かざりの「自宅避難所化計画」(水害に備える編)
水害に備える一家族分の備蓄はどれくらい必要?
自宅避難所化計画を徹底解説
監修:株式会社セイエンタプライズ
皆さん。はじめまして 元自衛官タレントのかざりです。
最近、地球温暖化等の影響による気候変動で、ゲリラ豪雨や台風による水害が全国的にたいへん増えています。
もし自宅の周辺が増水して水がついてしまったら…。
実は、国や自治体の水害想定では、長いところでは2週間以上浸水が続くことが予測されていて、すぐに助けが来るとは限らない(公共機関も被害にあう)とされています。
つまり、最悪の場合、自分の身は自分で守るためには、2週間も水道・電気・ガス・トイレが使えない不便な生活に耐えなければなりません。
今回は、近隣が水害となったときに、垂直避難をするなどして自宅で過ごす防災「自宅避難所化計画」をご紹介します。
なお、今回の想定では4人家族で3階建て一軒家が自宅避難所です。
その避難の間に必要な防災用品をリビングに並べてみました!
重要度の高い「食料」、「水」、「トイレ」、そして「電気」の4つを中心に備えます。
◆自宅避難所化計画に必要な物資◆
( 想定:家族4人 × 2週間分 )
●備蓄食料:25年備蓄食「サバイバルフーズ・バラエティセット[大缶/60食相当]」×3箱
※(1人3食/日)×(家族4人)×(2週間)= 約168食
※備蓄食糧以外にも、日常的に使っている冷蔵庫の食材、カップ麺、菓子類、サプリメント(ビタミン剤・ミネラル剤)など併用
●保存水:15年保存水「カムイワッカ麗水(12リットル/箱)」×10箱
※(1人2~3リットル/日)×(家族4人)×(2週間)= 約112リットル~約168リットル
※保存水を備蓄すると量がかさむので冷蔵庫の水やジュース、ウォーターサーバーを併用
●トイレ処理剤(断水時用):ポータブルトイレ「ほっ!トイレタブレット 100回分+処理ビニール袋110枚付き」×2箱
※(トイレ利用回数 3~8回/日)×(家族4人)×(2週間)=168回~448回
※処理剤1袋で最大3回分程度のトイレ処理が可能(メーカー推奨では1袋1回分)
●電源:ポータブルバッテリー「JVCポータブル電源 BN-RB10-C(容量1002Wh)」×1台
※(スマホ充電容量:約15W/台)×(家族4人で4台)×(2週間)= 840W程度
※専用太陽光パネル「JVCポータブルソーラーパネル BH-SP100-C(最大出力:100W)」×1個を併用
…なかなかの品目と量ですね。
各状況ごとにどのように使用するのか解説します。
◆水害で何がおこるのか?◆
– 水道が止まるかもしれません –
蛇口をひねっても水が出ません。
…どうしてでしょうか?
– 断水の原因 –
・災害(河川の決壊等)による水道設備の破損、停電による送水停止など。
・停電により集合住宅等の増圧ポンプが使用不可となった場合、上層階へは給水できない(一般的に3階までは直圧で給水可)。
・上流部の工場等から化学物質や油が流出し、浄水場に流れ込んでしまった場合は浄水処理に支障が生じる場合がある。
では、断水のときに飲料はどうすれば良いのか?
いきなり保存水は使いません。まずは日常で飲用しているペットボトル飲料やウォーターサーバーの水を消費していきましょう。
それらを消費して、まだ足りない場合には、非常用の保存水を使用します。
●備蓄品の保存水 15年保存水「カムイワッカ麗水(12リットル/箱)」×10箱
※(1人2~3リットル/日)×(家族4人)×(2週間)= 約112リットル~約168リットル
※保存水を備蓄すると量がかさむので冷蔵庫の水やジュース、ウォーターサーバーを併用
– 電気が止まるかもしれません –
エアコンが止まって暑いしテレビもつかないのでニュースも見れない…。
こんな場合は、どうしよう?
– 停電の原因 –
・配電用変電所の設備対策以上の水害が発生し、変電所内の露出充電部や制御装置まで水位があがった場合、その供給エリア内は停電する。
・地中配電線の場合は、浸水深が1m程度になると路上機器の浸水により電力の供給が停止する可能性がある。
・一般家庭等(低圧)におけるコンセント(一般的に、床高50cm+コンセント設置高20cm)から漏電した場合については、漏電遮断器が動作し、家庭内の電気は停電する。(ただし、一般家庭等における漏電遮断器の普及率は100%ではない)
・高圧受電の利用者において、浸水による漏電の可能性がある場合、これにより街区単位で電力の供給が停止する。*1
※2019年の台風15号では、千葉県を中心に停電が長期化し、停電の復旧には約280時間(12日)かかった。
家電につなげるためにポータブルバッテリーを出しました。
JVCのバッテリーは1002Whと大容量で、1000W(瞬間最大2000W)のインバーターを内蔵したACコンセントが3口、USB出力も4口ついてます。ふだんはアウトドアに、災害時はスマホや家電に電気を供給する緊急グッズになります。
この1000Whクラスのバッテリーだと、スマホ(約15W)なら50~66台充電でき、小型冷蔵庫(約39W)は約19~25時間、ノートPC(約50W)約15~20時間、IH調理器でも40分程度は使える計算です。
●備蓄品の電源 ポータブルバッテリー「JVCポータブル電源 BN-RB10-C(容量1002Wh)」×1台
※(スマホ充電容量:約15W/台)×(家族4人で4台)×(2週間)= 840W程度
※専用太陽光パネル「JVCポータブルソーラーパネル BH-SP100-C(最大出力:100W)」×1個を併用
冷風機(写真は「ここひえ(ショップジャパン)」)と接続します。
風が出て涼しいです。
続いてスマートフォンを充電してみます。
しっかり充電できます。
調理のためにIHクッキングヒーターを繋いでみました。
消費電力の大きい家電(1,100W)ですが、数分でお湯を沸かすこともできました。
– ガスが止まるかもしれません –
困りました。ガスの供給が止まってしまったのかコンロが使えません。
これだと調理ができません。
‐ガス事業における台風・豪雨での被害傾向‐
・ガス導管等については大部分が埋設されており、風雨による影響は基本的に受けにくい条件にある。
・一方、近年の台風・豪雨時のような極端な大雨の場合においては、土砂災害に伴う導管の損傷やガス設備の冠水等による二次災害を防止するため、保安措置として供給停止を実施している。*2
備えてあったカセットコンロを出しました。
ポータブルバッテリーにIHクッキングヒーターを繋ぐこともできますが、カセットコンロを備えておくと調理効率が良いと思います。
カセットコンロを使い サバイバルフーズの雑炊 を調理しました。
災害時でも温かい食事をとることができます。
●備蓄品の食料 25年備蓄食「サバイバルフーズ・バラエティセット[大缶/60食相当]」×3箱
※(1人3食/日)×(家族4人)×(2週間)= 約168食
※備蓄食糧以外にも、日常的に使っている冷蔵庫の食材、カップ麺、菓子類、サプリメント(ビタミン剤・ミネラル剤)など併用
– 電話が使えないかもしれません –
あれ?電話が全然繋がらないしネットもアクセスできないな…。
災害の情報が全然わからない。どうしよう…
‐災害時の電話やネット通信‐
・大規模災害の発生時には、通信そのものが混雑し、インターネットや電話がつながりにくくなる可能性があります。大量の電話が殺到した場合には、安否確認や、消防、警察への連絡等に支障が生じます。そのため電気通信事業者は、電気通信事業法などに基づき、発信規制や接続規制といった通信制限(大規模災害時は約90%以上の制限が行われることがある)を行う場合があります。*3
・東日本大震災(2011年)のときには、携帯電話の通信量が平時の60倍に達し、最大9割の通信量規制がされました。災害時にはデータ通信量の増加などによる接続障害や停電、基地局の被災になどにより、インターネットに接続できなくなってしまうことも考えられます。*4
スマホにワンセグアンテナ(※スマホメーカー純正品)を繋いでみました。
電話やネットが繋がらない場合であっても、ワンセグテレビの視聴ならば可能です。災害時の情報収集に役立てることができます。
◆その他避難生活で不便になる事と備え◆
– 断水でトイレが使えないかもしれません –
断水が続く場合はその間トイレが使用できない状態となります
トイレ自体は壊れておらず、ただ流せないだけなので、自宅のトイレを使うタイプのトイレ処理剤を備えておくのがおススメです。自宅のトイレが一番安心できます。
この「ほっ!トイレタブレット」は、日本の会社が製造するトイレ処理剤で、トイレにビニール袋を敷き詰めて、タブレット状の処理剤を先に入れてから使います。
●備蓄品のトイレ処理剤(断水時用)「ほっ!トイレタブレット 100回分+処理ビニール袋110枚付き」×2箱
※(トイレ利用回数 3~8回/日)×(家族4人)×(2週間)=168回~448回
※処理剤1袋で最大3回分程度のトイレ処理が可能(メーカー推奨では1袋1回分)
避難生活が長くなると、歯磨きが疎かになります。健康にかかわる口腔ケアは意外と盲点になりがちですが、とても大切です。
水道が使用できない場合は、少量の水分と光さえあれば歯磨きができる(光触媒で口腔内の有機物を分解する)災害用歯ブラシは便利です。
●備蓄品の災害用歯ブラシ「ソラデーN4 サバイバルセット」
水に余裕があれば… ポータブバッテリーとアウトドア用のポータブルシャワーを組み合わせて、洗面所等に張った水でシャワーも使用できます。
避難生活が長くなれば、衣類の洗濯の必要性も出てきます。
水が貴重なときは、アウトドアや旅行用で売られている簡易的な携帯洗濯袋を活用するのも良いです。
匂わない消臭下着(デオエスト)を活用する手もあります。
お風呂入れず、できるだけ洗濯で水も使いたくない…けれど汚れや臭いは気になる。そういう時に便利なのが「災害用消臭下着デオエスト」です。
自宅避難をする上で、停電が続く場合には夜間の照明確保も重要となります
停電の場合、日が落ちると部屋は真っ暗となります。明るいランタンの灯りは安心感という心の余裕も生みます。
電池が長く持ち、丈夫で軽いもの(移動時の懐中電灯としても使える)として太陽光充電できる災害用LED常夜灯「キャリー・ザ・サン(CARRY THE SUN)」なんておしゃれです。
◆ おわりに… ◆
ご紹介したように自宅での避難となると、インフラ復旧までの間に不便となることがたくさんありますね。
どのような状況でも最低限の日常生活が営めるように備えておく必要があります。
災害はいつ起こるかわかりません。
みなさんも、自宅の防災用品の内容を今一度確認してみてはいかがでしょうか。
*出典・引用元
* 近年の台風・豪雨災害における対応状況;高西春二・中野晋・宇野宏司・仁志裕太(土木学会論文集F6, Vol.68,No.2,2012.)
*1 内閣府 洪⽔・⾼潮からの⼤規模・広域避難検討WG:ライフラインの浸水対策-東京(平成29年10⽉26⽇)
*2 経済産業省:近年の台風・豪雨災害における対応状況(2020年3月11日)
*3 総務省:情報通信(ICT政策) > 電気通信政策の推進 > 安全・信頼性の向上 > 災害時優先通信
*4 SONY:ソニーのネット ソネット 防災マニュアル(監修:高荷智也さんソナエルワークス代表・井上トシユキさんITジャーナリスト)
モデル・解説: かざり
かざりプロフィール
2月25日生まれ。三重県出身。
日本大学芸術学部卒業後、陸上自衛隊で勤務。
任期満了で退職後、タレント、女優として活動。
陸上自衛隊東部方面隊オピニオンリーダー。
自衛隊の公式広報活動のほか、映画、CM、モデル、YouTuber等国内外を問わず活動中。
趣味はキャンプ、絵を描くこと、コスプレ。
特技はデザイン、モールス信号、ソフトテニス。
SNSの総フォロワー数は約400,000人。
・Twitter @kazariri https://twitter.com/kazariri
・Instagram @kazariri https://www.instagram.com/kazariri
・YouTube チャンネル名 かざりぷろじぇくと https://www.youtube.com/channel/UCjDjPDYWE2wnpXkRXOhbEXQ