「地震の巣」を考える

「地震の巣」を(少しだけ)考える  [編集長コラム]

昨日（2011年3月24日）の新聞に気になる記事を発見した。

地殻の破壊、茨城県沖で止まった…その理由は？（特集 巨大地震　讀賣新聞）
以下、記事を要約する。

海洋研究開発機構の調査で、南北500km、東西200kmという広大な範囲で破壊が起こった東北関東大震災（M9.0）で、なぜ茨城県沖の地殻で破壊が止まったのか、その理由は、フィリピン海プレートであったことがわかった。

今回の地震では、地殻の破壊が宮城県沖を中心にして北と南へそれぞれ進んでいったが、このうち、南下していった破壊は、茨城県沖と房総沖の境にあるフィリピン海プレートの北東端でちょうど止まったとしている。

日本の地盤は、北米プレートに太平洋プレートが沈み込み、ユーラシアプレートにフィリピン海プレートが沈み込んでいる。

一方で、関東地方は、北米プレートの下にフィリピン海プレートと太平洋プレートが沈み込む３重構造となっており、地殻構造が複雑である。茨城県沖は太平洋プレートの上にのるプレートが、北米プレートからフィリピン海プレートに代わる場所にあたっている。

今回の調査は、海洋研究開発機構による過去の探査で判明した茨城県沖の地下構造と、今回の余震の発生領域を比較した結果、余震の発生領域の南限がちょうどフィリピン海プレートの北東端に一致していたことで判明した。

――――以上。

茨城県沖は、地震の巣、と呼ばれる場所である。

他にも「地震の巣」といえば、福島県沖 や 千葉県東方沖 などの名があがる。

これら地震の巣は、なぜ地震が多いのか、科学的にそのメカニズムは余り良く分かっていないらしい。

今回の震災では、福島県沖地震、宮城県沖地震、岩手県沖（三陸沖）地震の異なる３つの想定されていた巨大地震と茨城県沖の４つの震源域がいっぺんにバリバリと動いた。

つまり連動型の超巨大地震になったというわけだ。

４つが連動して動いたエネルギーがＭ９.０だった。

で、震災で動いた広大なエリア近辺でよく発生する「地震」を考えると、

福島県沖、福島県会津、福島県浜通り、福島県中通り
宮城県沖、三陸沖、宮城県南部、
岩手県沖、岩手県内陸、岩手県沿岸南部、岩手県中部、岩手県北部
青森県東方沖、
千葉県東方沖、千葉県北東部、千葉県南部、千葉県南東沖、
茨城県南部、茨城県北部、茨城県沖

などの地域が頻繁に地震が発生している近隣地である。

これらのエリアで起こる地震は、恐らく、それぞれが相互に関連していて、連鎖的に発生を繰り返しているのだろう、と記事を読んで何となく思った。

今までは、日本海溝へと沈み込む太平洋プレートに引きづられて、一部の地域がズレ（アスペリティ）て地震となるというよな単純な説明がよくなされていた。

地震の巣である「茨城県沖」や「千葉県東方沖」ばかりで地震が多い理由が、私にはイマイチ理解できない。
（地震の専門家じゃないのでそもそも私の科学知識は欠けているが）

だって、太平洋プレートという大きな岩盤が、全体的に動いているのであれば、太平洋プレートが沈み込む地域で平均して地震が起こらなければ不公平というものである。

いつも「茨城県沖」や「千葉県東方沖」ばかりでは ずるい というものだ。

そこで、今回の記事が参考になる。

宮城県沖、岩手県沖、三陸沖などは、その部分の地下の岩盤の性質もあって、常に、大きく広い範囲の境界面がズレやすい（アスペリティ）、と仮定する。

そのため、Ｍ７とかＭ８クラスとか、大きなエネルギーをためるまでの期間は、なかなか地震が起こらない。

でも、エネルギーがだんだんとたまっていく間に、ギシギシと地下の岩盤はしだいにゆがみ、きしんで行く。

その”きしみ”のエネルギーをもろに受けてしまうのが、恐らく、「茨城県沖」や「千葉県東方沖」の地下の岩盤なのかもしれない。

つまり、岩手県沖 ⇒ 宮城県沖 ⇒ 福島県沖 の地下のエネルギーはなかなか上下に割れず（反発せず）に巨大地震になりにくい。
だから、太平洋プレートの沈み込んでいる南北方向の海底の「割れ目」に沿って、南北方向に向かうような受け流しのよな力が働き、その南側に向かう力が、直接、茨城県沖の海底の岩盤（フィリピン海プレートの北東端）にぶつかっている。

いつも３者のあり余るパワーを受け止めている茨城県沖はというと、後ろ側は太平洋プレートの沈み込み力が迫っており、右側にはその３者の力を受けてしまっていて、挟まれる形となって、常に揺れてしまうという訳である。

そして、その茨城県沖の地震の余波か、もしくは、茨城県沖と同じような力を受けているという理由で、岩手県沖 ⇒ 宮城県沖 ⇒ 福島県沖 ⇒ 茨城県沖 の次の岩盤である「千葉県東方沖」も揺れてしまっているのだろう。

記事にちなんでいうならば、

「茨城県沖」も「千葉県東方沖」も 太平洋プレート のパワーを首都圏にまで受けないようストッパーの役割を担っている

なんて考え方もできそうである。

なお、昨日、新聞記事を読んで、適当に思ったことを書いているのであしからず。

■「地震の巣」に関連する防災格言内の記事
–首都直下 ホントは浅かった 佐藤比呂志教授と関東大震災(2005.10.26 編集長コラム)
–空白域（くうはくいき）とは？(2006.1.17 編集長コラム)
–「想定外」を考える(地震学者篇)(2011.4.12 編集長コラム)
–今週の防災格言<185> 地震学者・坪井忠二氏(2011.06.27 防災格言)

※以下ご参考までに「茨城県沖を震源とする主な地震一覧」