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歩いて家に帰れるか？――――大規模災害時の帰宅シュミレーション体験から生まれた防災演劇 HOME（ホーム）

time 2007/09/01

歩いて家に帰れるか？――――大規模災害時の帰宅シュミレーション体験から生まれた防災演劇 HOME（ホーム）

※関連情報帰りたいのに帰れない・・・帰宅困難者問題の今(2007.09.04 編集長コラム)

昨年の大好評から、今秋（9月26日〜10月3日）に再演が決定した「HOME（ホーム）」は、東京を大地震が襲い、交通手段が途絶えたという設定で、東京から数十キロ離れた自宅へと歩いて帰る「いわゆる帰宅困難者」たち老若男女１２人の悲喜こもごもな道中を扱った防災劇です。

ホームは、演劇界の鬼才・木村健三氏が演出。プロの役者でも難しいとされる「エチュード」という即興効果を用いた演出によって、出演者の、生き生きした臨場感のある迫真の演技が魅力の舞台となっています。
それもそのはずで、役者さんたちは役づくりのために３度、物語の中心となる「川越街道（池袋から川越＝埼玉バージョン）」や「第一京浜（赤坂から横浜＝神奈川バージョン）」３０数キロもの道程を、実際に夜通し歩いており、その体験をもとに役づくりに臨んでいるからです。

帰宅困難者とは、突然の大地震に見舞われために、交通機関がマヒし、自宅に歩いて帰るのが困難な人たちを言います。
通勤、通学、買い物の最中・・・いつ発生するか分からない地震。日々、生活していれば、自宅から遠く離れた職場や学校、デパートや駅などで、たまたま地震に巻き込まれ、自分がそして家族が、帰れなくなってしまうことを想像してみて下さい。
政府はもし「南関東直下型地震」が発生した場合、首都圏で650万人の人たちが帰宅困難者になると想定しています。
また、もし地震により大きな火災が首都圏を襲った場合には、更に、400万人もの火災罹災者が生れるという想定もあります。

ホームでは、地震で東京が壊滅したあと、家にどうやってたどり着くのか？　自宅を目指す間に訪れる様々な出来事を、実際に街道を歩いた演者が、迫真の演技で披露します。
震災時の様々な人間模様を織り交ぜながら、実際に役立つ情報を紹介し、来場者の防災意識を高め、気付きを得られるように工夫されたエンターティメントなのです。

公演日時	９/２６（水）〜１０/３（水） 14:00〜 / 19:30〜上映時間約90分 ※9/27、10/1には上演終了後に出演者のトークショーがあります。
劇場	赤坂レッド・シアター　(赤坂見付駅下車2分）
構成・演出	木村健三 1961年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。日本演出者協会員。 1986年マシュマロ・ウェーブ結成、20年で50公演を行い、全作品を演出。2004年文化庁新進芸術家海外留学制度によりカナダ（バンクーバー、トロント、モントリオール）でカナダ・ケベックの前衛演劇について学ぶ。2007年7月に東京で開催される第３回カナダ現代演劇祭実行委員。夢はバンクーバーと姉妹都市である横浜で、第４回カナダ現代演劇祭を開催すること。「エチュード」という創作手法に長け、役者そのものから滲み出すエッセンスを利用した舞台製作が多く、舞台「ＨＯＭＥ」は役者が実際に歩いて考えたことをベースに作られている。「エチュード」は「脚本」に沿った演技に慣れた役者にとってはある種壁の高い創作手法であり、スリリングな舞台制作のアプローチでもある。
出演	石川ゆうや片岡正二郎小橋豊渋谷幸枝嶋崎朋子環ゆら坪井美奈子久松信美福岡佑美子由地慶伍吉村公佑
出演者12名が実際に「川越街道」を池袋から川越まで歩いた体験をもとに、昨年9月に池袋シアターグリーンにて初演。熱烈なアンコールの声に応え、今回赤坂に場所を移し再演が決定しました。この1年間に、東京都が定めている16の帰宅支援対象道路のうち、「千葉街道」「玉川通り」「中山道」「日光街道」を踏破、来る8月18日には６ルート目の「第一京浜」を横浜まで歩きます。その体験をもとに「神奈川バージョン」を製作し、今回は「埼玉（川越街道）バージョン」と日替わり2本立てで上演します。