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東海地震で対策大綱まとまる

time 2003/05/30

東海地震で対策大綱まとまる
東海地震で対策大綱まとまる  [編集長コラム]

2003年5月29日、東海地震の防災対策の基本方針を定める「東海地震対策大綱」が初めてまとめられました。

これは、東海地震の予防策から警戒宣言時や災害発生時、復旧・復興策までを含めた東海地震対策全てのマスタープランとなる重要なものです。

既に大規模地震対策特別措置法(大震法)に基づく「地震防災基本計画」で警戒宣言時の対応について既に強化地域内を対象に定めらていますが、今回の大綱では、強化地域外も含められたのが特徴です。

主なポイントは4点。

「被害軽減のための建物の緊急耐震化対策の実施」
「地域における災害時の対応能力の強化」
「警戒宣言前から的確な行動」
「災害発生時に広域的な防災体制づくり」

東海地震が予知できなくても被害を最小限に抑えられるよう、普段からの備えに重点を置いており、阪神淡路震災では犠牲者の8割が建物倒壊による圧死だったことからも個人の住宅や公共施設の耐震化とその啓蒙を重要視しております。

現時点、強化地域内の全住居では、木造家屋の6割が古い耐震基準で建てられており、学校の約5割、病院の約4割の耐震性に疑問があります。
東海地震被害想定のシミュレーションでは、これら耐震化不適の建物の倒壊などで約6,700人の死者が出るとされており、明日起きても不思議でない東海地震に対して強力な対策が必要とされています。

具体的には、地震ハザードマップの作成や住宅性能表示制度などを用いて地域住民の徹底した意識啓蒙を行い、助成金など各種支援制度を充実させるとしています。

東海地震の正確な知識として、予知できる場合と予知できない場合もあり被害がどの程度で、必要な備え(家の耐震化、家具の固定、備蓄)、警戒宣言時や発生時にとるべき行動を、徹底的に普及させるなど、地域における対応力の強化が不可欠としています。

これらを踏まえ、被害想定をもとに救助物資や部隊の必要量を予め計画し地震発生後に速やかに準備(物資の調達・派遣)を行い応急活動が実施できるように対策マニュアル「東海地震応急対策活動要領」を策定するとしています。

国の東海地震対策はこれまで「警戒宣言」の発表を起点にしてきましたがまだ前兆かどうか判断できない「観測情報」について、データを見守る段階と防災の準備行動をとる段階と2つに分けており、児童の帰宅や旅行の自粛など混乱を避けるように対応を取れるようにするなど、地震の予知が極めて難しいうえ警戒宣言を出すタイミングが遅れる可能性なども踏まえて、防災対応の立ち上げが大幅に前倒できように考えられた、とても現実的なマスタープランとなっています。

大綱の中間発表時にも紹介しましたが、警戒宣言時に原則として営業中止にするとされていたのが、耐震性の進んだ病院やコンビニエンスストア等小売店で自ら安全性を確保できると判断した場合には営業の継続が可能とされ、鉄道などの運行も一定の条件を定め事業者の判断に任せています。

コンビニエンスストア等への安定物資輸送について、安全な輸送の方法、ルートなどを予め計画し、関係都県と予め営業が実施できるように協定を結ぶなど事前に準備を実施するとしながら、これらは、救急・医療・消火活動の車両に影響を与えないと認められる期間の経過後から段階的に通行できるように関係機関で計画を策定することにも言及しています。

今後、避難を的確にするためとして、強化地域内の学校、公民館、劇場、百貨店などの公共施設の耐震性リストを公表するなどの方針まで盛り込まれたことは、かなり興味深いことです。

コンビニ業者の輸送と店舗の営業行為とを切り離して考えられているのが店長の個人的な注目点で、これら輸送に関する関係機関の今後の動向に注意していきたいですね。

※関連情報リンク [中央防災会議]
 http://www.bousai.go.jp/taikou/index.html
 本文30ページhttp://www.bousai.go.jp/taikou/taikou.pdf
 資料http://www.bousai.go.jp/taikou/sankou.pdf

<編集長 拝>

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