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アスクル倉庫火災から学ぶべき教訓について考える

time 2017/06/28

アスクル倉庫火災から学ぶべき教訓について考える

火災はいつ、どんな場所で起こるかわかりません。地震などの災害時だけでなく、普段の生活の中でも火災の危険はあちこちに潜んでいます。自宅や学校、時には仕事場で火災が起こることもあります。2017年2月16日に発生した事務用品通販大手「アスクル」の倉庫で大規模な火災が起きたことを記憶している人は多いのではないでしょうか。

被害の状況や出火原因、損失額はどれほどに?

火災が起きたのは埼玉県入間郡の「アスクルロジパーク首都圏」。文房具などの販売、配達を行うアスクルが約202億円もかけて整備した物流の一大拠点で、2013年7月から稼動していました。2017年2月16日の午前9時頃に火災が発覚し、その7分後には消防隊が駆けつけていたこともあり、すぐに鎮火するものと思われていました。

しかし一向に火の手が収まる気配はなく、2日、3日…と火は燃え続け、ようやく鎮火に至ったのは火災発生から12日後、2月28日のことでした。幸いにも周囲には火が燃え移るような建物はなく、被害は倉庫内の物品のみに収まりましたが、火が消えるころには被害状況は拡大し、東京ドーム1個分にあたる約4万5000平方メートルが焼けてしまいました。その損失は101億円にも上ります。

火災の原因は1階の北西部にあった廃棄ダンボール置き場と見られていて、関係者の証言によると、ダンボールを運ぶ際に使用するフォークリフトのタイヤがダンボールの上で空回りし、煙が出ていたそうです。到着した消防隊はダンボール置き場が激しく燃えていることを確認し、すぐに消火活動を行ったため1階部分に大きな焼損はありませんでした。しかし消防隊が到着したときにはすでに2階部分に延焼しており、黒い煙と熱気が充満し火の手が激しく上がっていて、懸命の消火活動にも関わらず2階・3階はほぼすべてが焼損してしまいました。

過去から学び、未来へつなげよう

火災から3ヶ月近く経った5月12日に、埼玉県三芳町倉庫火災を踏まえた防火対策及び消防活動のあり方に関する検討会(第3回)が国土交通省と消防庁により行われ、火災の原因と対策がまとめられました。
アスクル火災では、延焼が広い範囲にわたり被害が拡大しましたが、その原因のひとつとして、防火シャッターが物品に挟まれて作動しなかったことが消防庁により指摘されています。

また、出火後すぐに従業員8名が消火器21本を用いて初期消火をはじめましたが、火の勢いが勝っていたため、屋外消火栓設備の使用を試みました。しかし屋外消火栓設備のポンプの起動ボタンが押されておらず、消化に十分な放水量を得ることができませんでした。そして、この消火器による初期消火を行った後、119番通報が行われています。火災報知器が鳴ってから7分が過ぎた頃で、火災発見と同時に通報することができなかったことも課題になりました。

アスクルではもちろん消火訓練は行なっていました。しかし消化器を用いた訓練のみで、屋外・屋内の消火栓設備を用いた訓練までは実施されていませんでした。そのため、火災が起きてからとっさに判断し、行動しなければならないことが多くあったのも事実です。今後の対策としては、消火栓設備を用いた実際の消火訓練や通報訓練の必要性が消防庁により指摘されています。

最後に、格言をご紹介します。

『事故は、ただ法律を厳しくするだけではなかなか防げない。』
議員である小沢一郎氏の言葉です。

またタレントであり作家の永六輔さんは災害について次のように語っています。
『 災害がいつ起るか、と思い続けていましょうとは言いません。でも訓練は大事だなと思います。』

消防法を遵守するだけでなく、訓練を定期的に行い、万が一のときはどのように行動し、どうやって安全を確保するのか、日頃からシミュレーションしておかなければ、慌てずに対処することはできません。

このように、事故をただの事故で終わらせるのではなく、教訓として、原因と対策を追究することが重要といえるでしょう。

参考

総務省消防庁(埼玉県三芳町倉庫火災を踏まえた防火対策及び消防活動のあり方に関する検討会)

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