防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

行政に命を委ねるな!令和時代に水害から命を守る準備と行動|高荷智也(備え・防災アドバイザー)

time 2019/09/02

行政に命を委ねるな!令和時代に水害から命を守る準備と行動|高荷智也(備え・防災アドバイザー)

2) 避難の事前準備について

自宅が「“立退き避難(水平避難)”の必要な家庭」に該当する場合は避難の準備が必要です。直前になって慌てて準備を始めると、自宅の立地によっては手遅れになる場合があります。この場合の手遅れとは「自分と家族の生命が危険にさらされる」ということですから、自宅が浸水地域にあるような場合は、避難場所の把握と非常持ち出し袋の準備をライフワークとして生涯取り組む必要があるのです。

■「避難場所」と「避難所」の違い

ハザードマップに「避難場所(指定緊急避難場所)」と「避難所(指定避難所)」の両方が記載されている場合は、「避難場所」を目指します。避難場所は命を守る場所で、避難所は自宅が破壊されたり、電気ガス水道などのライフラインが停止したりして、生活ができなくなった方が一時的に身を寄せる場所という違いがあります。
避難場所は災害の種類で変わり、さらに河川洪水の場合は、はん濫した河川によって浸水する地域が変わるため、同じ洪水でも河川Aの場合はこの小学校、河川Bの場合はこの中学校という具合に避難場所が異なる場合があります。「避難場所=最寄りの学校」などと考えず、ハザードマップの種類ごとに避難場所がどこなのかを確認してください。

■非常持ち出し袋が必要な状況とは

不意打ちで生じる大地震と異なり、気象観測網が整備されている日本の場合、浸水害や土砂災害は数時間~数日前に予報が出てから発生します。「気がついたら土砂に飲まれていた」「あっという間に浸水した」というコメントを報道で耳にすることがありますが、これは文字通りの意味ではなく「避難が遅れたため」という枕詞が付いての意味合いとなります。水害避難の基本は「水没する前・崩れる前に逃げる」が正解です。
とはいえ本当に避難が必要な状況になることは希で、多くの場合は幸運なことに避難が空振りに終わります。逆に考えれば本当に避難が必要な状況というのは、すでに周囲が浸水を始めている手遅れになりつつある状況であると言えます。この場合は一分一秒を大切にする必要があるため、自宅を素早く安全に飛び出すためのグッズをまとめておくと役立ちます。

■水害避難時の非常持ち出し袋について

非常持ち出し袋は水害や土砂災害専用というわけではなく、大地震による津波や地震火災(大規模延焼火災)から避難する際にも必要な準備となります。中身として入れておきたい物を、重要な順番に以下へ紹介します。

1) 体の一部・生きるために必要な道具

    • メガネ・補聴器・杖・医療器具・持病の薬・お薬手帳など

2) 安全を確保するための道具

    • 雨具(レインウェア上下)、LEDヘッドライト、手袋、マスク、ヘルメット、応急手当セットなど

3) 情報収集の道具

    • 印刷したハザードマップ、乾電池スマホ充電器、ポケットラジオ、ペンとメモ帳、家族の連絡先メモや写真など

4) 避難先で使用する道具

    • 1回分の着替えとタオル(水害用)、アルミブランケット、使い捨てカイロなど。冬場は防寒グッズを少し増やす
    • 非常用トイレ数回分、ウェットティッシュなど

5) 水と食料

    • 携行食少量(そのまま食べられる物)、水少量(500mlペットボトル1~2本)、ゼリー飲料など。夏場は熱中症対策で水を少し増やす

6) 個別用品

    • 生理用品、赤ちゃん用品、介護用品、ペット用品など、自分や家族には重要だが避難場所・避難所では入手しづらい物を追加

避難時は両手を空けることが望ましいため、雨具は傘ではなくレインウェア、ライトは懐中電灯ではなくヘッドライト、バッグもスーツケースではなくリュックサックが望ましいです。また浸水避難時は足下が滑りやすく、また素早く移動しなければならない可能性があるため、重量は「背負った際に走れる重さ」にとどめます。特に食料品が重たいため無理なく背負える重さに調整してください。

次は、避難の判断と避難場所への移動について・・・
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