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キャサリン・サンソム女史(1883〜1981 / 駐日イギリス外交官ジョージ・サンソム卿の婦人)が著書『LIVING IN TOKYO 東京に暮す』に遺した名言 [今週の防災格言268]

time 2013/01/28

キャサリン・サンソム女史(1883〜1981 / 駐日イギリス外交官ジョージ・サンソム卿の婦人)が著書『LIVING IN TOKYO 東京に暮す』に遺した名言 [今週の防災格言268]


『 日本人は自然を愛するだけでなく、私たちとは違って、今でも自然の中に生きています。 』

キャサリン・サンソム(1883〜1981 / イギリス外交官J・サンソム夫人)

キャサリン・サンソム(Katharine Sansom)女史は、日本の政治・経済・社会情勢が悪化の一途をたどった1928年から1939年5月にかけ日本に滞在した知日派の英国外交官・ジョージ・サンソム卿(George Bailey Sansom / 1883〜1965)の夫人。その時の滞日見聞記「LIVING IN TOKYO」を1937年にロンドンで出版している。
1928年〜1939年5月という滞在期間は、1927年の金融恐慌と1929年の世界大恐慌の影響で日本国内の景気は一層深刻化し、300万人もの失業者が町にあふれた時代である。農村部では生活苦で娘の身売りも増え、1931年に日本軍は満州に進出、1932年に五・一五事件、1933年には日本が国際連盟を脱退、1936年にはニ・ニ六事件が起き軍部の力が強まっていった時代であった。

格言は大久保美春訳『LIVING IN TOKYO 東京に暮す 1928-1936(岩波文庫 1994年)』の「日本人の人生」より。

曰く―――。

“日本人はいつでも辛抱強く、しかも楽しそうにその時々の状況を受け容れています。それにはもちろん気候の影響もあるでしょう。うだるような暑さの時期には、瞑想しようがしまいが、じっと座っているのが一番ですし、最近になってウインタースポーツがさかんになるまでは、冬は畳の上に坐って何時間も過ごしたものでした。気候の影響は心の面にも現れています。

さらに、多湿の空気だけでは不十分というかのように、地震がかなり頻繁に発生し、中には人々が外に逃げ出すような大きなものもあります。
しかし何といっても腹立たしいのは台風で、夏の間いろいろな強度のものが日本の一部の地域を襲います。
暴風雨の可能性があると、日本人はしっかりと家の戸を閉め、かんぬきを掛け、隙間をふさぎます。突風が家の中に入ると屋根が吹き飛んでしまうからです。台風が去った後には家の中を掃き、家中のものを揺って埃を払い落とさなくてはなりません。台風の最中に外に出るのは非常に危険です。屋根瓦が飛んでくるし、枝や木が折れたり倒れたりするからです。時には風に加えて海も暴れ、高波が生じて、水が町の中にどっと流れ込み、小さな家々をまるでボーリングのピンのようになぎ倒し、船を道路に流し、わずか十分の間に戦争の爆撃と同程度のひどい物的損害を与えることがあります。

日本で頻繁におきるもう一つの災いは火事です。一度火事が発生すると、風に煽られて区域全体が燃えてしまうことがあります。薄っぺらな日本の木造の家には簡単に火が燃え移るし、日本人は慎重できちんとした国民とは言えないからです。むしろその逆で、彼らはぞんざいで不注意で、少しでも酔っていると、火のついたマッチや煙草を投げ捨てて知らんぷりなので危険です。”


Credit : Catharine Sansom 1944 Sept.
via Library of Congress, Prints & Photographs Division,
Farm Security Administration/Office of War Information Black-and-White Negatives.






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<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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