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《インタビュー》 電磁波の専門コンサルタント、電磁波シールド株式会社技術代表・齊藤健さんに「電磁波パルス攻撃(EMP攻撃)とその対策」について伺った

time 2017/11/01

《インタビュー》 電磁波の専門コンサルタント、電磁波シールド株式会社技術代表・齊藤健さんに「電磁波パルス攻撃(EMP攻撃)とその対策」について伺った

ー そもそも電磁波とは何ですか?どんな種類があって、私たちの体にはどんな影響があるのでしょうか?

齊藤 電磁波とは「電と磁の波」。電は電場、磁は磁場を表します。電場と磁場は時間的に変化(振動)し、その周波数(1秒間に変化する数)により分類されます※1)

電磁波と周波数・主な種類

例えば、方位磁石は地球が持っている磁気(地磁気)に反応します。また、ラジオは空間を飛んでいる電波を拾っています。太陽からの恵みである太陽光も電磁波です。このように電磁波は身の周りに様々な形で存在しており、私たちはその恩恵を受けているのです。

一方で、電磁波は体に影響があるのではないかという声も高まっています。例えばエックス線※2)やガンマ線を浴びることは被爆と称され、健康被害が認められています※3)。最近では、1992年に送電線からの電磁波と小児白血病の間に弱い関連性があると発表されたことが大きな話題となりました※4)。科学的に確実で皆が納得できる結論には至っていないというのが現状ではないでしょうか。

ー 普段から何か対策を打っておく必要はあるのでしょうか?

齊藤 例えばエックス線やガンマ線を使用する医療分野では、被爆量を抑制するためにガイドラインを設けています※5)。このように、一般の人にとっては安心して生活できる環境が整っていると言われています。しかし、例えばスマホが広く普及し始めたのが2000年頃とすると、7歳からスマホを使っていたとして約17年間の影響をどう評価するのか、この辺りがまだ完全に安心できない部分ではないでしょうか。

例えば、通話時にスマホを直接耳に当てるのではなく、スピーカーフォンを使用することでスマホ本体を頭から離している人を見かけます。電磁波を遮蔽(シールド)する機能が搭載されたスマホカバーも販売されているようです。但し、専門家から見ると首をかしげたくなるような製品もあり、どの製品が本当に機能的なのか見極める必要があるでしょう。

中には、部屋を丸ごと遮蔽構造にしたいという相談もあります。例えば医療分野で活躍しているMRI装置やCT装置などは全てそのような特殊な部屋(シールドルーム)に設置されています。但し、一般の人が手軽に備えるまでには至っていません。

ー 最近よく聞く電磁パルス攻撃とは何ですか?

齊藤 電磁パルス(EMP:electromagnetic pulse)は、極めて短い時間に発生する電磁エネルギーで、電場・磁場・電磁波・電流などの形態があります。短時間ではありますが、非常に高いエネルギーであるため、電子機器(半導体回路や電子回路など)が影響を受けることがあります。影響を受けると、電子機器やシステムが誤動作や停止することもあり得ます。

ー そんなに影響があるものなのですか?

齊藤 近年では社会インフラの電子化が進んでおり、例えば、交通信号/航空/輸送システム・金融システム・石油/ガス/水道の供給ライン・通信/電力システム・消防/警察/医療/防衛システム・行政システムなどにおいて、対策の必要性が高まっていると言われています。

仮に、インターネットなどを含め、これらが急に(一瞬で同時に)ストップした社会を想像してみると、社会としての営みができず、外部からの支援も無ければ、生死に関わるかなり深刻な事態が想定されるのではないでしょうか※6)

ー それでは、どうやって電磁パルス攻撃を防ぐのですか?

齊藤 対策の一部として、電磁波シールド技術が必須となります。電磁波を遮蔽する「シールド技術」は古くから研究されており※7)、現在では対象となる電磁波の種類によって様々な素材を使い分けます。それらに適切な形状加工や継ぎ目加工をすることにより、性能を確保します。電磁波シールド技術の他にも必要な技術があり、綿密に設計する必要があります。

ー 企業はどのような対策をしておけばよいのでしょうか?

齊藤 例えば、オフィスのコンピュータやハードディスク、工場の稼働システムなどは対策の重要性が高いと思われます。部屋ごとに対策する方策もありますので、費用対効果やコアヴァリューなどを主体に対策の計画を立てると良いでしょう。大切なデータは、バックアップ用ストレージを対策(電磁波シールド)しておくと良いですね。

ー どんな企業が対策を考えればよいのですか?

齊藤 例えば、電気・水道・ガスなど社会インフラを担っている企業様、情報・通信系の企業様、交通・物流系の企業様、金融系の企業様は、対策検討をしておかれることをお勧めいたします。また、行政サービスなども必要と思われます。

ー 電磁パルス攻撃に対して、 一般家庭ではどんな準備をすれば良いのですか?

齊藤 大切な電子機器として、パソコンやスマホが挙げられます。普段の使い勝手は劣るかもしれませんが、これらを電磁シールド対策しておくのも一案です。例えば、電磁波シールドされた箱の中に収容しておく、電磁波シールドカバーに入れて持ち歩くなどです。また、地震対策と同様の幅広い対策(食料・水など)も、いざとなった際には必要となると推測されます。

齊藤 健

【プロフィール】齊藤 健 Saito Takeshi

電磁波に関する研究者。技術士(電気電子部門)。第一級陸上特殊無線技士。電磁波シールド(遮蔽)に関する広く深い知識と経験を有す。大手総合建設会社にて技術研究所 主任研究員などを務める。延べ約80件の知的財産に貢献。IEEEなどで論文掲載。過去400年間の常識を覆したと言われる開放型磁気シールドの発明などの功績が認められ、Who’s Who in the World(世界の紳士録)に掲載。国家プロジェクト(経済産業省 戦略的基盤技術高度化支援事業)のリーダーも務め、将来を期待される技術分野の代表的存在。

※1)
電磁波を波長(一波の長さ:例えば山から山の距離)で分類する場合もあります。電磁波の波長と周波数は1対1の関係があり、例えば波長がわかれば周波数を特定できるという特徴があります。

※2)
エックス線を発見したのはレントゲン博士(1895年)で、この功績により第1回ノーベル物理学賞に輝きました(1901年)。彼は、科学の発展は万人に寄与すべきであると考え、エックス線の特許等によって個人的な経済的利益を得ようとは一切せず、ノーベル賞の賞金も大学に全額を寄付したそうです。エックス線により、人類は初めて体の中を透視することが可能となりました。

※3)
放射線障害と呼ばれており、生体に対する健康影響があると言われています。

※4)
ウェーデンのカロリンスカ研究所のファイヒティング博士とアールボム博士の疫学研究によるもので、1960年~1985年の間に送電線から300m以内に居住していた約44万人を対象にした調査。

※5)
例えば『放射線治療計画ガイドライン 2012年版』(公益社団法人 日本放射線腫瘍学会編)。画像診断は現代医療の発展に欠かせないものとなっており、放射線被爆の無いMRIによる検査で可能な領域を拡げるための技術開発の推進など、不断の努力が続けられています。

※6)
2004年にアメリカ議会に提出された専門家委員会の報告書によると、米国全土で社会インフラが崩壊し、復旧に数年を要した場合、食料や燃料、医薬品等の物資の不足と衛生状態の悪化が起こると指摘。深刻な疫病と飢餓が生じる結果として「1年後には米国人の90%が死亡」という衝撃的な結末が予測されています。

※7)
1589年にイタリアのJ. B. Della Portaが、鉄を使った「磁気シールド」について文献『Magie natulis (自然魔術)』に記述を残しています。

電磁波シールド株式会社

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