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ちょっと建築論:「免震構造」と「耐震構造」

time 2002/04/10

ちょっと建築論:「免震構造」と「耐震構造」
ちょっと建築論 by MOTO[一級建築士]  [編集長コラム]

「免震構造」と「耐震構造」

最近あちらこちらで「免震構造」・「耐震構造」という言葉を目にするあるいは耳に入るようになりましたが、両者について詳しくご存知の方は少ないと思います。
簡単にではありますが最初に説明をしておきたいと思います。

両者は同じような印象をわれわれに与えると思いますが(実際漢字一文字しか違ってませんので当たり前のところなのかもしれませんが、)、その間には大きな違いがあります。

「免震」とは、地震が起こった際、建物に伝わる地震力を建物そのものに伝える量を少なくする構造のものを言います。簡単に言うと建物と地盤が絶縁された構造になっているわけです。当然建物に伝わる地震力が少なくなれば、建物自体の揺れも少なくなり、また建物が耐えなければいけない力も少なくて済むわけです。机の上にミニカーを置いて机を揺らすようなものです。

対して「耐震」とは建物は従来どおり地面にしっかり固定されており、地震が起こった際はその力、揺れは建物にそのまま伝えられます。その際に耐えられるだけの強度を持った建物のことを言います。単純に建物の強さを求めたものです。

両者とも地震に対して安全性を求めた形のものでありますが、どちらが安全であるかという質問に対しての答えは難しいところのものです。

最近の傾向としては、前者に挙げた「免震」という構造のものが増えてきています。というのも、2000年6月に建築基準法において「免震構造」の規定が出来たからです。また、各大学においても免震構造についてさまざま研究がなされているわけですが、基本的な免震構造のメリットとしては、地震が起こった際建物に伝わる力・揺れが少なくて済むということにより、小・中規模の地震による建物の損傷を抑えることができること、人に与える恐怖心・パニックを抑えることができる、大規模な地震が起こった際建物内部の空間を確保することができる、というところが挙げられます。

対して懸念事項としては、「免震構造」はアイソレーターと呼ばれる部分とダンパーと呼ばれる部分により構成されているが、そのおのおのの部材に対する経年劣化、また免震構造は基本的には水平方向への力・揺れに対する構造であるため、鉛直方向に対する力・揺れの開放について、等が挙げられると思うが、当然各大学、企業において現在研究されて発表されています。

※この文章は一級建築士のMOTOさんからメルマガに寄稿されたものです。

<編集長 拝>

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