遅いことで沖縄では大雨や暴風、高波などの影響が長く続くおそれがあります。
【中国でコロナ再拡大】
2023年6月末に約6500万人感染で、第2波ピークか?[2023/05/29]
中国で新型コロナウイルスの感染が再拡大している。感染症研究の第一人者である鍾南山氏は、5月22日の広東省のフォーラムで、第2波は4月中旬に始まったと指摘し、2023年6月末に第2波がピークを迎えるとの見方を示しました。鍾南山氏によると、1週間あたりの新規感染者は5月末に約4千万人に、6月末にピークの約6500万人に達すると予想しています。専門家からは「消費を押し下げる要因となる」との警戒が広がる一方、経済全体への影響は限定的との見方もあります。
【新型コロナ】
5月8日「5類移行」[2023/05/08]
厚生労働省は5月19日、5月8日~14日の1週間に全国約5000か所の定点医療機関から報告された新型コロナウイルスの感染者数は計1万2922人で、1医療機関あたり2.63人だったと発表しました。新型コロナの感染症法上の分類が5類に引き下げられたことに伴い、感染者数の「全数把握」が7日で終了し、インフルエンザと同様の「定点把握」に移行してから初めての公表となります。
読売新聞 > コロナ感染者は1医療機関あたり2・63人、厚労省「緩やかだが拡大局面」…初の「定点把握」公表(2023/05/19)
NIID国立感染症研究所 > 新型コロナウイルス感染症サーベイランス速報・週報:発生動向の状況把握(2023/05/26更新)
【中央防災会議(第43回)】
政府の中央防災会議(会長・岸田文雄首相)開催 [2023/05/30]
5月30日、政府で昨年(2022年9月30日)以来となる中央防災会議(会長・岸田文雄首相)が開催されました。会合では、国の防災基本計画の修正案が決定され、この中で、地域の実情に応じた被災者への支援として「災害ケースマネジメント」と呼ばれる被災者一人一人の事情に寄り添った取り組みの整備が新たに盛り込まれたほか、去年4月の北海道知床半島沖の観光船沈没事故を受け小型旅客船の安全対策の強化を盛り込んだ「海上災害対策」も修正されました。
「災害ケースマネジメント」は、東日本大震災など過去の災害で災害関連死が相次いだことなどから一部自治体で導入されていたもので、避難所だけでなく自宅で避難する人など被災者それぞれの事情に応じきめ細かな支援を行うことで災害関連死の防止や生活の再建に結び付くとされています。
【日本海溝・千島海溝地震対策】
警察、消防、自衛隊 最大15万人規模の広域応援部隊を派遣へ [2023/05/23]
5月23日、政府の中央防災会議の幹事会は、北海道から東北地方の太平洋沖で発生する恐れのある日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に備え、警察、消防、自衛隊から最大で計15万人規模の広域応援部隊を派遣する応急対策計画を決定しました。想定される被害規模に応じて北海道に7割、青森、岩手、宮城の東北3県に3割を送るほか、被災地が積雪寒冷地である点を踏まえ、応急に必要な道路の除雪や低体温症などの対策も盛り込まれました。計画では、人命救助に重要な「発災後72時間」の対応を含め、緊急輸送ルート確保や救助、医療の提供、物資・燃料の供給といった各分野の取り組みを示した。災害時は自治体による被害の全容把握が困難になるため、政府は地元からの要請を待たずに「プッシュ型」で支援するとしています。
日本海溝・千島海溝沿いの領域では、マグニチュード7~9の大小さまざまな規模の地震が多数発生しており、2011年の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では死者・行方不明者が2万人を超えるなど、主に津波により甚大な被害が発生しました。また、それ以前にも、1896年の明治三陸地震や869年の貞観地震など、巨大な津波を伴う地震が繰り返し発生しています。
【日本版CDCの関連法成立】
米CDC(疾病対策センター)をモデルに「国立健康危機管理研究機構」創設(参院で可決)[2023/05/31]
5月31日の国会・参議院本会議で、今後の感染症禍に備えてアメリカ合衆国のCDC(疾病対策センター)をモデルにした「国立健康危機管理研究機構」を創設する法律が自民、公明両党などの賛成多数で可決・成立しました。新型コロナ感染症の対応を教訓に、今後新たな感染症の発生に備え基礎研究などを行う「国立感染症研究所」と、臨床医療を行う「国立国際医療研究センター」を統合し新たに「国立健康危機管理研究機構」を創設するもので、政府は2025年度以降の設立を目指すとしています。関連法では、感染症拡大の危機が起きた場合、首相が「必要があると認めるとき」は、政府対策本部の会議に機構の理事長や役員、職員を出席させ、意見を述べさせることができると規定しました。
NHK > 「国立健康危機管理研究機構」創設 参院本会議で可決・成立(2023/05/31)
読売新聞 > 日本版CDCの関連法成立…コロナ教訓踏まえ、感染症研究の中核的な役割に期待(2023/05/31)
読売新聞 > 感染症対策 新体制へ 「日本版CDC」法成立(2023/06/01)
【国土強靭化】
防災や減災の緊急対策についての報告書を公表(会計検査院) [2023/05/17]
会計検査院は5月17日、「国土強靭化」を掲げて国が2018年度から3年の計画で行った防災や減災の緊急対策についての報告書を公表しました。検査院は、計画を決めた当初の内容に明記されていない事業(緊急輸送道路ではない道路で無電柱化が行われたケース等)が合わせて672億円余りに上っているほか、事業断念や規模縮小の「不用額」も2237億円となり、事業の総合調整を担う内閣官房が国費支出の全体額を集計せず、国土交通省など5省もそれぞれ支出額を正確に把握していなかったと指摘し、改善を求めました。
読売新聞 > 事業断念や規模縮小の「不用額」2237億円…豪雨など緊急対策、内閣官房も国交省も把握せず(2023.05.17)
【被災度区分判定】
被災家屋の危険度を判定する有資格者がピーク時の2割以下に急減 [2023/05/24]
読売新聞の記事。一般財団法人・日本建築防災協会(東京)によると、地震で被災した建築物が復旧可能かどうかを評価する「被災度区分判定」の有資格者が、ピーク時の2割以下に急減しているという。熊本地震が発生した2016年の年度末には全国で約1万1000人いたが、2023年3月末時点では約1800人にまで激減している。激減の理由の一つに、この資格の更新期限は5年間で、改めて講習を受けて更新しないと失効することもあげられる。復旧できる建物の判断が遅れれば、避難生活の長期化などが懸念されるため、関係者は人材不足に気をもんでいるという。ただ、この技術者不足を人工知能(AI)の活用で補う動きも出てきているという。
読売新聞 > 「被災度判定」人材が急減、判断遅れで避難生活長期化懸念…1万1000人が1800人に(2023.05.24)
【amazon.comが日本に災害救援拠点を設置】
配送網生かし無償で迅速に物資発送 [2023.05.23]
5月23日、ネット通販大手のアマゾンジャパン(東京)は大型物流拠点「尼崎フルフィルメントセンター」(兵庫県尼崎市東海岸町)に災害支援物資の備蓄拠点を国内で初めて開設したと発表しました。同社が持つ物流システムと配送ネットワークを生かして、災害発生時に支援物資を無償で迅速に、被災地に送り届けるのが狙いとのこと。名称は「ディザスター・リリーフ・ハブ」(災害救援拠点)と呼び、米国、豪州、ポーランドに次いで日本が4か国目の開設となり、また今年8月には相模原市にも開設される予定です。アマゾン社は、これまで米国ハリケーン災害や豪州森林火災、2023年2月のトルコ・シリア大地震などの被災地に計2000万個以上の救援物資を発送した実績があるといいます。