防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

防災意識を育てるWEBマガジン

「避難勧告」と「避難指示」緊急性が高いのはどっち? 知らないと避難が遅れて危険!

time 2018/12/21

「避難勧告」と「避難指示」緊急性が高いのはどっち? 知らないと避難が遅れて危険!

安全に避難をするには、避難に関して行政から発令される指示に関する正確な知識が必要です。正確な知識がなかったために2016年に東北・北海道を襲った台風10号による水害で実際に大きな犠牲が出ています。この台風では、死者・行方不明者が27人を数えるなど(※前文で「出ている」と修正したので、出る・出ると続くのは良くないための修正です)大きな被害が発生しました。特に岩手県岩泉町のグループホームでは、避難を促す「避難準備情報」が発令されましたが、高齢者施設に勤務する職員ですら避難情報の正確な理解ができておらず適切な避難行動がとられませんでした。その結果、入所者9名全員が亡くなりました。そこで、避難が遅れないように災害時に避難に関して発令される情報の名称と正確な意味について解説します。

「避難準備・高齢者等避難開始」「避難勧告」「避難指示」の違い

画像引用:Yahoo!ニュース

現在の災害時に発令される避難情報は「避難準備・高齢者等避難開始」「避難勧告」「避難指示」の3種類です。それぞれの意味について重みと緊急度の低い順に解説します。なお、避難を知らせる指示に「避難命令」という名称は使われていません。現在使用される3つの避難情報の名称は、「避難命令」よりも語感からうける緊急性の印象が弱いため、避難命令が出るまで様子を見る可能性があります。行政からは「避難命令」という情報が発令されないことも知っておきましょう。
強制力のある「避難命令」がないのは、行政が強制的に避難を命令するとさまざまな複雑な問題が起きるからです。そのため、自然災害に対しては自らの判断で避難行動をとることが原則となっています。ただし、明らかに危険な状況である場合、強制的な「立ち入り禁止」やそこからの「退去命令」が出されることはあります。また、例外的に防災放送などで「避難命令」が使われることもあります。

1.避難準備・高齢者等避難開始

避難準備・高齢者等避難開始は、今後の事態の推移によってはより緊急度の高い「避難勧告」や「避難指示(緊急)」の発令が予想されるため避難開始を準備する必要があるときに発令されます。ただし、避難に時間を要する高齢者、障がい者、乳幼児などの要配慮者とその支援者は避難を開始する必要があります。

2.避難勧告

避難勧告は、災害による被害が予想され、人的被害が発生する可能性が高まったとき、災害の発生前に被害が生じると予想される地域に対して発令されます。避難勧告が出れば、速やかに避難場所へ避難をします。なお、外出することでかえって命に危険が及ぶような状況では、遠くの避難場所よりも安全に行ける近くの危険を回避できる場所へ避難します。それも困難な場合は、自宅内のより安全な場所に避難をします。

3.避難指示(緊急)

避難指示(緊急)は、避難勧告発令後、さらに状況が悪化し、人的被害の危険性が非常に高まり広範囲に甚大な被害が予測されるときに緊急に発令されます。まだ避難していないときは、緊急に避難場所への避難が必要です。外出することでかえって命に危険が及ぶような状況では、避難勧告と同様に遠くの避難場所よりも安全に行ける近くの危険を回避できる場所へ避難します。それも困難な場合は、自宅内のより安全な場所に避難をします。

どういった状況で避難関連の情報は発令されるの?

避難に関する情報は、どのような状況になったら発令されるのでしょうか? 内閣府は、発令に関するガイドラインを作成し、「対象とする災害の特定」「避難勧告等の対象とする区域の設定」および「避難勧告等の判断基準の設定」の3つの作業をしてからとしています。

1.対象とする災害の特定

過去の災害や想定される災害を調査し、避難勧告などを発令する対象とする災害が特定されます。ガイドラインでは洪水など、土砂災害、高潮、津波が対象となっています。

2.避難勧告等の対象とする区域の設定

避難勧告等の対象とする区域の設定は災害の種類別に決定されます。

2-1 洪水
対象となる区域は、洪水ハザードマップやその基となる各河川の洪水や浸水の想定区域を基本として設定されます。実際の発令にあたっては、河川の状況や、堤防の決壊または溢水(いっすい)のおそれがある地点などの諸条件を考慮し、想定される浸水区域が決定されます。

2-2 土砂災害
土砂災害は発生すると命を脅かす危険性が高いことから、避難勧告等の対象となる区域は、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域、都道府県の調査による土砂災害危険箇所などを基本とし、その全ての区域において立ち退き避難をすることを原則として決定されます。

2-3 高潮
高潮ハザードマップやそのもととなる高潮浸水想定区域のうち、高潮警報などで発表される予想最高潮位に応じて想定される浸水区域を基本とし、特に命を脅かす危険性が高く、安全な地域への移動や、立ち退き避難を必要とする区域を対象に決定されます。

2-4 津波
津波ハザードマップやその基となる津波災害警戒区域のうち、津波警報などで発表される予想津波高に応じて想定される浸水区域を基本とし、津波災害警戒区域の指定が完了していない市町村では、津波浸水想定を参考として決定されます。なお、津波は、危険な地域から一刻も早い避難が必要であることから、避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告は発令されず、基本的に避難指示(緊急)のみが発令されます。津波は局所的に高くなる場合もあること、想定をこえる範囲に浸水が拡大する可能性があるので注意が必要です。

3.避難勧告等の判断基準の設定

市町村は対象となる災害の種類別に避難行動が必要な地域を示し、適切な避難行動がとれるという判断基準のもと、避難勧告などが発令されます。また、避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告の発令にあたっては、避難のための準備や移動に要する時間が考慮されます。避難指示(緊急)については、災害が発生している、もしくは発生するおそれが極めて高い状況が想定されるときに発令されます。

さらに、2014年の広島市における土砂災害などの教訓から突発性が高く予測が困難な土砂災害の危険性がある区域や急激な水位上昇のおそれがある河川沿いは、避難準備・高齢者等避難開始が発令された段階から要配慮者に避難開始を求めることが推奨されています。同様に土砂災害警戒区域・危険箇所や河川沿いなどの居住者にも自発的な避難の開始を求めることが推奨されています。

高潮は、浸水区域の外への立ち退き避難を完了する必要があるため、十分な時間をとって避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告が発令されます。なお、事態が急変し、災害が切迫した場合には、必ずしも避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告、避難指示(緊急)の順に発令されることなく、状況に応じていきなり避難勧告(緊急)が発令される可能性があります。

避難情報が発令された際の行動

1.いつ避難したらいいのか?

避難情報には、危険度・緊急度の最も低い「避難準備・高齢者等避難開始」が発令されると主要な指定緊急避難場所が開設され始めます。発令された避難情報に従って下記の行動をしましょう。

「避難準備・高齢者等避難開始」が発令されたら、避難に時間を要する高齢者、障がい者、乳幼児などがいる家庭、あるいは他よりも危険なエリアに住んでいる家庭は避難を開始します。それ以外の家庭では、気象情報に注意を払い、いつでも避難できるように準備をしておきます。

「避難勧告」が発令されたら、できるだけ速やかに避難を始めます。もし、地下や高所など危険な場所にいるときは、速やかに安全な場所へまず避難をします。

「避難指示(緊急)」が発令されたら、その時点でまだ避難していなければ。、ただちに避難を始めます。避難のための外出が危険な状況で屋内に残らなければならないときは、屋内で最も安全な場所へ移動して身の安全を確保しなければなりません。例えば、洪水が予測される場合、2階以上の高所へ、土砂災害が予測される場合、斜面とは反対側でかつ2階以上の高所へ移動します。

なお、避難情報が発令されても夜で暗くなると避難所までの移動も危険です。まだ明るい日没前に避難を完了するか、完了できるようにしておきます。ただし、「避難準備・高齢者等避難開始」であっても、危険を感じるときは、自らの判断で早めに避難することも重要です。今いる場所の災害危険度は、アプリ「わが家の防災ナビ」の「わが家の避難計画」でチェックできます。アプリは一般財団法人 日本気象協会のホームページから無料でダウンロードできます。

2.どこに避難したらいいのか?

自宅や外出先など主にいる場所について、そこが災害の種類別にどのような脅威があるかさまざまな自然災害に対してハザードマップなどで事前に調べておく必要があります。そのうえで、屋外へ避難をすべきなのか、屋内で安全を確保すればよいのかを判断します。また、避難先も避難所そのものや避難所に着くまでの経路が災害別に安全であることを確認してから決めなければなりません。例えば、避難所の建物が倒壊する心配はないか、途中の経路に氾濫するおそれのある河川のないことなどを確認して危ないときは避けることが必要です。

3.「避難場所」と「避難所」の違い

避難先には、災害対策基本法が定めている「指定緊急避難場所」と「指定避難所」の2つがあります。この2つでは、避難として利用する目的が大きく異なり、違いを知っていないと間違った避難をしてしまう可能性があります。ところが、全国の自治体では、さまざまな名称を使っています。例えば、避難所、避難場所、一時避難所、一次避難場所、緊急避難場所、広域避難所、指定避難所、震災時避難所、避難予定場所、避難施設、自主避難所などです。居住している自治体( 例「お住まいの地域の行政」などの方が良いかも・・・)が「避難場所」と「避難所」をどのような名称として使っているかを確認しておく必要があります。

3-1「避難場所」とは
避難場所とは、洪水や津波などの災害の危険から身を守るために迅速に逃げて一時的な避難をする場所のことです。基本的に飲料水や食料などの備蓄はされていません。24時間ぐらいまでしか利用できない場所です。

3-2「避難所」とは
「避難所」とは、災害が発生し、自宅に戻れない、または居住できなくなったときに居住できる施設(建物)のことです。24時間以上、一定の期間にわたって滞在できます。

避難情報を正しく理解し適切な避難行動ができることで身を守れる

避難情報の種類と意味、発令されたときの適切な避難行動の方法・避難先の選択について紹介しました。住んでいる家、勤務先などの各ハザードマップ、および「避難場所」や「避難所」がどこにあるかを確認し、どの通達で避難を開始するかを家族全員で共有しておきましょう。また、万が一の状況でも安全に適切な行動ができるように地域や会社の避難訓練に参加するなど、日頃から防災の意識を持つことで身を守れます。

■出典・参照

「避難命令」が一番強い避難情報ではありません

避難場所と避難所の違い

メルマガ登録バナー
E-mail
お名前
※メールアドレスと名前を入力し読者登録ボタンで購読

アーカイブ