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知っておきたい「AED」の使い方

time 2018/08/08

知っておきたい「AED」の使い方

ここ十数年の間に頻繁に見かけるようになった、赤いハートマークでおなじみの「AED」。駅や空港、あるいはショッピングモールなどで、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。急病時などにおける人命救助のために使う医療機器…というぼんやりとした共通認識はあるものの、一方で実際に使ったことがあるという人は決して多くありません。いざという時に命を救うために――救命活動の際の適切な行動とあわせて、AEDの正しい使い方を紹介します。

そもそも「AED」って?

AEDは、“Automated External Defibrillator”の頭文字を略したもの。日本語に訳すと「自動体外式除細動器」となります。心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に対して、電気ショックを与えることにより正常なリズムに戻すための医療機器です。

2004年の時点で全国に約7,000台※1しか設置されていなかったAEDですが、その後急速に普及が進み、2014年には約635,000台※1まで増加。2014年の1年間で、一般市民による1,664 件の使用が報告されています。

※1出典:公益財団法人日本心臓財団「AEDの普及状況」

AED普及の背景にある「心臓突然死」

このように存在感を増すAEDですが、その背景にはかねてより課題となっている、「多すぎる心臓突然死」の問題があります。心臓突然死とは、健康だと思われていた人が突然の心停止などにより死に至ることを言います。

実に日本では年間約7万人、1日あたり約190人がこの心臓突然死によって命を落としているのです。ちなみにニュースや新聞でたびたびクローズアップされる交通事故死が年間約4,000人。驚くべきことに、日頃から「多い」と感じている交通事故死の17倍以上の人が、この心臓突然死で亡くなっている現実があるのです。

救命活動はとにもかくにも“初動が命”

突然ですがもし今あなたの目の前で誰かが倒れたとしたら、あなたはどうしますか? おそらく多くの方が真っ先に119番通報をするのではないでしょうか。もちろん、いち早く救急車を呼ぶのは大切ですが、それと同じくらい重要なのものがあります。それが「胸骨圧迫」、いわゆる心臓マッサージによる救命活動です。

日本では緊急時に119番通報をしてから、救急車が現場に到着するまでに約8分かかるといわれています。一方で、心停止時における生存退院率は発生から1分ごとに約7~10%低下します。つまり、救急車が到着するまでの間の8分間にどれだけ適切な救命活動をとれるかが “生死を分ける”ことになるのです。

救命活動時の適切な行動と心臓マッサージの方法

①自分の安全を確保
誰かが突然倒れるところを目撃したり、倒れているところを発見した場合には、傷病者のもとへ近寄る前に自らの安全を確認することが大切です。現場が自動車の往来が激しい道路などの場合は特に注意しましょう。

②傷病者への呼びかけと、協力者の募集
傷病者の耳もとで「大丈夫ですか」「もしもし」と大声で呼びかけながら、肩をやさしくたたき、反応の有無を確認します。その際、なんの反応もない場合やけいれんしていた場合は、「反応なし」と判断。周囲に大きな声で「誰か来て!人が倒れてます!」と助けを求めましょう。

③協力者への指示と、AEDの確保
協力者がいたら「119番へ通報してください」「AEDを持ってきてください」と迅速に指示を出します。もし協力者が誰もいなかった場合は自分で119番通報し、近くにAEDがあれば持って行きましょう。また傷病者の呼吸を確認し、呼吸がない場合は「心肺停止」と判断します。

④心臓マッサージの実行
AEDを手に入れるまで胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行います。胸骨圧迫では、胸の左右にある胸骨の下半分を、重ねた両手で強く、速く、絶え間なく圧迫します。

人工呼吸&胸部圧迫法(動画)

AEDの正しい使い方

一見、使い方が難しそうなAEDですが、実は初めての人でも問題なく操作できるように設計されています。AEDの最大の特長は、コンピューターによる自動処理にあります。心室細動(心臓が突然止まる原因)かどうかを調べ、電気ショックが必要かどうかを音声メッセージで指示してくれるので、万が一使うことになっても慌てる必要はありません。
ではここで、実際の使い方を紹介します。

(1)準備
AEDを傷病者の近くに置き電源を入れたら、傷病者の衣服を脱がして胸に電極パッドをしっかりと貼ります。電極パッドを貼る位置はパッドに描かれた図を参考に。

(2)心電図の解析
電極パッドを貼り付けると自動的に心電図の解析が始まり、電気ショックが必要か否かを判断し、音声メッセージで教えてくれます。電気ショックが不要な場合は胸骨圧迫を再開します。

(3)電気ショック
電気ショックが必要だと解析した場合は、自動的に電気ショックのためのエネルギー充電が始まります。充電が完了したらショックボタンを押しましょう。この際、自分も協力者も傷病者から離れます。

(4)心肺蘇生の再開
電気ショックを行ったら、直ちに胸骨圧迫を再開します。以後は、救急車が到着するまで心肺蘇生とAEDの使用の手順を約2分おきに繰り返しましょう。

設置したら定期的なメンテナンスも忘れずに
AEDを設置している施設の管理者の方であれば、定期的な点検や更新などが必要となります。2012年の総務省の調査では北海道・群馬・山梨・長野の26か所でバッテリーが切れるなどして正常に使用できない恐れがあったそうです。

普及が進む一方で課題も。まずは意識の見直しから

2013年に京都大学が行った調査結果によると、公共施設に置かれているAEDを一般市民が使い救った命は年間で約200人※2にのぼります。また、その後順調に回復した1ヵ月生存者の割合は、AEDが使われた場合は38.5%※2で、使われなかった場合の18.2%※2に比べ2倍以上に上昇する※2という結果も明らかになりました。このことからもAEDを使った処置がいかに重要かが分かります。

このようにAEDの活用が一定の成果を見せつつある一方で、私たち市民の救急活動への参加は10.3%※2と高くありません。いざという時ほんのわずかな行動の差が人の命を救うことになります。救命活動の際の適切な行動とあわせてAEDの正しい使い方を理解しておきたいものです。

また「AEDマップ」(https://www.qqzaidanmap.jp/)などを参照して、自分の近所や通勤・通学経路にあるAEDを把握しておくこともおすすめです。

※2出典:京都大学『日本におけるAEDを用いた市民による電気ショックと救命数増加』(2016年)

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