防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

梅雨の時期に警戒すべきは雨だけではない?土砂災害の危険性とは

time 2019/06/28

梅雨の時期に警戒すべきは雨だけではない?土砂災害の危険性とは

5月を過ぎると全国各地で梅雨入りが宣言されていき、傘が手放せなくなる時期となります。
この時期になると気を付けなければならないのが、梅雨前線の北上に伴った雨による災害です。
とくに、梅雨の時期は連日のように雨が降り続けることも珍しくないため、通常よりも雨による影響を考慮しなければなりません。

なかでも警戒を強めなければならないものとして、「土砂災害」を挙げることができます。
「土砂災害は、すさまじい破壊力をもつ土砂が、一瞬にして多くの人命や住宅などの財産を奪ってしまう恐ろしい災害です」

(気象庁:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/ame_chuui/ame_chuui_p2.html
とあるように、その威力と範囲から家屋の倒壊だけでなく、多くの死傷者も出しています。
たとえば平成29年の土砂災害発生件数は全国で1514件、その発生が起こりうる区域は約66万区域にも及ぶというデータが報告されています。

(国土交通省:https://www.mlit.go.jp/report/press/sabo02_hh_000049.html
この平成29年中に発生した土砂災害の件数は、平成19年度からの10年間で最も多く発生した年でもありました。

とくに平成26年に発生した「広島土砂災害」では、土砂災害への備えが十分でなかったことなどが影響し多数の死傷者を出すなど、土砂災害への認識を改める契機ともなりました。

土砂災害の種類を学ぶ

土砂災害の発生メカニズムは大きく分けて「がけ崩れ、土石流、地滑り」の3つに分類されています。

まず、がけ崩れとは「雨や地震などの影響によって、土の抵抗力 が弱まり、急激に斜面が崩れ落ちる現象(国土交通省:http://www.mlit.go.jp/common/001024560.pdf)」とあり、雨や雪解け水、地震が発生の要因の1つとして考えられています。
土砂災害のなかでも多くの要因が発生に作用しているため、予想や対策が難しいものでもあります。

つぎに土石流は、「山腹や渓床を構成する土砂石礫の一部が長雨や集中豪雨などによって水と一体となり、一気に下流へ押し流される現象(国土交通省:同上)」のことであり、雨などを原因とする水そのものが被害を拡大する要因となっています。
したがって、通常よりも雨量が多い“梅雨”の時期には土石流への警戒を強める必要があります。

そして3つ目に紹介するのが「地滑り」です。
「斜面の土塊が地下水などの影響により、地すべり面に沿ってゆっくりと斜面下方へ移動する現象(国土交通省:同上)」と定義づけられています。
なかでも地滑りは、がけ崩れや土砂崩れと比較しても甚大被害を及ぼすとされています。
これら3つの土砂災害は外部からの影響、とりわけ雨の影響を強く受けているため“梅雨”の時期には普段以上に警戒を必要としています。

土砂災害を理解する

近年では“異常気象”としても報道されている「ゲリラ豪雨」のような、短時間で多くの降雨量が観測される雨も増えています。
そのため、多くの地域では土砂災害を予想することが難しくなってきており、自分自身でその前兆を把握して判断することが求められてきています。

画像引用:堺市HP http://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/doro/doboku/kasensuiro/dosyasai2.html

たとえば、がけや地面にひび割れができ、落石や水の噴出などが見られた場合は、がけ崩れや地滑りの前兆現象があります。また、川の水が濁ったり木の裂ける音が聞こえるなどしたときは、土石流が迫ってきている可能性が高かったりと、多くの前兆現象が存在します。

もちろん、これらの前兆を確認して避難をするという方法も有効ですが、日常的に土砂災害に関連する情報を取得し備えておくという方法が推奨されています。

土砂災害から身を守る

画像引用:川崎市防災情報ポータルサイト「土砂災害対策リーフレット」より抜粋

日常的に土砂災害に備えるための情報を取得する方法として、国土交通省のホームページ上でも関連情報が公開されています。

そのなかでも、「各都道府県が公開している土砂災害危険箇所と土砂災害警戒区域」(http://www.mlit.go.jp/river/sabo/link_dosya_kiken.html)というコンテンツでは、自身が住んでいる地域の土砂災害危険箇所や警戒区域を確認することができます。

また、実際に雨が降り出したときには気象庁で公開されている「土砂災害警戒情報」(https://www.jma.go.jp/jp/dosha/)を参考にすると、早く正確な情報を手に入れることが可能です。もし、これらのホームページなどで警戒情報が発表されたときは、最寄りの避難場所への移動を検討する必要があります。

とくに、深夜や早朝など、外出が困難な時間帯に大雨などが予想される場合は、警戒情報が出る前に自主的に非難をすることも大切になってきます。
まずは、安全を確保することを最優先に行動するように心がけましょう。

画像引用:http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sabo/doshasaigai_boushigekkan.html

また、国土交通省と各都道府県では毎年6月を「土砂災害防止月間」としており、前述してきた土砂災害の知識や避難について改めて考えることを推奨しています。
地域によっては土砂災害の被害を減らすことを目的としたイベントや行事の開催も予定されているため、各市町村などの情報も確認しておきましょう。

まとめ

今回は、梅雨の時期だからこそ気を付けたい“土砂災害”について紹介してきました。
土砂災害は発生するまでの予測が難しく、日常的に最新情報を取得して備えておくことが大切となってきます。
とくに、降雨量が多くなる梅雨の時期には普段以上の警戒が必要とされています。
今回の記事を契機に、みなさんも土砂災害との向き合い方を考え直してみてはいかがでしょうか。

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