防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

連休で病院がおやすみに?大型連休時(GWなど)に起こる医療問題

time 2019/04/04

連休で病院がおやすみに?大型連休時(GWなど)に起こる医療問題

“2019年のゴールデンウィークは10連休”と多くのメディアが報道するように、改元について議論される中で「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律」が成立したために、最大で“2019年4月27日から5月6日”までが連休となる人が多くなる見込みです。
この10連休を満喫しようとレジャー需要が高まる一方で、国民全体に警鐘を鳴らさなければならない“医療問題”が提起されていることをご存知でしょうか。

医療機関が全部閉まってしまう?

2018年12月20日に「第10回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」に対し、2019年の大型連休における医療提供体制に関する調査を行う方針を示しました。
また、日本医師会は都道府県医師会を対象として、2019年の大型連休に関するアンケート調査を実施しており、ホームページ上でも結果を公表しています。

画像引用:日本医師会のアンケートより http://www.med.or.jp/nichiionline/article/008365.html

日本医師会の小玉弘之常任理事は上記のアンケート結果について、2018年12月28日時点まで40件の回答を参照し、都道府県行政の危機意識が概して低いことを指摘。また、都道府県医師会とある程度連携がとられているケースも見られているとしていますが、多くは危機意識の改善や医師会との連携による対策などが遅れているといえる結果になっています。

では、アンケート結果からどのような課題が考えられるのでしょうか。危機意識の低さや問題の周知不足から、大きく5つの課題を挙げることができます。

  • ①中央省庁と関係機関の連携強化
  • ②救急搬送・医療体制の不足
  • ③医療提供の困難性
  • ④訪日外国人への医療対策
  • ⑤介護・在宅医療への影響

では、具体的にこれらの課題について見ていきましょう。

山積する課題

まず、①と④の課題については、通常のゴールデンウィークや年末年始のような長期休暇とは異なり、平日を挟まない10連休という特異性から国民・社会全体が対応できないという事態が想定されます。たとえば、国内を移動する訪日外国人や旅行者が多くなることで“マスギャザリング(一定の観光地などに人が殺到することで、集団的な傷病者が発生してしまうこと)”の発生が懸念されています。とくに、中国で5月1日のメーデー(労働節)を皮切りに大型連休(黄金周)が始まることからも、通常のマスギャザリング対策だけでなく、訪日外国人へ対応できるだけの体制も必要となってきます。

観光地へ行かなくても影響大

では、観光地へ行かなければ安心なのでしょうか?
実は前述したようなマスギャザリングに巻き込まれる心配はないという人にも、②・③・⑤のような医療問題が降りかかってきます。
一般的な医療機関では休日や祝日を休診としている場合が多く、今回の10連休には平日がないために長期の休診となる可能性が考えられます。
この場合、かかりつけ医が利用できなくなるだけでなく、診察や救急搬送先が限られてしまうために特定の医療機関へ負担が集中してしまいます。
また、人工透析やがん化学療法など定期的な通院と入院が必要な人や、介護などで自宅療養が必要な人にとっても医療従事者の休暇により、通常の処置を受けることが難しくなることも考えられます。
結果として、十分な医療体制を維持できないために、私たちの生活にも直接的な影響がでてきてしまうのです。

医療問題を周知する重要性

前述したように、10連休が広範囲に深刻な影響を及ぼすことから、政府は2019年3月26日に従来の対処方針を更新し“医療体制をリスト化”する旨を発表しました。
救急対応や外来患者の受け入れ態勢リストを作成し、連休前までにインターネットなどで周知することを目標としています。
しかし、すでに10連休前後で診察や手術などの予約が埋まっている医療機関もでてきており、定期的な通院・入院患者は長期のスケジュールに沿った診療が必要となってくるだけに後手にまわった対応ともいえるでしょう。
また、医療機関だけでなく“レスパイト・ケア(要介護者の家族が一時的な休息のために施設での介護を利用すること)”を目的とした介護需要の高まりも予想されており、訪問看護やリハビリテーションでの人員確保の問題も注視されています。

私たちにできること

では、様々な問題が提起されているなかで、私たちにできることがあるのでしょうか?
実は、私たち一人ひとりの対応によって、これらのリスクを低下させることができます。
たとえば、10連休中にかかりつけ医の利用が可能なのか、定期的な通院・入院が必要な人は連休の前後を避けたスケジュールを組んでいるかなどをチェックすることです。特に、非常時に備えた対応などを主治医に相談することも重要です。
また、普段使用している常備薬のストック確認や旅行先の病院を調べておくなど、万が一に備えた準備をしておきましょう。
さらに旅行先などでは、自身が“バイスタンダー(救急現場に居合わせた人)”となって第三者の救急蘇生に関わる可能性もあるために、救急車の適正利用法と併せて処置方法を確認しておくことも重要です。
今後もこのような大型連休が発生することも想定されるため、どのような対応を取ればよいのかを考えておく必要があります。とくに日頃からの備えが大切となってくるため、みなさんも大型連休を想定した準備をし、対策を考えてみてはいかがでしょうか。

大型連休までにしておくことのまとめ

  • 自分が通っている病院の休診日・診察時間などを知っておく
  • 常備薬の確保の算段をつけておく
  • 継続的な診療を受けている場合は、医師に非常時の対応などの相談をしておく
  • 念のため旅行先での病院を調べておく
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