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2022年9月の 防災・危機管理ニュース をピックアップしてお届けします。
【 2022年9月1日~9月30日 】

time 2022/09/30

2022年9月の 防災・危機管理ニュース をピックアップしてお届けします。<br />【 2022年9月1日~9月30日 】
表紙画像:9/18 大型で非常に強い台風14号 鹿児島に上陸…接近が3連休と重なった

【2022年9月1日~9月30日】
今月の防災・危機管理ニュース
ピックアップ13選

 


 

【台風14号(ナンマドル)】
大型で非常に強い台風14号 九州を縦断後、本州の日本海側を北東に進み…急衰退

9月14日、小笠原近海で発生した台風14号(ナンマドル)は、18日19時頃に中心気圧935hPaと、非常に強い勢力で鹿児島市付近に上陸し、19日朝にかけて九州を縦断しました。その後進路を東よりに変えて、20日09時に日本の東で温帯低気圧に変わりました。九州を中心に西日本で記録的な大雨や暴風となり、9月15日の降り始めからの総雨量では、九州や四国の複数地点で500ミリを超え、宮崎県美郷町では1,000ミリ近い雨量を観測するなど各地で9月の一ヶ月平年値の2倍近くの雨を降らせました。また、最大瞬間風速では、鹿児島県屋久島町で50.9メートルを観測したほか、複数地点で観測史上1位を更新しました。
被害は鹿児島、宮崎、大分の三県を中心に中国・四国地方から関西、遠くは神奈川県・秋田県の広い範囲に及び、死者4人(宮崎県3人、広島県1人)、重軽傷者147人、住家全壊6棟、半壊10棟、一部損壊349棟、床上浸水693棟、床下浸水488棟。九州電力管内で一時35万3480戸、四国電力で3万6214戸、中国電力1万8317戸、関西電力約1万戸、中部電力6240戸、北陸電力1360戸、東京電力4180戸、東北電力470戸が一時停電(9/24までに全復旧済み)。また9県(宮崎、鹿児島、佐賀、熊本、大分、山口、愛媛、高知、広島)で最大12,769戸が断水(26日までに9,381戸が復旧)、その他、通信やガスに大きな被害はありませんでした。

 

【台風15号(タラス)】
半日で静岡に1か月分の雨…線状降水帯 静岡県で土砂崩れなど相次ぎ 大規模停電・断水

9月23日、高知県室戸岬の南海上で発達中の熱帯低気圧が台風15号(タラス)となりました。勢力は強くなかったものの、9月23日~9月24日にかけ、台風15号の接近に伴い東海地方は静岡県を中心に記録的な大雨となりました。三重県南部から愛知県東部、静岡県にかけて200mm以上の雨が降り、とくに静岡県内の広範囲で300mm以上の雨となり静岡市では400mmを超える雨を観測しました。静岡県では土砂崩れが相次ぎ、24日には静岡市葵区にある送電用の鉄塔2基が倒れ静岡県内で12万戸が停電し、多くは約半日後となる午後2時前後に復旧しました。また、静岡市清水区では市内を流れる興津川の水道取水口に流木が詰まったことが原因で約6万3千戸が断水し、復旧に時間がかかっています。台風から4日後の9月27日に約3万1千戸に通水を開始し翌28日に飲用可能なことが確認されました。清水区によると10月2日までに他の多くのエリアで飲用が可能となる見通しで、発生12日後の10月5日までには全域復旧を目指すとしています。

 

【南海トラフ地震】
30年以内の発生確率「70~80%」に疑義 再検討不可欠 根拠の地盤隆起は工事原因の可能性

中日新聞のスクープ記事です。30年以内に南海トラフ沿いで巨大地震が発生する確率を「70〜80%」としている政府の地震調査委員会の地震予測を巡り、確率算出の根拠となっている高知県室戸市の室津港の地盤隆起の変化が、地震活動によるものではなく、江戸時代の港湾工事による可能性のあることが、中日新聞(東京新聞)と東京電機大の橋本学特任教授(地震学)らの調査で分かったものです。
尚、南海トラフ地震は、将来に確実に発生することが分っている大地震です。近い将来に確実に発生することを踏まえ、この記事では、南海トラフに関わる歴史的知見を発見したことで長期地震予知の「確率論の科学的な根拠」を新たに問うたものと理解しなければなりません。

 

【バイデン大統領・パンデミック終了宣言】
米CBSテレビ番組で「パンデミックは終わった」と発言

新型コロナウイルスのパンデミック(世界大流行)から2年半。多くの人が「公式な終了宣言」を待つ中で、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は2022年9月14日の記者会見で、パンデミックの終わりが視野に入ってきたと述べました。その数日後、米国のジョー・バイデン大統領は米CBSのテレビ番組「60ミニッツ」のインタビューで「パンデミックは終わった」と宣言しました。その一方でバイデン大統領は「私たちはまだ新型コロナに関する問題を抱えており、多くの取り組みを続けている」とも強調しています。米政府では、今も新型コロナウイルスを公衆衛生上の緊急事態と位置付けており、世界保健機関(WHO)の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言も解除されていません。

 

【日銀が為替介入】
24年ぶりの円買い・ドル売りの為替介入

9月22日未明、米連邦準備制度理事会(FRB)が0.75%の大幅な利上げを決め、年内の追加利上げの方針も表明した後、円相場が一時1ドル=145円台まで値下がりしました。1998年以来およそ24年ぶりの円安水準で、今年はじめからおよそ30円下落したことになります。止まらぬ円安に対して、9月22日午後に、日銀が大規模な金融緩和の継続を公表し、その後、日本政府・日本銀行が、歴史的な円安・ドル高局面を修正するため、24年ぶりの円買い・ドル売りの為替介入に踏み切りました。米国は歴史的なインフレ(物価上昇)に直面し急ピッチで利上げに進むのに対し、日銀は景気下支えを理由に低金利政策を続けています。

 

【新幹線の地震対策に関する検証委員会】
数百か所でレールゆがむ可能性 耐震補強の前倒し要請へ

JR東日本グループは、東日本大震災(2011年)を受けて2012年度から「災害に強い鉄道づくり」を目標に掲げ、大規模地震への対応として耐震補強対策を進めています。しかし、今年3月16日の福島県沖の地震では、福島県と宮城県で震度6強の揺れとなり、東北新幹線が脱線し乗客6人が軽傷を負ったほか、補強前の高架橋や電柱の損傷なども約1000か所で見つかったため、東北新幹線の福島―仙台間が29日間にわたって運休することになりました。
国土交通省では専門家による委員会「新幹線の地震対策に関する検証委員会」を立ち上げ検証を進めています。この地震では、高架橋の損傷によりレールが大きくゆがむ被害が確認されましたが、国の検証で、全国の数百か所で同様の被害が起きる可能性があることがわかりました。国はJR東日本などに耐震補強工事の前倒しを要請する方針です。耐震補強工事は、通常は橋脚1か所あたり、2か月ほどで作業を終えるということですが、首都圏などの都市部では、高架橋の下に飲食店が入っている場所もあり、工事を終えるまでに長期間かかるケースもあるということです。(本来なら2022年5月のニュースとなりますが、NHKの9月の報道ソースを見るまで失念していたため9月のニュースとしてピックアップしています)

 

【中央防災会議(第42回)】
日本海溝・千島海溝の巨大地震 津波対策強化へ108市町村指定 [2022/09/30]

9月30日、政府の中央防災会議(第42回)は、北海道から関東にかけての太平洋沿岸を震源とするマグニチュード9クラスの巨大地震「日本海溝・千島海溝地震」で大きな被害が想定され、対策強化が必要な「地震防災対策推進地域」に8道県の272市町村を指定しました。このうち、特に津波で深刻な被害が予想される108市町村は、国が手厚い財政支援を行う「津波避難対策特別強化地域(新たに設置)」にも指定されました。各自治体は、それぞれ被害軽減に向けた「推進計画」を作成し、対策を本格化させることになります。
「千島海溝」と「日本海溝」の2つのプレート境界の巨大地震では、北海道から千葉県にかけての太平洋沖の沿岸で、最大およそ30メートルの高さの津波が予想され、死者は最悪の場合、日本海溝沿いの巨大地震でおよそ19万9000人、千島海溝沿いの巨大地震でおよそ10万人と試算されています。同地震については2006年に行われた前回想定では最大死者2700人となっていましたが、その後の研究で、東日本大震災(2011年)よりも津波被害が広範囲に及ぶことなどが分って来たこともあり、死者数19万人超と大幅に増えることになりました。これに伴って、今回の指定地域は2006年130市町村から倍増した形となります。

 

【防災の日(9月1日)】
新聞各社の「防災の日の社説」を並べてみた

毎年9月1日は、10万人が亡くなった関東大震災(1923年)が発生した「防災の日」です。報道各社の防災の日にまつわる「社説」をまとめてみました。今年は、前日にソビエト連邦初代大統領のゴルバチョフ氏(2022年8月30日死去)や京セラの稲盛和夫氏(2022年8月24日死去)が亡くなったこともあり、9月1日の「社説」では防災を取り上げずに、前後にずらした防災オピニオンを行なう紙面も散見されました。

 

【安全保障】
重要な施設周辺の土地・建物などの利用規制「重要土地利用規制法」全面施行

日本の安全保障上、重要な施設周辺の土地・建物や国境離島などの利用を規制する「重要土地利用規制法」が9月20日に全面施行されました。この法律により、政府は、安全保障の観点から重要な土地・建物の利用実態を調査し、不適切と認めれば、規制できるようになるほか、施設の機能を妨害する行為への中止勧告や罰則付きの命令が可能になります。正式名称は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(令和3年法律第84号)で、「土地規制法」「土地利用規制法」などともよばれ、2021年(令和3年)6月に成立したもので、外国資本による不透明な土地買収に歯止めをかける狙いがありました。
自衛隊、海上保安庁、アメリカ軍基地、原子力発電所などの周囲約1キロメートルや国境近くの離島を注視区域に指定し、政府が土地や建物の利用実態、所有者の氏名・国籍などを調査できるものです。
規制法によると、自衛隊基地・駐屯地や領海の根拠となる国境離島、原発周辺の土地を「特別注視区域」や「注視区域」に指定するとしています。

 

【メキシコ地震(M7.6)】
メキシコ市の大地震 1985年、2017年、2022年と三度全て同じ日(9月19日)に起こる

メキシコ西部で9月19日(日本時間の20日午前3時すぎ)、マグニチュード7を超える地震があり、震源から数百キロ離れた首都メキシコ市でも建物が揺れました。同国では1985年と2017年の同じ日にも大地震が起きています。メキシコのロペスオブラドール大統領は、自身のツイートで、震源地のミチョアカン州に隣接するコリマ州でショッピングモールの壁が崩落しこれまでに1人が死亡したと明らかにしました。気象庁によりますと、この地震による日本への影響に関しては若干の海面変動があっても津波被害の心配はないとしています。

 

【台湾南東部地震(M6.8)】
1人死亡・160人超負傷 建築物損壊し交通寸断(9月18日)

台湾南東部で9月18日、マグニチュード6.8の地震が発生しました。花蓮県のセメント関連工場で死者1人、負傷者が164人になったと発表しています。

 

【港湾法改正へ】
集団感染のクルーズ船の寄港時、自治体の港湾管理を国が代行する方針

国土交通省は、船内で集団感染が発生したクルーズ船の寄港などの緊急時に、自治体の港湾管理を、国が代行できるよう港湾法を改正する方針を固めました。2020年2月に横浜港に寄港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で起きた新型コロナウイルス集団感染の教訓を踏まえたもので、10月召集の臨時国会で改正法案の提出を目指すものとしています。
港湾(漁港等を除く)は国内に約990か所あり、港湾法に基づき自治体が管理し、岸壁や荷さばき地の利用許可を行っていますが、非常時には業務急増が予想されるため、国交省では、自治体から要請があれば、国が港の施設管理を代行できる制度を設けることを決めました。国による代行は、2016年の熊本地震を受けた法改正で地震や台風など災害時は可能となっています。今回この仕組みの対象に「感染症などの重大リスク発生時」を加えるとのことです。

 

【DART(ダート)ミッション】
地球に衝突する小惑星の軌道を変更させる実験「歴史的成功」

小惑星が地球に衝突する…想定されている人類の危機の一つです。
NASA(アメリカ航空宇宙局)の無人探査機「DART(ダート=Double Asteroid Redirection Test(二重小惑星方向転換試験))」が、日本時間の9月27日、小惑星が地球に衝突する場合を想定して、探査機を実際に目標となる小惑星「ディモルフォス」に衝突させて、軌道を変えるという世界初の実験を行いました。この実験では、地球に接近する小惑星が見つかった場合を想定し、小惑星に物理的な衝撃を与える(探査機を時速約2万4000キロで衝突させる)ことで軌道を変えさせ地球を守れるかどうかを検証することを目的としました。小惑星ディモルフォスの軌道が変われば、人類が宇宙空間にある自然の天体の動きを変化させた初の事象となります。
DART計画の模様は、日本時間9月27日午前7時頃から「NASA TV」でライブ配信されました。

 

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