防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

東京に原子力発電所を誘致する

time 2007/08/22

東京に原子力発電所を誘致する
東京に原子力発電所を誘致する  [編集長コラム]

いきなり何を!? 店長はついに狂ったか・・・

なんて思った人もいるかと思いますが、この言葉は、東京都知事 のお言葉なのです。
ははは、もっと驚きましたか?

さて、悪ふざけが過ぎましたが、

実は、東京都知事といっても、私が最近、家の近所のレンタル屋で借りた2002年の映画「 東京原発 」の中でのお話です。
「東京原発」Official site⇒ http://www.bsr.jp/genpatsu/

この映画は、俳優・役所広司さん扮するカリスマ東京都知事が、原子力発電所を東京のど真ん中に建てることで、原発に対し日頃から無関心な都民(国民)の注意喚起をする、というよな社会風刺コメディ作品です。

物語の進行の大部分が、都庁の会議室内という、まるで舞台劇のような映画なのですが、都知事のぽっとした思いつきのような提案に、都丁の幹部達が右往左往する様子、賛成、反論、太鼓もち、様々な意見が出たりしながら、議論が進行するにしたがい、だんだんと幹部達が都知事の本当の思惑に気付いていくという脚本はたいへん面白く観ることができます。

私が、いまここで、この映画を取り上げたのは、日本の原発といえば心配なのが地震、日本は地震大国であると同時に世界第3位の原発大国ですから、地震と原発安全という議論は、現実世界でも、無視できない防災の大きな論点の一つだからです。

そして、映画の中でも、このような当然の議論や問題提起が取り上げられています。

原発誘致で、安全神話に議論が落ち着こうとする際に、綾田俊樹さん扮する専門家の学者先生が登場し、原発と地震の関係について説明するシーンが多分にあるのですが、これが、たいへん地震の知識として勉強になるのです。

日本の原発は、この「東京原発」で大きく取り上げられた安全性議論の他にも、エネルギー問題や地球温暖化(二酸化炭素排出)対策への切り札としてのクリーンエネルギーなどなど、種々の国策と密接にかかわるので情報を整理しようとすると複雑なのですが、この映画では、地震の加速度「ガル」について原発の安全設計想定については大いに参考になることでしょう。

余談ながら、私が特に感心したこと。
この学者先生・・・、誘致に反対の立場(?)の都庁幹部が招聘した専門家だったのですが、配役の綾田俊樹さんの妙な雰囲気と淡々とした演技もさることながら、先生は、ただ聞かれた質問に、専門家として情報だけを提供するというスタンスで演じ分けられていまして、これが「いかにも科学者らしい」と思えた部分でした。

私(店長)も科学者出身(?)なので、どこか知り合いに似ているな〜と苦笑してしまいます。

さて、先日に発生した中越沖地震は、私たちが初めて経験した原発震災です。

このメールマガジンでも、過去に、原発震災(特に浜岡原発)を何度か取り上げましたが、地震直後に柏崎原発の敷地から立ち上った黒煙。
多くの人が「はっ」とした瞬間だったことでしょう。

原発の近くにある活断層を考慮しなかった政府の大ポカはあれども直近の活断層が動いた地震で、想定より2倍以上の大きなゆれに直面したにもかかわらず、安全システムが働き、大事にいたらず、ほっと胸をなでおろしました。

地震そのものの想定が大きく外れてしまったことはもちろん、使用済み燃料が水漏れし、微量の放射性物質が海に漏れ、敷地内で火災が起こったのに消火活動が遅れ、それらについて地元住民や関係機関への報告も遅れ、そして東電のずさんな対応・・・更には、原子力安全委員会、原子力安全保安院の存在よりもIAEA査察受け入れとそれへの期待論、今回、日本の原発は、一定の安全性が機能したとはいえ、これら多くの「想定外」なできごとが、一度に起こりました。
この地震を契機に、政府は今後、原発震災についてのソフト・ハード面の多くの施策を行うことになるでしょう。
私は今後の動きに注目しています。

IAEAという国際機関が間に入るという、文字通り、世界も注目する日本の原発安全は、1999年のJCO臨界事故にはじまり、2004年の美浜原発事故、そして、今回の中越沖地震による柏崎原発事故と3回になります。

不祥事が明るみになるにつけ、原発関連のニュースは、とても多くなってきたように感じていますが、そんな時代の中にあっても、やっぱり科学の最先端である原発知識というものはどこか難解で、私たちは、8年前の臨界事故の頃と大差ない程度くらいしか原発を理解してないのではないかな・・・と思います。

映画好きの私(嫌いという人は少ないと思いますが)としては、賛成・反対と単純な感情論が横行したり、いろいろと面倒で難しい原発というテーマを、低予算で、良くぞエンターテイメントとしてまとめたなぁ、と正直に思いました。
 
「地震の想定」とは何か? など、原発震災の一つの視点としての科学的な情報や何らかのヒント(気付き)、をこの映画を観て、楽しみながら、勉強する、そんな機会をきっと得ることができる映画じゃないかなぁと思います。

■「原子力発電所(原発)」に関連する防災格言内の記事や情報
 -原子力発電所の珍事件(2007.08.21 編集長コラム)
 -「安全」を考える(2004.09.30 編集長コラム)
 -国会で異例の警告 「大地動乱の時代」と石橋克彦教授(2005.02.23 編集長コラム)

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