防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

勝浦は、なぜ涼しいのか…1906年来の気温をみてみた

time 2023/08/21

勝浦は、なぜ涼しいのか…1906年来の気温をみてみた

毎日のように熱中症警戒アラートが鳴り響くなかで「(猛暑でも)涼しいまち勝浦」というニュースが話題になっていました。

太平洋沿岸の千葉県勝浦市は、昔から避暑地として知られています。

その理由は「110年以上にわたって観測史上一度も気温35度の猛暑日がない町」なのだとか…。

今年、全国各地で猛暑日が記録されるなかで、勝浦市役所では “夏に涼しい勝浦” を避暑観光の目玉にとアピールしています。

勝浦と言えば、学生時代の夏休みに学友の勝浦の海辺の別荘へといったことがありました。

海岸へと避暑に訪れたのですが、彼の別荘にはエアコンがなかったので、私の記憶では夜は蒸暑く眠れなかったなーという当時の苦い思い出があります。

しかし、実際のところ、気象庁の観測記録をみてみると、1906年(明治39年)以来の117年間で、本当に猛暑日が一度も記録されていませんでした。

余談ですが、1906年(明治39年)と言えば、中国では清朝のラストエンペラー溥儀(ふぎ)が生まれ、夏目漱石が「坊っちゃん」を書き、岡倉天心がニューヨークで「茶の本」を出版した年でした。

*勝浦の年ごとの気温(気象庁)

https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/annually_s.php?prec_no=45&block_no=47674&year=1874&month=&day=&view=a2

地球全体に猛暑が襲い、地球温暖化を通り越して地球沸騰化だと騒がれている今も、どうやら勝浦には温暖化の影響はあまりないようにも見受けられます。

「史上もっとも暑い」などと言われた今夏でさえ、勝浦の最高気温は「34.5度(2023年7月17日記録)」です。

東京など首都圏で猛暑日が記録されているときに、勝浦は、2~3度くらい気温が低いようですね。

この117年間でもっとも暑かった日は、1924年(大正13年)8月23日の「34.9度」でした。

それからずっと100年間、30度~33度くらいが年最高気温ですので確かに勝浦は涼しいようです。

よくよく考えてみると、我々が感じている暑さというものは、都市化に伴う「ヒートアイランド現象」の影響が大きいのですね。

都市部では車やエアコンの室外機、工場などが熱を排出し続け、建物や道路のコンクリートやアスファルトに熱がこもり、夜になっても気温が下がりにくい。

しかし、勝浦のような太平洋沿岸では、夏場は南からの海風がひっきりなしに吹きつけます。

とくに千葉県の勝浦沖の海底は深いために、他所よりも海水温が低くなることから、冷やされた海風が南から勝浦の町への入ってきて暑さを和らげます。

なるほど、東京都心から2時間ほどの立地で、沿岸は20メートルほどの深さの海で、120平方キロにわたる広い岩礁群が構成され、暖流の黒潮と寒流の親潮がぶつかり合う良好な漁場の勝浦は、涼しく海の幸に恵まれた絶好の避暑地と言えそうです。

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