2019年もインフルエンザが大流行しています。インフルエンザは悪化すると重症化する可能性があります。そこでインフルエンザに関する知識とともにインフルエンザの効果的な予防法について解説します。
今シーズンも流行期に突入、若年層へ拡大
1.患者数の推移
今シーズンも年明けからインフルエンザの流行期に突入し、若年層を中心に患者数が急増しています。
厚生労働省は2019年1月25日に、この一週間(1月14日~1月20日)の全国のインフルエンザ推計患者数が213万人を超え、全国44都道府県で大流行が疑われる“警報レベル”に達したと発表しました。翌週には222万人と流行のピークを迎え、年明けから2月10日までの六週間で累積推定患者数は1000万人を上回るという大流行になりました。
2.「単なる風邪」と侮るなかれ! 患者数の年齢別の特徴と死亡者数
インフルエンザは、重い症状を伴うウイルス感染症で、よく風邪と混同されがちですが、一般的な風邪薬では治せないまったく違う病になります。その特徴は、若い人ほどかかりやすく、一方で、体力のない小児(乳幼児)やお年寄りほど重篤化しやすく、そして最悪の場合には死に至ることもあるという恐ろしい病気なのです。
過去10年間の年齢別患者数をみると0~14歳が全体の60~70%を占めています。
過去10シーズンの年齢階級別患者報告割合の推移(2009~2019年)
そして、インフルエンザによる死亡者の約80%以上は65歳以上の高齢者が占めています。
2009年に新型インフルエンザ(A型H1N1)が発生した際、世界保健機関(WHO)をはじめ各国が一丸となって世界規模でインフルエンザ患者の大規模な調査監視(サーベイランス)が行われました。
サーベイランスの結果、入院率では0~5歳以下の小児が最も高く、罹患率では10代後半~若年成人が最も高く、死亡率では50~60歳が最も高い、というそれまでの季節性インフルエンザと同様の傾向がみられました。
厚生労働省の「人口動態調査」によると2013年から2017年の5年間にインフルエンザが直接の死因と判明したケースだけで、少ない年でも1,130人、多い年では2,569人が国内で亡くなっています。
2013年以降の推計(国立感染症研究所の超過死亡数推計)では年間5,000人ほどがインフルエンザにより命を落としていることになります。さらに大流行した年となると、2004~05の大流行では推計15,000人が、1998~99年の大流行では推計35,000人以上が亡くなっているのです。
インフルエンザの主な症状と感染経路
1.主な症状
インフルエンザの主な症状は、38度以上の発熱と全身症状として頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感、食欲減退などが現れ、局所症状としてはのどの痛み、鼻水、くしゃみ、咳などが現れます。普通の風邪に比べると急激に発症し、全身症状が強く出ます。感染後、約1~3日の潜伏期間の後に突然38℃以上の高熱や全身症状が現れ、やや遅れて局所症状が現れます。通常、1週間から10日程度で症状が軽くなっていき完治します。
なお、インフルエンザが重症化すると、主に5歳以下の小児、特に1~2歳はインフルエンザ脳症、高齢者は肺炎などの合併症を併発し、死亡する可能性があります。
2.主な感染経路
インフルエンザに感染する経路は飛沫(ひまつ)感染と接触感染の2つです。飛沫感染とは、ウイルスが混じった感染者のくしゃみ、咳、つばなどが空気中に放出され、それらを吸引することで感染します。主な感染場所は、多くの人が集まる学校、満員電車、映画館などです。
接触感染とは、ウイルスを手で触り、その手で口や鼻の粘膜を触るという経路で感染することです。主に電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなどを経由して感染します。
インフルエンザにかからないためには、どうすればいい?
1.感染経路を断つ
インフルエンザの感染経路を断つためには、「手洗い」「マスク着用」が効果的です。
手洗いは、外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに行います。石けんを使うのが良いのはウイルスがアルカリに弱いからです。薬用石けんや消毒液を使うとより効果的です。
マスクは、付けるときに鼻と口元を確実に覆えるマスクでしっかりと装着します。マスクで咳やくしゃみの飛沫を直接浴びる危険を防ぎます。
2.予防接種を受ける
インフルエンザワクチンの接種を受ければ、インフルエンザウイルスからの感染を必ず防いでくれる、というわけではありませんが、発病を予防する一定の効果があります。特にワクチンの最も大きな効果は、発症後の重症化や死亡を予防することに関してあるため、予防接種はとても重要なのです。
・接種回数は、13歳以上は原則1回、13歳未満は2回です。
また、ワクチンは接種してから効果が出るまで1週間~2週間ほどかかり、その効果は5ヶ月間程度続くと言われています。そのため、シーズンごとに毎年接種する必要があります。
3.免疫力を高める
免疫力を高めるとインフルエンザに感染しても発症や重症化を抑えられます。そのためには十分な睡眠やバランスの良い食事など規則正しい生活を日頃からしていることが必要です。
食事で免疫力を高めるには、野菜、良質なたんぱく質、体に良い油、食物繊維を含む食べ物など抗酸化力の高い食材をバランス良く食べることです。その他にも、ビタミンとミネラルの摂取も不足しないようにしなければなりません。
もしインフルエンザに感染したら行うべきこと
1.医療機関での早期受診
急に38℃以上の発熱が出て、全身の倦怠感があり、咳やのどの痛みを伴うとインフルエンザに感染している可能性があります。発症から48時間以内に抗インフルエンザウイルス薬の服用を開始すれば、発熱期間の短縮などの効果が期待できるので、早期に医療機関を受診します。子ども、高齢者、妊婦、持病のある人は、より早く受診する必要があります。また、以下の症状が見られる場合は、直ちに受診することが必要です。
- けいれんが起きている
- 呼びかけにこたえられない
- 呼吸が困難、速い、息切れする、苦しい
- 顔色が青白い
- おう吐や下痢、胸の痛みなどの症状が継続し、むしろ悪化してくる
2.安静と栄養価の高い食事
無理をしないで安静にします。体調が悪いと食欲がなくなり、おかゆだけを食べる人も多くなりますが、できるだけ卵や刻んだ野菜、魚などを加えて栄養価を高めた食事をするようにします。
3.脱水症状予防のための水分補給
インフルエンザによる高熱での発汗や下痢の症状があると水分が排出されて、脱水症状を起こしやすくなります。脱水状態になると回復の遅れや症状が悪化する可能性が高まり、特に小さな子どもや高齢者は意識障害を起こしやすいので水分補給が必要です。
4.飛沫感染予防のためにマスクの着用と無用な外出の回避
インフルエンザに感染したら外出を控え、外出するときは、他人に飛沫感染をさせないようにマスクの着用をします。
まとめ
インフルエンザは感染力が強く重症化すると子どもや高齢者は死亡するリスクが高まります。本記事を参考に正しい知識をしっかり持ち、予防頂くこと。感染後も早期回復できるようにしてください。
■出典・参照
東京都観戦情報センター インフルエンザの流行状況(東京都 2018-2019年シーズン)
厚生労働省 今般の新型インフルエンザ(A/H1N1)対策について