『 建築家と言えども
仮設住宅の建設に関わればいいじゃないか、
私たちは現状を改善できる。 』
” I thought, even as architects,
we can be involved in the reconstruction of temporary housing.
We can make it better. ”
坂 茂(1957〜 / 建築家 京都造形芸術大学教授 プリツカー賞受賞(2014年))
格言はTED「 紙で出来た避難所(”SHIGERU BAN:Emergency shelters made from paper.” TEDxTokyo May 2013)」より。
曰く―――。
《 建築家は人助けもしなければ、社会の役にも立っていないのに、特権階級の人たちや、お金持ちや、政府や開発業者の為に働いているからです。彼らはお金と権力を持っていますが、どちらも目に見えないので、それを示すために、モニュメントのような建造物を我々建築家に作らせるのです。建築家とはそういう職業で、歴史的に見ても、現代においても同じ様な仕組みです。
多くの人々が自然災害によって家を失っているというのに、建築家は社会の役に立っていない。私は、そのことにとても失望していました。
実際のところ、もはや「自然」災害ではないのです。たとえば、地震そのもので人は亡くなりません。建物が倒壊するから亡くなるのです。これは建築家の責任です。
仮設住宅が必要とされる場に、建築家の姿はありません。特権階級の為に働くことで忙しすぎるからです。そこで私は考えました。建築家と言えども仮設住宅の建設に関わればいいじゃないか、私たちは現状を改善できる、と。そんな理由から、私は、あちこちの被災地で働くようになりました 》
坂茂(ばん しげる)は、紙管や木材などの再生可能な低コスト素材を用いた構法を創出した建築家。20年以上にわたって、国内外の災害被災地での仮設住宅建設などの積極的な支援活動に取り組まれて来られ、海外からも高い評価を得ており、2014(平成26)年には建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」を受賞した。
東京出身。米国クーパー・ユニオン卒。国連難民高等弁務官事務所コンサルタント、慶応義塾大教授、京都造形芸術大教授などを歴任。
主な建築設計作品に「JR石巻線・女川駅(旧駅舎は津波で全壊)」「大分県立美術館」「ポンピドゥーセンター・メス」など。
自らも、阪神淡路大震災(1995年)を機にNGO団体「ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)」を立ち上げ、スマトラ島沖地震(2004年)、新潟県中越地震(2004年)、福岡県西方沖地震(2005年)、四川大地震(2008年)、イタリア中部地震(2009年)、ハイチ地震(2010年)などへのボランティア支援活動では、慶応義塾大学の坂茂研究室がその拠点となった。
東日本大震災の日は、カリブ海のセント・バーツ島からパリに向かう飛行機に搭乗しており、空港で第一報に接したという。フランクフルトやバルセロナなどで支援を訴え、自らも東北各地の避難所の被災者のプライバシーを確保するための紙管で作られた「簡易間仕切りシステム」を設営。仮設住宅の用地不足の宮城県女川町では、敷地問題を解決するため、日本初の三階建て仮設住宅の建設なども行っている。
■「坂茂」に関連する防災格言内の主な記事
建築家 安藤忠雄(2008.10.6 防災格言)
建築学者 早川和男(2014.06.16 防災格言)
建築家 横河民輔(2010.2.8 防災格言)
建築家 武田五一(2010.6.28 防災格言)
建築学者 田代侃(東北工業大学名誉教授)(2008.06.16 防災格言)
国土交通省東北地方整備局「災害初動期指揮心得(2013年3月)」(2015.03.09 防災格言)
村井嘉浩 (宮城県知事)(2013.10.14 防災格言)
河田恵昭 (地震学者 関西大学教授)(2011.04.25 防災格言)
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