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カジキ?カンムリ?次の台風の名前はもう決まっている!

time 2019/11/25

カジキ?カンムリ?次の台風の名前はもう決まっている!

2019年9月に台風13号と台風14号が2日連続で発生し、大型の台風15号も猛威をふるい、10月には大型の台風19号が甚大な被害を日本列島にもたらしましたが、実は台風13号には「レンレン」、台風14号には「カジキ」、台風15号には「ファクサイ」、そして台風19号は「ハギビス」という名前が付いていたことをご存知でしょうか。
台風の名前を聞いて“なぜカジキなのだろう?”と思われた方もいれば、そもそも台風に名前が付くこと自体を不思議に思われている方もいるかと思います。
実は、台風の名前は日本が独自に命名しているわけではありません。また、すべての台風に名前が付くわけでもなければ、全世界共通というわけでもないのです。
今回は、このように意外と知らない“台風の名前”について紹介していきたいと思います。

その名も「台風委員会」

私たちが日常的に耳にする「台風〇〇号」という呼び名。日本では毎年1月1日以降にもっとも早く発生した台風を1号とし、以降は発生順に番号を付けています。
ただし、一度発生した台風が衰えて“熱帯低気圧”に変わった後で、再び勢力を増して台風となった場合は同じ番号が付けられます。
このような台風の番号表記は日本国内での話であり、世界的に見ると“台風委員会”という台風防災に関する国際機関が存在し、台風に「カジキ」などの名前を付けています。
台風委員会は1968年にESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)とWMO(世界気象機関)によって設立された組織で、北西太平洋または南シナ海で発生する台風被害への対策策定・実施を任務としています。
日本を始め、中国や香港、フィリピン、アメリカ合衆国など全14ヶ国が加盟しており、2000年より北西太平洋または南シナ海で発生した台風に名前を付けています。

140種類の決まった名前

台風の番号 命名した国と地域 呼名 片仮名読み 意味
43 カンボジア Krosa クローサ
44 中国 Bailu バイルー 白鹿
45 北朝鮮 Podul ポードル やなぎ
46 香港 Lingling レンレン 少女の名前
47 日本 Kajiki カジキ かじき座、旗魚
48 ラオス Faxai ファクサイ 女性の名前
49 マカオ Peipah ペイパー 魚の名前
50 マレーシア Tapah ターファー なまず
51 ミクロネシア Mitag ミートク 女性の名前
52 フィリピン Hagibis ハギビス すばやい
53 韓国 Neoguri ノグリー たぬき
54 タイ Bualoi ブアローイ お菓子の名前
55 米国 Matmo マットゥモ 大雨
56 ベトナム Halong ハーロン 湾の名前

気象庁「台風の番号の付け方と命名の方法」より抜粋

では、台風委員会は台風が新しく発生するたびに名前を考えて命名しているのでしょうか?
実は台風委員会では140種類の名前を事前に決めており、このリストから順番に名前を付けています。
とはいえ、順番に管理するだけならば名前を付ける必要があるの?と考える人もいると思いますが、これには明確な理由が2つ存在します。

  • ①台風情報の混同を避けるため
  • ②各国国民の台風への関心度を上げ、台風への警戒を強化するため

とくに、②に関しては「台風14号が接近しています」と言われるよりも「台風カジキが接近しています」と言うことで興味を湧かせ、関心を高める狙いがあります。
ちなみに140番目の名前が使われると頭の名前に戻ると決められているのですが、リストに載っている名前のなかで甚大な被害を及ぼした台風の名前は永久欠番として扱われ、将来的にも一切使用されることはありません。
それでは、140種類の名前にはどのようなものがあるか見ていきましょう。

昔の目印が由来

台風の番号 命名した国と地域 呼名 片仮名読み 意味
5 日本 Koinu コイヌ こいぬ座、小犬
19 日本 Yagi ヤギ やぎ座、山羊
33 日本 Usagi ウサギ うさぎ座、兎
47 日本 Kajiki カジキ かじき座、旗魚
61 日本 Kammuri カンムリ かんむり座、冠
75 日本 Kujira クジラ くじら座、鯨
89 日本 Koguma コグマ こぐま座、小熊
103 日本 Kompasu コンパス コンパス座、
円や円弧を
描くための
V字型の器具
117 日本 Tokage トカゲ とかげ座、蜥蜴
131 日本 Yamaneko ヤマネコ やまねこ座、
山野にすむ猫

気象庁「台風の番号の付け方と命名の方法」より抜粋

全部で140種類ある台風の名前のうち、「コイヌ、ヤギ、ウサギ、カジキ、カンムリ、クジラ、コグマ、コンパス、トカゲ、ヤマネコ」の10種類は日本が名付けたものです。
これらの名前はすべて星座を由来としています。というのも、台風の影響が大きな問題となる海上で仕事をする人にとって、星座というものは特別な意味をもっています。昔の船乗りは星座を目印に位置を確認していたので、航海に縁があるということで星座から名前が選ばれました。
他国の名前を見てみると、中国の「ウーコン(悟空)」やタイの「メーカラー(雷の天使)」など様々な名前があります。ちなみに、「カジキ」は47番目の名前になります。
また、前述した台風の永久欠番についてですが、2015年の台風24号に「コップ」という名前が付けられていました。
この台風24号は非常に強い勢力でフィリピンのルソン島に上陸し、死者・行方不明者数52人、住宅被害14万棟、被災者312万人という甚大な被害を起こしたため永久欠番となりました。
他にも、2017年に香港やマカオに大きな被害をもたらした台風13号「ハト」やフィリピンで多数の死傷者を出した台風27号「テンビン」なども永久欠番となり、それぞれ入れ替わって「ヤマネコ」と「コイヌ」が新たにリストに加わりました。
台風委員会のサイトではこれら永久欠番を「引退した熱帯低気圧の名前のリスト」として掲載しています。

参考:http://www.typhooncommittee.org/tc-retired-tropical-name-list/

2002年~2018年の17年間で発生した台風は43回も大きな被害をもたらし、40個の名前が永久欠番となりました。地域別に見るとフィリピンが19回、中国が16回と大きな被害を受けた回数が突出して多くなっています。

まとめ

台風に「カジキ」や「カンムリ」などの名前を付けるだけでも、多くの人の関心度を高めることができます。
とくに、近年の異常気象によって発生した台風は各地に甚大な爪痕を残しており、猛威を振るう可能性のある台風をいち早く認識することが大切です。 台風の名前が出てきた場合は情報に注視し、万が一の際にはいつでも避難ができるように日頃から準備をしておきましょう。

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