防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

アメリカ ラムズフェルド元国防長官が亡くなった。88歳。

time 2021/07/01

アメリカ ラムズフェルド元国防長官が亡くなった。88歳。

ラムズフェルドさんが亡くなった。合掌。

彼は、国防長官時代の2003年にイラク戦争を開戦するにあたって「ラムズフェルド戦略(米軍のトランスフォーメーション)」を立ち上げた。
そして、自身が考案したラムズフェルド戦略による「イラクの治安悪化」によって辞任した人物である。

だから私は、彼を、ラムズフェルド戦略に始まり、ラムズフェルド戦略に終わった人であると評価している。

ラムズフェルド戦略は、言うなれば、ハイテク兵器を使った先制攻撃(電撃戦)により、通信・インフラを破壊して各部隊を孤立させ、少ない犠牲と少ない日数で、戦争コストを劇的に低く抑えて戦争に必ず勝つ、という新戦略である。
ただ、これをやるためには「パリ不戦条約(ケロッグ=ブリアン条約)」の先制攻撃と侵略戦争についての解釈に違反する恐れがあった。だからフランスなど「古いヨーロッパ陣営」が難色を示したので、色々とそのための政治的駆け引き(大量破壊兵器がある)が必要だったのだが、レーガンに比べるとブッシュさんの役者としての演技力は少し足りなかったかもしれない。

そして、ラムズフェルド戦略には重大な欠陥があった。
敵国の通信網を徹底的に破壊し全てを孤立させるので、敵国との対話(敗戦・休戦交渉)が一切できなくなってしまう。降伏の申し入れすらできなくなったサダム・フセインは逃亡するしかなくなくなった。

アメリカがイラクに進駐したときには、イラクの治安について責任を負うすべての政治家、政府行政機関が壊滅し無政府状態となり、イラクの治安は悪化することになる。
その後、イラクの治安が悪化し続け(あたり前)、そんななか、イラクのアメリカ軍の収容所でイラク人捕虜虐待がマスコミに大きく報道され大炎上、これらの治安についての責任を問う声が高まり、2006年の中間選挙で与党・共和党が敗北した責任をとる形で辞任した。

Wikipediaを見ると、軍産複合体の体現者で、他者への配慮が欠ける、とも揶揄されている。なるほど、そうなのかもしれない。
ただ、どんな内容にせよ、戦争の人類史では後世に語られる人物なのだと思う。

知らないと知っていることもあるし、
知りたくないことと知っていることもある。

《FYI》
このコラムの原文(SEISHOP FACEBOOK 2021/07/01投稿)
https://www.facebook.com/seishop/posts/4101879443194654


執筆者:平井敬也@思則有備編集主幹 拝
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