防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

防災意識を育てるWEBマガジン

ウイルス・免疫・ワクチン 基礎の基礎 | 須谷尚史(東京大学 定量生命科学研究所 准教授)

time 2021/09/07

ウイルス・免疫・ワクチン   基礎の基礎   |  須谷尚史(東京大学 定量生命科学研究所 准教授)

◆免疫系―身体を侵入者から守るシステム

体に備わる多重の防御層

第一の関門=「表面の防壁」によって、ウイルスは体内には簡単には侵入できない。
皮膚の表面の死んだ細胞の集まりである「表皮」は、死んだ細胞のためウイルスが感染できない。粘膜上の「粘液」によってもウイルスはからめとられるので簡単には侵入できない。「くしゃみ」によって、身体に入ってくる微粒子は追い出される。
そうはいっても第一の関門を突破して体内に侵入するウイルスを排除する免疫の仕組には「自然免疫」と「獲得免疫」の2つがある。

自然免疫の仕組み

身体の中に細菌やウイルスなど自分でないものが入ってくると、その侵入者に対して攻撃する、このように身体が自然に反応する最初の免疫を「自然免疫」という。
多くの細菌のパターン(例:細菌の殻の物質、ウイルスに感染した場合に起こりうる事態)を認識して、すぐに発動するのが特徴。
好中球(白血球の一種。血液内の白血球の半分以上を占める)、マクロファージNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が、細菌を捕食したり、ウイルスに感染した細胞を破壊する。
このような仕組のため、感染部位の炎症を伴ってしまう。

獲得免疫の仕組み

一度侵入した異物の情報を記憶し、再び侵入された時に一早く対処できるよう学習し、2回目以降は素早く応答するのが「獲得免疫」
「B細胞」は抗体を作り、体内に侵入してきた抗原(ウイルスや花粉など)と結合することで、抗原を体内から除去したり、働きを中和。
「T細胞」は感染した細胞を破壊する。

体内には免疫細胞が10億種類。1つ1つ認識できる “異物”が異なる(認識のための鍵穴の形が違う)

体内にある免疫細胞は約10億種類。認識できる「異物」に対応する鍵穴の形がそれぞれ異なる。このため、初回の発動には時間がかかるが、一度異物を認識すると、対応する免疫細胞が増殖し、2回目以降の応答は早くなる。これを「免疫記憶」という。

新型コロナ感染時の免疫応答(典型例)
新型コロナ感染時の免疫応答(重症例)

新型コロナウイルスに感染した場合、無症状/軽症の場合は、自然免疫→獲得免疫の順にはたらいて、ウイルスは排除される。
が、重症の場合は、自然免疫の立ち上がりが遅く、獲得免疫もうまく働かないうちに、ウイルスが全身で増殖、このため最後に体内で自然免疫が暴走してしまう「免疫暴走(サイトカインストーム)」がおこる。このため、全身で炎症反応がおこってしまう。

健康な肺と重症コロナ患者の肺(炎症、繊維化、血栓)

自然免疫の暴走で重症コロナ患者の肺は炎症、繊維化、血栓といった状態になり、治癒後のダメージも大きい。

◆重症化のリスク

重症化のリスク因子

免疫系が老化している高齢者、慢性的に炎症がおこっている肥満や高血圧や喘息が重症化リスクとされている。が、持病もない若い人も重症化することもあり、確実なことはわからない。

◆後遺症

コロナ患者は後遺症にも長く苦しむことが多い①
コロナ患者は後遺症にも長く苦しむことが多い②

軽症で済んだ方も、身体中にいろんなダメージがたまり、後遺症に長く苦しむことが多い。 嗅覚味覚障害、2割くらいの方に脱毛、発病後半年までの突然死の確率が60%あがることがわかってきている。



次は、mRNAワクチンについて解説
非常食・防災グッズ 防災のセレクトショップ SEI SHOP セイショップ
メルマガ登録バナー
E-mail
お名前
※メールアドレスと名前を入力し読者登録ボタンで購読

アーカイブ