西堀榮三郎（1903〜1989 / 冒険家・科学者 第一次南極観測越冬隊長）が遺した名言 [今週の防災格言49]

『 地震対策には個人と行政との役割分担がある。地震に強い町作りは行政の役割。地震が発生したとき、命を失うことのないよう行動するのが個人の役割である。 』神沼克伊（1937～ / 地球物理学者・極地研究家 国立極地研究所名誉教授 理学博士）格言は著書『首都圏の地震と神奈川（2012年 有隣新書71）』より。曰く―――。《 現在のところ学問的には地震を予知することはできない。またたとえできたとしても、その経済的な損失は10％程度軽減されるだけという試算もある。以上二点を考えれば、どうしても自分自身が地震に立ち向かわなけ...

『 多くの人が目先の知識を追うだけで、災害に対する（生存の）知恵がないのではないか。 』糸川英夫（1912〜1999 / 航空宇宙工学者 東京大学名誉教授）糸川英夫（いとかわ ひでお）は日本のロケット開発の父として知られる人物。戦後、航空機研究を禁じられジェット機開発に乗り遅れた日本で、ロケット開発を提唱。鉛筆よりやや大きなペンシルロケットを開発し、1955年4月、東京都国分寺市の工場跡で水平発射実験に初成功。これが現在の日本の宇宙開発につながった。この格言は、組織工学研究所長時代の昭和54（1979年11月）年に、小...

『 この悲しむべき運命は、さけようとしてもさける事の出来ない大自然の必然の進路であります。 』永田 武（1913〜1991 / 地球物理学者 岩石磁気学の祖 東京大学名誉教授）格言は著書『生きている地球 地震と津波の話(1949年)』の「はじめに」より。曰く―――。《 地震という出来事が、やはり地球が生きている一つのしょうこである事は、申すまでもありませんし、私達の住む日本の国が世界中で一番地震の多い場所の一つである事も、皆さんが良くご存じの事であります。《中略》いつどこにどんな大地震が起るという予知をする事ができるま...

『 日本海 津波なしとは 誰（た）が云うた 恨みぞ深き 秋田県沖 』力武常次（1921〜2004 / 地震学者 東京大学名誉教授 東大地震研所長）力武常次（りきたけ つねじ）氏は、東大地震研究所所長、地震予知連副会長の要職を歴任された地震予知研究の先駆者の一人。専門は地球電磁気学。地磁気による地球内部の電気伝導度構造の研究で目覚ましい成果を挙げられ、特に、地磁気の成因や地磁気反転の原因を説明した「力武モデル」で世界的に知られる地球物理学者である。地震や火山噴火の予知へ向けての研究も精力的に行い、地震の様々な前兆...

『 できることをみんなが積極的に取り組んでいく。そうした一つひとつの積み重ねが今、求められている。 』今井通子（1942〜 / 登山家・医師 医学博士 東京農業大学客員教授）今井通子（いまい みちこ）氏は日本泌尿器科学会の専門医であり登山家。1960年、東京女子医科大学山岳部に入部。1971年、女性として世界初のアルプス三大北壁（マッターホルン（4,478m）、アイガー（3,975m）、グランド・ジョラス（4,208m））を完全制覇し、この時、登山家・高橋和之（たかはし かずゆき）氏とグランド・ジョラス北壁山頂で結婚式を挙げ話題と...

『 Let's Begin!（レッツ・ビギン＝まず、始めよう） 』東 善作（1893〜1967 / 世界三大陸単独横断飛行を達成した日本の冒険家）東善作（あずま ぜんさく）は、日本のリンドバーグと称される石川県羽咋市出身の冒険家。金沢で新聞記者をしていた時、アート・スミス（1894〜1926）の曲芸飛行の取材をきっかけに飛行家を志し、1916（大正5）年に渡米、苦学してアメリカの飛行学校を卒業。1923（大正12）年、関東大震災が発生すると、ロサンゼルス市上空から飛行機で『 HELP JAPAN 』というビラをまいて日本救援を呼びかけ、集まった...

『 大陸の移動、地殻の伸長と圧縮、地震、火山の噴火、海進と海退、極移動が因果関係で相互に結びついていることは間違いない。しかし、どれが原因でどれが結果なのかは、未来にならなければ明らかにはされない。 』“Continental drift, faults and compressions, earthquakes, volcanicity, transgression cycles and polar wandering are undoubtedly connected causally on a grand scale. However, what is cause and what effect, only the future will unveil. ”アルフレッド・ウェゲナー（1880～1930 / ドイツの気象学者・地球...

『 時間が経つと、のど元過ぎて熱さを忘れ、災害は忘れられた頃来るを繰り返す恐れがある。 』　中曽根康弘（1918～2019 / 政治家・衆議院議員(20期) 内閣総理大臣(第71～73代)）　格言は、1959（昭和34）年11月の国会・科学技術振興対策小委員会の発言から。1959（昭和34）年、第2次岸改造内閣の科学技術庁長官として初入閣を果たしたこの年の秋（9月26日）「伊勢湾台風」が日本列島に上陸し、和歌山県、奈良県、三重県、愛知県、岐阜県を中心に死者5,098人を数える未曾有の大災害が発生した。中曽根・科学技術庁長官は「台風」に対す...

『 地震の惨害は常に火災を伴う事によって益々大きくなる。 』松山基範（1884〜1958 / 地球物理学者 京都大学名誉教授 山口大学初代学長）格言は「但馬大地震の研究」（著書「輓近の地震学(大正14年7月)」付録）より。曰く―――。《 今回の地震（※北但馬地震 1925年5月23日 M6.8 兵庫県北部で死者465人、全壊・全焼3,220棟）でも此例にもれずして、特に城崎町豊岡町等は其著しいものであった。家屋の倒壊は兎も角として、之に火を失した為め残った家財も焼失してしまい、殊に倒れた屋根の下に掩（おお）われ或は落ちた梁に圧されて逃れん...