防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

ウイルス・免疫・ワクチン 基礎の基礎 | 須谷尚史(東京大学 定量生命科学研究所 准教授)

time 2021/09/07

ウイルス・免疫・ワクチン   基礎の基礎   |  須谷尚史(東京大学 定量生命科学研究所 准教授)

◆ワクチンの安全性 -インフォデミックとの付き合い方

ニュースの正しい意味(誤解を招く見出し表現):ファイザー製ワクチン接種後57人死亡、累計85人に…厚労省検討会「現時点で重大な懸念なし」(2021年5月の読売新聞記事より)

このようなニュースリリースが5月に出たが、ワクチン未接種者の同人数との比較でないと意味がない。接種との因果関係について現時点では重大な懸念はない、と有識者検討会でされているのに、見出しで死亡人数だけを取り上げるのは誤解を招く表現。冷静に判断することが必要。

VAERS; ワクチン有害事象報告システム

接種者に特有の症例・症状がないか監視され続けられている。例えばアメリカではワクチン接種後に起きた全ての有害事象がVAERSシステムに報告され、調査検討されている。

リスクを数字で理解しましょう(0.003% ←飛行機事故で亡くなる確率よりも小さい)

心筋炎についてもニュースになったが、ワクチンの副反応によるものかどうかは不明。
この手のニュースの場合、リスクを数字で理解することが大事。500万人の接種者で150人ということは0.003%、飛行機事故で亡くなる確率より低い。ワクチンのせいだったとしても、ワクチンのリスクの方が大きい。

ワクチンを受ける受けないは個人の自由。
ただし、mRNAワクチンの安全性は十分に試験されていて、常にオープンにモニタリングされていること、現時点リスクは極めて小さいこと、ワクチンのリスクよりコロナに感染するリスクや後遺症のリスクの方が極めて恐ろしいこと、ワクチンを受けることで自分が守られるだけでなく周囲に移す可能性も減ること、から判断すべき。

◆変異株について

ウイルス変異株について
“デルタ”変異株ではスパイクのこの部分に変化が起き、ACE2への結合が強くなっている

ウイルスが体内で増える時に、遺伝情報のコピーミスが時々発生し(=変異)、そのせいでウイルスの性質が変化することがある。デルタ株の場合、コロナウイルスの表面のスパイクタンパク質のT478K変異により、細胞表面のACE2へ結合しやすくなることで、感染力も重症化率もアップしている。ワクチンの効果も下がるが、朗報なことにそれでも十分有効である。

◆専門家による情報源を複数参照しよう

自称専門家、SNS、などに惑わされず、専門家の一次情報を参考にしてください。
複数のソースで共通する内容は信頼がおけると判断できる。

厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/
seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
 
新型コロナワクチン公共情報タスクフォース https://medicalnote.jp/covid19-vaccine/
 
こびナビ https://covnavi.jp/ / https://twitter.com/covnavi
 
アメリカ疾病予防管理センター(CDC) https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/index.html
 
世界保健機関(WHO) https://www.who.int/

◆スイスチーズ式感染対策=複数の対策を同時に取り入れ、感染拡大を阻止しよう

スイスチーズ式感染対策




講師・著者:須谷 尚史(すたに・たかし)

東京大学 定量生命科学研究所 ゲノム情報解析研究分野 准教授

1999年 京都大学大学院 理学研究科 修了(理学博士)
東京工業大学大学院 生命理工学研究科 助教などを経て現職。
染色体の構造解析にもとづくゲノム維持・継承・制御メカニズムについて研究中。
東京大学では「生命環境科学:ゲノム学の進展と応用」などの講座を担当。

【提供・会場】
・株式会社セイエンタプライズ:https://www.sei-inc.co.jp/

【企画運営】
・麹町アカデミア株式会社:http://k-academia.co.jp/

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