防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

竜巻から身を守るには?竜巻被害を知り対策を学ぶ

time 2018/08/31

竜巻から身を守るには?竜巻被害を知り対策を学ぶ

竜巻はどのように発生するのか?

突如現れては甚大な被害をもたらす竜巻ですが、実はまだその発生メカニズムについては完全には解明されていません。確かなのは竜巻が起きる時には空に「積乱雲」が発生しているということ。
積乱雲は上空に冷たい空気が流れ込むと発生しやすくなりますが、冷たい空気は重いため地表付近に降りようとします。反対に地表で温められた空気は上空の高いところへ登ろうとします。この「対流現象」によって引き起こされる漏斗状の渦が「竜巻」だと考えられています。竜巻の中心付近は周りより気圧が低いため、地表付近で風が回転しながら竜巻の中心に吹き込み、上昇気流となって周囲の物を巻き上げていくのです。

積乱雲
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/tatsumaki/tatsumaki_201612_2.jpg

夏から秋にかけて全体の70%が発生する竜巻
では、どんな時期に竜巻は起こりやすいのでしょうか。

次のグラフの通り、竜巻の発生確認数は7月から11月にかけて多く、この期間だけで全体の約70%を占めています。先ほど竜巻は積乱雲によって引き起こされるとお伝えしましたが、夏から秋は積乱雲が発達しやすい時期のためです。

竜巻の月別発生確認数
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/tornado/stats/monthly.html

竜巻が発生する前に見られる兆候

竜巻が発生する前に見られる兆候
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/tatsumaki.html

積乱雲といえば、最初に感じる脅威は「落雷」ではないでしょうか。「遠くで雷が鳴ったら安全な屋内へ逃げなさい」とは、私たちが子どもの頃から言われている雷から身を守る行動です。にもかかわらず、同じ積乱雲が引き起こす竜巻についてはそのような教訓は余り耳にしません。

内閣府・気象庁では竜巻の被害を憂慮してか、竜巻の危険をいち早く察知し、すぐに身を守る行動がとれるよう次のような自然現象を「竜巻発生の兆し」として掲げています。もしこれらの兆候を目にしたら要注意です。

4つの兆候
①真っ黒い雲が近づき、周囲が急に暗くなる
②雷鳴が聞こえたり、雷光が見えたりする
③ひやっとした冷たい風が吹き出す
④大粒の雨や「ひょう」が降り出す

4つの兆候
http://www.bousai.go.jp/fusuigai/tatsumakikyokucho/pdf/h25-t/tatsumaki2.pdf

竜巻から身を守るには?

竜巻の前兆についてお伝えしましたが、それでは積乱雲が近づいてきたり竜巻注意情報が発表されたりしたら、どのように行動したら良いのでしょうか。その場合、屋内屋外ともに安全確保が最優先です。

竜巻が接近した時の退避行動
http://www.bousai.go.jp/fusuigai/tatsumakikyokucho/pdf/h25-t/tatsumaki2.pdf

屋外であれば頑丈そうな建物に避難。あるいは、家の中であれば雨戸を閉めて窓のない1階中心部の部屋へ移動し身の安全を確保しましょう。また、竜巻注意情報の発表から約1時間は注意が必要です。

情報収集によっていち早く察知する

竜巻の前兆を知って、早めの対応をするために、インターネットやテレビ、ラジオといった速報性の高いメディアの報道などで自ら情報収集に努めましょう。気象庁が運営するウェブサイト「高解像度降水ナウキャスト」では、雨雲の動きや竜巻の発生状況などをリアルタイムに近いスピード感で確認できるのでおすすめです。

竜巻が接近した時の退避行動
https://www.jma.go.jp/jp/highresorad/

また、竜巻の発生の可能性が高まるとアラームで通知してくれる「竜巻アラート」というスマートフォンアプリもあります。

竜巻アラート
https://itunes.apple.com/jp/app/%E7%AB%9C%E5%B7%BB%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%88-%E3%81%8A%E5%A4%A9%E6%B0%97%E3%83%8A%E3%83%93%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%82%BF/id842281884?mt=8

市町村単位で設定した地域で、竜巻の発生が予想される際、ポップアップや通知などでお知らせしてくれます。また最新の竜巻レーダーで竜巻発生の可能性を確認できます。

竜巻アラート設定画面
設定はこの通り簡単。地域と通知を行うだけです。

突発性が高い竜巻だからこそ、それを察知するアンテナを張り巡らしいざという時に備える。気候変動などによりこれまでの常識が通用しない“大災害時代”を生きるリテラシーが必要なのではないでしょうか。

そして、今ある対策は過去に起きた竜巻被害をもとにしているものに過ぎません。今後大きくなってくる気象災害に対しては、また別の対策等が必要となってくるでしょう。

脚注
気象庁「年別の竜巻発生確認数」※1
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/tornado/stats/annually.html

日経トレンディネット「台風時は要注意! 『竜巻』が来たらどう逃げる?」※2
https://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20141010/1060765/

【Q&A補足】  竜巻はいつ・どこで発生する?※3
https://www.nhk.or.jp/sonae/column/qa20130911.html

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