防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

マスク不足の劇的な解消は当面期待できそうもない理由(3月6日)

time 2020/03/06

マスク不足の劇的な解消は当面期待できそうもない理由(3月6日)

各国で猛威を振るう新型コロナウイルスによる肺炎で、世界中でマスク不足が騒がれています。

2020年3月6日付のAFP記事に「中国国内でマスクの生産量が日1億枚、一週間で7億枚となって中国国内の供給は落ち着いてきた」というニュースがありました。
一見すると中国からの輸出が再開されるのでは、と期待しそうな生産量です。

ただ、中国国内でマスクの需要が高まっている現在、日本の人口(1億2000万人)の11倍となる14億人の人口を抱える中国では、この生産量だとまだ海外へ輸出するまでにはなっていない気がします。
日本国内の例年のマスク供給を基準とした場合、中国で週14億枚を超えるくらいの生産量になってこないと、積極的な輸出再開とはならないかな、と思いました。

その理由ですが、まず、日本のマスクの需給データから、今回のマスク不足を考えてみます。
2月21日の当方のFacebook投稿(下記FYI参照)なども参考にして下さい。

日衛連さんのページによると、
日本のマスク市場は、2018年度の国産マスクの製造総数は11億1100万枚となってます。
一方で、2018年度の輸入マスク総数は、44億2700万枚でした。
これを単純に12ヶ月、52週、365日で割ります。

すると例年(2018年)の日本のマスク供給数量が分ります。

・国産マスク:月9200万枚、週2100万枚、1日あたり305万枚を製造
・輸入マスク:月3億7000万枚、週8500万枚、1日あたり1200万枚を輸入
※供給数合計:月4億6200万枚、週1億600万枚、1日あたり1500万枚

実際には、花粉症や季節性インフルエンザが流行する冬~春の時期はもっと供給数が多いのかもしれません。

今回の新型肺炎を受けて、日本政府はマスクの品薄状態の解消を目指すために、今年2月中旬に週1億枚以上の供給確保を目指していました。
3月中には、月間6億枚(週1億4000万枚・日2000万枚)にまで上積みする計画と3月5日に報道されています。
今現在はどのくらいの生産量・供給確保量なのか分りませんが、あてにしていた中国からの輸入再開も目途がたっておらず、恐らく目標には達していないのでしょう。

新型コロナウイルスが流行する以前からも、日本では週1億枚、1日あたり1500万枚のマスクが供給されていた訳ですから、従来からの「使い捨て」によるマスク消費を続ける限りは国内生産だけで乗り切ろうというのは難しいのではないかと思いました。

結論として、中国政府がマスクの輸出を再開するなどしない限り、現在のマスク不足の劇的な解消というのは期待できないと思います。
ただ、3月中に6億枚以上の国産品が出回るようになれば、例年の1.4倍くらいのマスク供給量となりますので、多少マスクが手に入れやすくなるかもしれません。
今、マスクを持っている人はできるだけ大事に使うことがよいでしょう。

《FYI》
AFP > 中国のマスク生産量、1日あたり1億枚を超える(2020.03.06)
https://www.afpbb.com/articles/-/3271828

日衛連 > マスク在庫(国内)数量 推移
http://www.jhpia.or.jp/data/data7.html

SEISHOP > 現況を考えるとマスクは今後も足りないことが予想されます(2020.02.21)

今朝のテレビ情報ですが・・・花粉症やインフルの流行時期となるちょうどこの時期の日本国内のマスク需要(供給量)は、例年、毎週9000万枚程度だったそうです。うち2000万枚が国産、7000万枚が中国産なのだそうです。中国産がストップ…

防災を考え続けて35年!防災セレクトショップ「Seishop(セイショップ)」さんの投稿 2020年2月20日木曜日

※使用画像:リー写真素材ぱくたそ
https://www.pakutaso.com

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