多くの人は「安全」と聞けば、それはパーフェクトを意味するものと勘違いする。
例えば、綿密な設計を施した上に、シートベルトとエアバッグまで装備したこの自動車は安全なので、万一、事故を起こしても絶対に無事である、と果たして言えるだろうか?
旅客機だって絶対に落ちない保証があるわけでなく、100%の安全を確保し設計すると、走らない自動車と飛べない飛行機を作るしかなくなるのである。
つまり、「安全」とは、誰かが考えたある想定の基で「安全か危険か」と議論されて初めて意味を持つ、とても科学的な言葉なのだ。
しかし、この安全の尺度を誰もが好き勝手に想定すれば問題が生じる。だから政府などが指針や法律を設けて、これをクリアすれば安全である、と一定のお墨付きを提供する。
しかし、世の中はそこまで単純ではない。今の暮しを維持するためには「安全な飛べない飛行機」のように100%の安全を想定してしまっては何かと都合が悪い事柄も多いのだ。
そもそも、絶対の安全はあり得ないので、どんな些細なことにも想定外の出来事は起り得るものと考えねばならない。
ハイウェイが倒壊した米国ロサンゼルス地震の時に、誰かが「日本の高速道路の安全設計は万全なので、この程度の地震では絶対に倒壊しない」と公言して憚らなかった。だが、阪神震災では高速道路が横倒しとなった。
ほんの数年前まで、日本の原発も「絶対安全」と口々に言われていた。安全神話である。
JCO臨界事故から9月30日で丸5年目を迎える。安全の意味について改めて考える良い機会ではなかろうか?
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■「安全論・危険論」「防災論」「安全神話」に関連する防災格言内の記事
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