防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

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熊本・大分地震の被害と日本人の秩序意識の高さ

time 2017/06/28

熊本・大分地震の被害と日本人の秩序意識の高さ

「自然災害大国」と呼ばれる日本。全国どこにいても地震などの自然災害に見舞われる可能性があります。地震が発生することを止めることはできませんが、しっかりと対策しておくことで被害を最小限に抑えることができるでしょう。ここでは、熊本地震と、災害が起きた後でも互いに助け合うことで、被害から立ち直る日本人の強さと秩序意識の高さについて説明します。

震度7の地震が2度も… 前例のない熊本地震

2016年4月14日21時26分、熊本県熊本市を震源地とするマグニチュード6.5の地震が発生しました(北緯32.7度、東経130.8度)。気象庁の震度階級で最大震度7を観測するのは、九州地方において初めてのことで、また日本国内では4度目です(ただし、熊本地震の「本震」は5度目の観測例にあたります)。これまでにマグニチュード6.5以上の内陸型地震が発生した後、さらに大きな地震が発生したことは、地震の観測を始めた1885年以降ありませんでした。したがって、この時点では、6.5を上回る地震が発生するとは想定されておらず、あくまでも余震について注意喚起がなされただけでした。

ところが、その後同年4月16日午前1時25分にマグニチュード7.3の地震が発生したため、気象庁は同日の熊本地震を「本震」と位置づけ、そして、4月14日の地震を「前震」と位置付けています。一連の地震活動のなかで震度7が2度観測されるのは熊本地震が初めてのことです。さらに、1995年以降の内陸型地震の中でマグニチュード3.5を超える地震の発生回数が最も多いのも特徴といえます。

被害状況の概観は、次のとおりです。国土交通省の発表によると、九州6県で190件の土砂災害が発生しています。そのため、熊本地震においては、倒壊した住宅の下敷きや土砂崩れに巻き込まれて圧死や外傷性窒息死で亡くなった人が多く、地震を直接の死因とする死者は計50人にのぼりました。阪神大震災、新潟県中越地震、東日本大震災に続いて、政府は被災者の権利利益を守るため、熊本地震を特定非常災害に指定しています。また、避難生活によるストレスや持病の悪化など、地震関連による事情で亡くなった人が170名に及びました。さらに、熊本県だけでなく大分県でも亡くなった人もいます。それから、重軽傷を負った人の数は1200人を超えており、消防庁の発表によると全壊した建物が8697棟、半壊した建物が34037棟にも及びます。これは、続けざまに強い揺れに2度襲われたことにより、多くの建物が倒壊したと分析されています。
次では、このような地震に見舞われたとき、過去の災害から立ち直るにあたって、日本人の秩序意識がどのような影響を与えるのかを表した格言を紹介します。

震災に負けない日本人の底力

大きな震災時には混乱や治安の悪化が懸念されますが、熊本地震では被害の大きさとともに日本人の秩序ある行動も報道されています。それはなぜでしょうか。上智大学名誉教授であった渡部昇一氏は、次のように話します。

「日本の皇室は他の国の王朝とは異なる特色をもっている。ほとんどの国は、時代によって王朝は倒され、時には支配者の民族が入れ替わっている。ところが、日本の場合は『古事記』『日本書紀』に示されている通り、神話から始まる皇室が万世一系の流れで現代に受け継がれて連続性をもっているのである。
≪中略≫
日本人が個別に意識しなくても、古代から途絶えることなく続く歴史が、日本人の骨となり肉となっていて、日本人の矜持を形作っているのである。日本人はこのことを決して忘れてはいけないのである。」
(著書『決定版 日本人論(扶桑社新書 2016年)』の「まえがき」より)

これを裏付けるように、日本人を称えた格言が日本国内のみならず海外の文献にも見られます。
たとえば、作家の小泉八雲は「どんな状態でも日本人はお互いを喜ばせたいという気持ちを忘れず、人の世の中を楽しいものにできる」という格言を残していました。また、歴史学者である岡田章雄は、外国の文献の中には災害に見舞われたときにも、めげずに立ち向かう日本人の秩序意識を示した描写が多数存在すると述べています。

さらに、イエズス会宣教師であるルイス・フロイスは
「われわれの間では財産を失い、また家を焼くことに、大きな悲しみを表す。日本人はこれらすべてのことに、表面はきわめて軽く過ごす。」と日本人の精神を褒め称えています。
昔から日本人は幾多の災害に見舞われてきました。その経験が、二次災害を最小限に抑えようとする秩序意識を高めることになったともいえるでしょう。地震を避けることはできないとしても、そこから立ち直るために対策と心構えはしっかりしておきたいところです。

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