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火種(マッチ)を備える〜「プロメテウスの火」と呼ばれた200年前のイノベーション〜

time 2013/10/15

火種(マッチ)を備える〜「プロメテウスの火」と呼ばれた200年前のイノベーション〜

火種を備える〜プロメテウスの火〜

[編集長コラム]

ギリシア神話のプロメテウスとエピメテウスの兄弟は、神様から”地上の生物たちに生きるために必要な能力を与える役目”を申し付けられた。
エピメテウスは、大空を自由に飛ぶ羽や、獲物を一掴みする鉤爪など、大盤振る舞いした。
そのため、最後になって人間に与えるための能力がなくなってしまった。

人間に何を与えればよいのか考えた兄プロメテウスは、”火”を与えることを決め、オリンポス山から神々の火を盗み出して人間に与えてしまった。
プロメテウスは人間に火を与えた咎で神々より罰を受けた。
また、神々はエピメテウスにパンドラを与え、エピメテウスはパンドラの箱に隠していた人類にとってのあらゆる災厄の種を地上に解き放ってしまった。

何かを得て何かを失うという世の理を、人々は“プロメテウスの火”に例えた。

プロメテウスが与えた火は、人類に多大な恩恵を与えたが、同時に、”火”という科学技術は人類に災厄というリスクももたらした。

ノーベル物理学賞受賞者で原子核物理学の第一人者である朝永振一郎(1906〜1979)は、著書「プロメテウスの火」で『科学の恩恵部分(自分に都合の良い部分)ばかりを見るのではなく、デメリットについても引き受ける覚悟が必要である』と科学の原罪を説いた。

原子力発電はプロメテウスの火である。
革新的な科学技術であり、その恩恵は計り知れない。
私たちは、恩恵に預かる代償として、同程度のリスクについても引き受けなければいけない。
しかし私たちに選択肢は少ない。
既に始まっている事を止める事は、新たに事を始めるに等しく、だから止める事にも代償を支払わなければいけない。
どちらにも進めないのなら、現状を理解し受け入れることが必要なのかもしれない。

さて、今から200年前、原子力発電と同じく”プロメテウス”と名付けられた革新的な技術があった。

1829年、英国人のジョーンズは、それまで人類が大変な苦労(摩擦式・火打石式の火起し、火を綿などに移すことが必要だった)をして作っていた火を簡単に起こせる化学マッチを発明した。
「プロメチアン(プロメテウスマッチ)」と名付けられたこのマッチは、瞬く間に世界へと広がり、人類はどこにでも持ち運べる便利な”火”を再び手にした。
かのダーウィンもビーグル号航海でプロメチアンを持ち物としたという。

ただ、革新的だったマッチは、同時に害悪をもたらした。黄燐マッチを製造中の職工たちは燐中毒壊疽(りんちゅうどくえそ)という恐ろしい病気になった。
黄燐マッチは国際的に禁止されることになる。

その後マッチは、様々な技術的な改良が重ねられ、現在の安全マッチ(赤燐マッチ)が生まれることで、世界中の人々が安心して使用できる大変便利な製品となった。

現代の一般的な安全マッチは153℃が自然発火点となり、炎天下の車でも自然発火することがない。
さらに、湿気なければ、たとえ100年後でも使用できるほど保存安定性(化学変化が起きにくい)に優れた完成品となった。

人類が200年の歳月をかけ発展・改良させてきた”プロメテウスの火”である。

もしもの時のため”種火(マッチ)”を備えていただきたい。

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<防災格言編集主幹 平井 拝>

画像引用:Wikipedia-プロメテウス

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