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ニュージーランド地震(クライストチャーチ)を考える

time 2011/02/23

ニュージーランド地震(クライストチャーチ)を考える

ニュージーランド地震(クライストチャーチ)を考える  [編集長コラム]

2011年2月22日午後12時51分頃(現地時間)、ニュージーランド南島の東部にあるニュージーランド第2の都市クライストチャーチ(Christchurch,South Island of New Zealand)でM6.3の強い地震が発生した。
震源地はクライストチャーチ南西10km、震源の深さは浅く4〜5kmという都市直下であった。

震源が人口密集地域の都市部であったこと、また、イギリス植民地時代(英国は地震がほとんど発生しない土地柄なので当時の建築物は揺れに弱い建物が多い)に建てられた古いレンガ造りの建物が多いことから、揺れによる建物倒壊で大きな被害が発生した。留学中の日本人学生らが巻き込まれたことから日本でも連日安否報道がなされている。一日も早い救出と無事を切に願うばかりである。

翌23日、地震による死者は75人、行方不明者も300人に上り、ニュージーランドのキー首相は国家非常事態を宣言。

日本と同じくニュージーランドの地下は、太平洋プレートとオーストラリアプレートの二つがぶつかる複雑な地盤活動をしている地震の巣としても知られていた。

ちなみに、ニュージーランドはどのくらい地震が多いかと言うと、だいたい、年間の地震回数は14,000回、そのうち有感地震は150回、そして何らかの人的物的な被害の出る地震は約10回ほどある。

さて、今回の地震は、まだ詳しくはわかっていないながらも専門家の見解では、昨年2010年9月4日午前4時35分にクライストチャーチ西北西55km、震源の深さは12kmで発生したM7.0の「カンタベリー地震(Canterbury earthquake)」の余震かもしくは関連する一連の地震ではないかと言われている。

昨年のカンタベリー地震では、震源域が農村部だったため死者ゼロ、重傷者2人(うち1名は後に死亡)、軽傷者100人と、大きな人的被害が発生しなかったこともあり、また邦人が巻き込まれなかったことから日本国内のマスコミではほとんど報道されることはなかったが、経済被害37億ドル(約3000億円)という2010年を代表する世界の大きな自然災害に数えられる規模のものだった。

世界的に地震防災技術の発達したニュージーランドでも、このカンタベリー地震を教訓にして、特にクライストチャーチの古い建築物の耐震化の議論が叫ばれていたそうだが、まさにその時に、今回の最大余震が都市部を襲った形になる。

過去、日本でも、余震にも警鐘を鳴らすできごとがあった。
1944年12月7日の東南海地震の最大余震として僅か1ヵ月後の1945年1月13日に愛知県南部直下で「三河地震(M6.8 死者2,306人 家屋被害32,963棟)」が発生している。

地震が多いニュージーランドは、国土に丘陵や台地が多く、割合に地盤が強固であるため、地震による被害という面で(日本人の感覚からすると)余り被害が生じていないように感じられるケースも多い。また、ニュージーランドは日本の7割ほどの国土面積に対して人口が僅か430万人しか住んでいないため、人口密度が1平方キロ当り16人と日本の5%程度の人口密度であることも幸いしている。しかし、クライストチャーチ近郊は沖積地(その昔の河川で山々が削られて土が運ばれてきた土地)ということらしく、ニュージーランド国内でも地盤は比較的に軟弱だという。
外電のニュース映像でも、人家の庭や道路から液状化現象と見られる、水を含んだ泥土の噴出が確認できた。これらは沖積地や埋立地でみられる現象である。

さて、このニュージーランドの地震で見えた最大の教訓は、1995年の阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)で指摘されたものと同じ「既存不適格建築」の問題である。

既存不適格建築とは、現行の耐震基準の法律が施行される以前に建てられた古い家屋や建築物のことを指す。

阪神の震災では、建物被害のほとんどが、古い耐震基準で建てられた建物(既存不適格建築)であり、それらの倒壊と倒壊した建物による火災で、被害を広げたことが分かっている。
また、倒壊した建物は多くの瓦礫を生み、これらが消火活動を妨げ更なる被害を広げたことで、物理的な限界はあれど、地震に強い新しい基準で建てられた建物が大切ということを知らしめた震災でした。

私は、ニュージーランド国内の建築基準がどのようなものか知りませんし、また、英国領時代の建物は崩れやすいが燃えにくいレンガ造りであったため、幸いにして大きな火災の被害は出ていないようですが、それでも日本の「既存不適格問題」とほぼ同じことが言えるでしょう。

※参考までにNZBC(ニュージーランド建築基準)をPDFでダウンロード(英語)

ここのブログや自分の管理するその他の防災のWEBページを見ていると、今回の地震災害では、マスコミの報道量に比べ実際にはさほどアクセスが増えていません。多くの人は、もう「災害報道」に慣れっこになってしまったのでしょうか。それとも「対岸の火事」と思っているのでしょうか。

地球規模の地下活動期に入ったと言われて久しい地球。
災害は忘れた頃にやってくるかもしれません。

明日は我が身、かもしれません。

ご自宅で、今一度、災害への備えというものを考えてみましょう。

■この記事に関連する防災格言内の記事
今週の防災格言<133> 目黒公郎氏(都市災害軽減工学者)(2010.5.31 防災格言)
今週の防災格言<113> 元FEMA長官・ジェームズ・L・ウィット氏(2010.1.11 防災格言)
地震史 日本地震学会物語(2003.10.16 編集長コラム)
災害用備蓄食(25年保存非常食)サバイバルフーズ

■ニュージーランド地震(クライストチャーチ地震)情報(外部リンク)
クライストチャーチ地震復旧情報マップ(NZクライストチャーチ市)
カンタベリー(クライストチャーチ)地震 民間防衛・危機管理情報サイト(NZクライストチャーチ市)
地震犠牲者名簿(NZ警察)


クライストチャーチの液状化現象が良く分かる映像

<編集長 拝>

 

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