防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

「能登半島地震」

time 2007/03/29

「能登半島地震」
「能登半島地震」  [編集長コラム]
 
3月25日に、石川県を中心とする震度6強の地震が発生しました。
私はその時間、恥ずかしながら、ぐーすかと寝ていましたが、テレビの速報テロップに気付いた妻が、すぐに私をたたき起こしてくれました。
 
私は、仕事柄もあって(10年ほど前から)各地の災害ニュース情報と、気付いた事などを全て自分なりに文章にまとめています。
日記のようなものですね。
 
テレビ報道に釘付になりながら週末を過ごしましたが、倒壊家屋の映像は多く流れても、現地の交通、通信、電気、ガス、水道、下水道などライフラインについての報道量の少なさに、苛立ちを覚えました(自分の文章にまとめる基礎資料にもなるし、これにより現地の被害程度が私にとって想像しやすいのです)
国の威信であった新幹線が脱線してしまった新潟県中越地震の頃の報道と比べて、少ないな・・・と多少の違和感を持ちつつ、報道を通じて、被害のあった行政地域が狭かったか、過疎地域だったかなどの要因もあって、人的・物的な被害そのものが比較的に軽い地震だったので報道の質と量が少なかったのではないか?と考えました。
 
以下は参考までに、少し長いですが、今回の地震について3月30日朝までに更新した私の記述内容です。
 

3月25日 <能登半島地震> 石川県で震度6強 1人死亡 重軽傷278人

2007年3月25日午前9:42頃、石川県輪島市の南西約30キロの能登半島沖でM6.9(震源の深さ11km)の地震が発生した。北陸を中心に広い範囲が有感。石川県七尾市、輪島市、穴水町で震度6強、志賀町や能登町などで震度6弱、珠洲市で震度5強、新潟、富山両県で震度5弱を記録。

輪島市内で崩れた灯篭の下敷きとなり女性1人が亡くなったほか、石川、富山、新潟、福井の4県で重傷30人、軽傷248人を出した。輪島市など2市3町の住民あわせて2,394人が一時自主避難した。地震発生から5日経た29日にも石川県内の36ヶ所の避難所に避難している人は1,183人に登る。

石川県の能登、加賀の沿岸に一時、津波注意報が発令され、一部で10〜20cm程度の津波が観測されたが津波による被害はなかった。

住宅の全半壊・一部損壊は1,825棟に上った(29日現在)が、住宅被害のほとんど(99%)は石川県に集中した。石川県内の被害は全壊76棟、半壊332棟、一部損壊1,374棟だった。

揺れによる直接被害は、石川県輪島市(総世帯数13,232世帯 住民34,062人)で、総世帯数の約4%となる538棟が住宅被害にあった。

能登地方では、前日までの雨の影響もあり、国道などでがけ崩れや陥没が相次いだ。石川県の県営能登有料道路の七尾市横田料金所付近が80mに渡り陥没するなど能登有料道路の8地区14ヶ所が崩落により封鎖(5月の連休頃の復旧の見通し)された。この陥没などにより、有料道路を走行中のバス4台、乗用車19台の計137人が道路上に取り残されたが、近くの別所岳SAに移動し、車を駐車したまま、徒歩で避難した(26日 読売新聞)。

尚、能登有料道路の崩落場所は、全てコストが安く工期も短い「盛り土工法」によって建設された区間であることが石川県の調査で判明した。

JR東日本の上越新幹線は、越後湯沢〜新潟間の運転が地震直後から2時間40分に渡り停止し、この影響により上越新幹線の9本が運休するなど約2万1400人の足に影響が出た。

能登空港(石川県輪島市)では、滑走路に亀裂が入り約25時間(26日復旧)閉鎖された。

のと鉄道も穴水駅など25ヶ所にレールの浮き上がりが発生し運転が中止されている。

がけ崩等による被害は、特に中山間にある輪島市門前町(3,349世帯 住民7,821人)が深刻で、本震の直後にがけ崩れや道路の陥没が相次ぎ、六郎木地区で8世帯16人、深見地区で37世帯87人の住民らが一時孤立状態に置かれた(26日17:00に孤立解消)。土砂災害は全体で石川県32ヶ所、富山県で1ヶ所。

ライフラインは、北陸電力によると、地震発生直後に変電所の保護装置が働き、石川県で11万戸、富山県で5万戸が一時停電したが、富山県は2分後、石川県の大半は10分程度で復旧し、翌26日午後16時50分までに電力は全て回復した。

石川県で13,280戸、富山県で38戸が断水。輪島市など2市2町の断水は9,550戸で、震源付近の輪島市(総世帯数13,232世帯 住民34,062人)と隣接する志賀町(しかまち 総世帯数8,003世帯 住民24,702人)で断水戸数の8割近くにのぼる。28日までの送水管の修理で、富山県では全て復旧、石川県も断水1,483戸までに復旧。断水は、石川県で被害の最も集中した輪島市門前地区(総世帯3,349世帯、住民7,821人)では復旧のめどは立っていないという(28日未明)。

能登地方では、翌29日午前までに280回以上の有感余震を観測。25日午後18時11分に輪島市・穴水町で最大震度5弱、3月26日午後14時46分に志賀町で震度5弱、3月28日午前8時8分には輪島市で3回目の震度5弱を観測する余震が発生した。

政府は、25日午前9時45分、首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置、塩崎恭久官房長官、平沢勝栄内閣府副大臣、野田健内閣危機管理監らが参集。防衛省は午前11時過ぎに陸自隊員約40人、ヘリコプター5機を派遣。午後に防衛省で100人を派遣、石川や輪島市などで人命救助活動を行い、航空機11機を動員し上空から被害状況の確認を行った。

朝の明るい時間帯の地震発生だったが、被災地区の多くが中山間の過疎地に集中したため、行政(市区町村)の対策本部が各地の被災状況を把握するのに手間取る場面も見られた(石川県輪島市門前地区の大まかな状況の把握は25日正午までかかった)。

石川県の谷本正憲知事は午前11時8分に陸上自衛隊に派遣要請をし、午後12時30分頃に県災害対策本部を設置した。県と自衛隊、他の自治体や消防庁や各消防本部との連携は比較的スムーズに進行したように思える。

3月27日には、現地ボランティア本部も開設し、翌28日から復旧が本格化している。

今回の震源域は、ユーラシアプレート内部の大きな地震があまり起きない珍しい場所で発生した地震だった。政府が活断層により地震発生確率を求めた「地震動予測地図」にも記載されていない場所である。2005年3月に発生した福岡県西方沖地震の時に、専門家からは「西日本は本格的な地震活動期に入った」との見解が出されたが、26日の読売新聞によると、尾池和夫京都大学長の談話として「紀伊半島から四国南方沖を震源とする海溝型の巨大な東南海・南海地震発生の数十年前には、こうした内陸部の地震が4倍以上に増える」と指摘したと記事にある。

防災科学技術研究所は25日午後、午前9時42分に石川県志賀町で観測された加速度が945ガルと発表。これは阪神淡路震災時の891ガルを上回る。

気象庁では(29日 AM10:00)今後3日以内に最大震度5強〜6弱の地震が発生する確率10%未満、震度5弱の地震が40%と発表している。

さて――――多くは、事務的な記述で、報道されたり発表されたりした情報を元に必要最低限のことしか記述していません。
今年に入って、ちょうど、どこかの局がテレビ番組を捏造したというニュースが話題になったという時期もあるのかもしれませんが、今回は特にテレビから自分が求めていた情報をうまくピックアップできなかったため、テレビの流す情報はどこかで取捨選択されたりしているのだな、と思いました。

テレビは、事前に製作してから放送されるものですから、どうしても作られたもの、ドキュメンタリー的なもの、第三者の見方によっては、それが偏っていたり、恣意的なものだったのでは?と疑ってしまいがちです。
 
そのような中で、今回の地震に関する情報の中で、特筆すべきは、いくつかのインターネット上のサイトの情報が、とても優れているな、と感じたことです。

どう優れていたかと申しますと、テレビの報道では出てこなかった被災地のレポートなどが写真付きで現地に入った人から紹介されていた事です。
また、阪神淡路震災の頃にはほとんど見られなかった、被災者側からの意見など、いわば<裏側>からの情報も多数見受けられました。

改めて、インターネットが普及し生活に根付て来たことを感じました。 

即時速報性のある報道が、目や耳から入ってくるテレビ番組に比べ、記録媒体としての側面もあるインターネットのホームページというのは、しばらく時間が経った後からでも、記事を読むことができる利点があります。
今回の災害を通じて感じたことは、インターネットという道具を使うことで、後日になっても、その時のことを色んな視点から知ることができ、そして、それぞれ皆さんが、改めて、災害について考える時間を持つことができる・・・そういった良い素材・材料がそろっているのです。
これは、過去の災害にはあまり見られなかった、価値ある情報なのではないでしょうか。

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<編集長 拝>

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