防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

赤ちゃん用液体ミルク、解禁される

time 2019/05/08

赤ちゃん用液体ミルク、解禁される

赤ちゃん用液体ミルク [編集長コラム]

赤ちゃん用「液体ミルク」の日本での製造・販売は今年2019年3月から解禁された。

「液体ミルク」の特徴は、「母乳に近い栄養成分」がありながら、粉ミルクのようにお湯を使って作らないといけない「調乳が不要」で、「常温でそのまま飲める」、つまり哺乳瓶も不要になることである。

調乳を補足すると、粉ミルクの場合は、細菌感染を防ぐため70度のお湯で溶かしたり哺乳瓶をよく洗う必要があるが、災害時にはこのお湯や水が手に入りにくくなる。
実際、2011年3月11日の東日本大震災の際に避難所では、乳児向けに配布されたのは粉ミルクと水に限られたため、電気やガスが寸断された地域では「水を煮沸させることが難しく、対応に苦慮」したという。

ただ、一番の問題は、値段が割高になること。
調べると、液体ミルクは粉ミルクに対して、だいたい4倍ほど値段が高い。

また、災害用に備蓄することについて問題になるのが賞味期限(保管可能時間)だが、液体ミルクは常温で賞味期限6ヶ月(紙パック入り=江崎グリコ「アイクレオ 赤ちゃんミルク」)~12ヶ月(スチール缶入り=明治「ほほえみ らくらくミルク」)。対して粉ミルクはだいたい12ヶ月~18ヶ月となる。
保存期間があまり変わらないために、行政の災害備蓄用の「粉ミルク」の代替品として「液体ミルク」は望ましいともいえるだろう。

というわけで、4倍のコスト高さえ問題にしなければ、今後、自治体の液体ミルク備蓄はより促進されるものと思われる。

ちなみに、災害時の「液体ミルク」がはじめて話題になったのは、2016年4月の熊本地震の時に、駐日フィンランド大使館が被災地へ救援物資として送ったことを契機に、災害時の有効性が話題となり、その後、国内で議論が過熱、国の法律が改正され、液体ミルクの製造基準や成分規格などが定められ、足掛け3年かけて今年3月にやっと販売解禁となった。

液体ミルクの国産品の販売が可能となったのは、2018年8月に「食品衛生法(厚労省)」が改正され、その後2019年3月に健康増進法による製品へ表示許可(消費者庁)が江崎グリコ「アイクレオ 赤ちゃんミルク」と明治「ほほえみ らくらくミルク」に初めて認可されて販売が可能となったものである。

《FYI》
茨木新聞 > 水戸市が液体ミルク備蓄 県内初、多様なニーズ対応 (2019.05.08)

<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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