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マンション防災はコミュニティー作りから|特別寄稿

time 2019/02/27

マンション防災はコミュニティー作りから|特別寄稿

マンションの管理組合向けコミュニティ紙「アメニティ」を発行し57年になる株式会社東京プラニングの長尾睦子社長に、マンションの防災についてお話を伺いました。


マンション防災はコミュニティー作りから

著者:株式会社東京プラニング代表取締役 長尾睦子

 

日本における集合住宅の戸数は644万戸あり、東京都内では31%、都心3区では80%の方が集合住宅で暮らしています。人生100年時代、終のすみかとしての地位を得てきた集合住宅です。物件の価値を高め、安心して過ごせる場であることのお手伝いをすることが東京プラニングのミッションです。

災害時に誰が助けてくれるのか?

私は、災害が起こった時にいったい誰が音頭を取り、どのようにして避難をするのか?という疑問を持ちました。

幼稚園では園長先生の指示、小学校は校長先生の指示、町会は町会長の指示、マンションは理事会を中心として避難訓練を行っています。色々な訓練に参加をしていましたが、災害はいつ起こるか分かりません。現在働いているお母さんが多く、昼間に災害が起こったらすぐにはお迎えにいけないのが現状ですし、昔のようなご近所のつながりが弱い中で、色々な組織を緩やかにつなげるコミュニティーの必要性を強く感じました。

そして、小学校のPTAのお母さん達を中心に支え合える手という思いを込めて「ささえ手」というNPO法人を立ち上げました。

マンションでの合意形成の難しさ

マンションに目を向けると、もっとコミュニティーの必要性を感じます。個別の所有者の集合体ですが、集合住宅であるため色々な規約があり、建物の耐震、維持管理、備蓄管理、規約変更でも合意形成が必要です。向こう3軒両隣ですらよくわからず、合意形成の難しさが浮き彫りになり、一部の中学の公民の教科書では身近な問題の解決方法を考える題材として取り上げられています。

 個人情報保護法の壁もあり、緊急連絡先などの情報収集が困難な現状があり、お互いを知らない事による不安や対立が起こっています。ですが、騒音被害がお孫さんの来訪によるものだと分かれば幸せな音に変わるかもしれません。

コミュニティ形成で問題を解決

ささえ手では、地域社会の中で人々と生きていく重要性を伝える手立てとして、子供たちには災害時の料理教室、危険マップ作り、地域の方々とはワンワンパトロール(登下校時に合わせてのお散歩)お祭りなどの行事を通じ戸建て・マンションの垣根をなくす取り組みをしています。

楽しい行事(コミュニティー活動)を通じてコミュニティーを形成し、コミュニティーの力で地域の防災力を高める活動が重要です。

NPO法人ささえ手でのマンションコミュニティーイベントの様子

【著者Profile】

長尾睦子
長尾 睦子(ながお むつこ)
大学卒業後、三井物産株式会社の化学品部門で建築資材を扱う。
専業主婦時代に地域の防災体制のあり方に疑問を持ち、PTAのお母さん達とNPO法人を立ち上げ、ネットワーク作りに勤しむ。コミュニティー形成活動の中で料理研究家として子供達や地域の方向けの料理教室を開催する。
第三子の小学校卒業を機に宅建士等の資格を取り不動産会社で勤務。その後UR都市機構の団地管理の仕事に従事する。現職では、女性目線で今までの経験を紙面作りに活かしている。

株式会社東京プラニング
本紙は1982年に集合住宅管理新聞として創刊され、その後快適さを意味する「アメニティ」という愛称をつけて管理組合関係者のみならず居住者の方々にも読者層を広げ、マンション管理とメンテナンスの啓蒙をする専門紙として今年で57年目を迎える。
日本人の永住地として完全に定着したマンション。人生100年時代を迎え、建物管理の技術的・法律的なノウハウはもちろん、コミュニティー、防犯、防災、高齢化などの様々な問題にスポットを当て、快適で幸せな住まい方を提案。
「アメニティ」はNPO日本住宅管理組合協議会(日住協)の活動と連携し、管理組合役員、管理専従者、居住者、各専門家等々と意見交換しながら快適な居住空間作りに貢献しています。

 アメニティ新聞ではコミュニティー形成の為のイベントを開催している団体をご紹介しています。コミュニティー活動の継続に大きな役割を果たす「楽しい行事」などイベント活動を通じて得られる地域住民らの共生意識は地域の防災力の高まりに繋がります。本紙ではこれらの重要性を伝える情報提供もしています。

関連リンク

集合住宅管理新聞「アメニティ」
http://www.mansion.co.jp/


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