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KYB免震・制振装置性能検査記録データ改竄問題の雑感

time 2018/10/17

KYB免震・制振装置性能検査記録データ改竄問題の雑感

油圧機器メーカーKYBの免震・制振装置の性能検査記録データの改竄問題の雑感 [編集長コラム]

東証1部上場の油圧機器メーカーKYBの免震・制振装置の性能検査記録データの改竄問題。免震用は過去にKYBの装置を採用した全ての建物の約86%、制振用は全体の約23%でそれぞれ不正があったといい、全国のマンションや病院、事務所、庁舎など986件に及ぶという。
KYBの不正を受け、国交省は免震装置メーカー88社を対象に、検査データの改竄がなかったかどうかを一斉調査する方針だという。

さて、ここから余談。建築の素人の戯言です。

国交省によると、データ改竄されたオイルダンパーの免震性能は、国が許容する基準値から15%以上はずれているという。
ただ、基準値から最も大きく乖離したダンパーが使われた建物の安全性を検証した結果、震度6強から震度7程度の地震では倒壊する危険性はないという。

2005年に世間を騒がせた耐震強度偽装事件(構造計算書偽造問題)で、国の耐震基準に全くもって満たなかったヒューザーのマンション群も、その後の地震で倒壊したり傾いたりすることはなかった。

こういうニュースを聞くたびに比較するのは、地震などで揺れてもないのに自然に倒壊してしまった海外の建造物の事例だ。
それら海外の不正(?)事例と比べると、壊れない崩れない日本製は凄いですな、と本気で思ってしまうのだ。

もちろん、安全基準が設けられたものを、意図して数値をいじくって、お金を取ってお客さんに販売するのは、騙しているのと一緒で、詐欺行為、許せない行為である。
ただ、不正は不正としても、何十パーセントもデータを不正にいじっているにも関わらず、実質的な安全性は保っているというのは、製造業者として合格ラインなのだろうな、とか思わなくもないのである。

多くのメーカー製品には大抵バッファという、これ以上超えても大丈夫という、いわゆる余裕分が設けられているものだが、それが機能しているのだろうか、と想像する。
そして、建造物は、いろんなメーカーの部品やパーツを組み合わせて作られているのだから、実際にはそのパーツすべてが国の安全性基準を満たし、さらにプラスアルファで企業秘密な安全係数的なバッファが付加された製品が使われていると仮定してみる。

するとそれらを組み合わせた建造物の安全性は、基準よりも大きく頑強なものになっているのかもしれない。
つまり・・・日本の場合は、国で設けた基準自体がかなり厳しい数値であって、実際上に現場で求められている数値とはかなり乖離しているのでは、などと思ってしまうのだ。

偉い官僚さんと学者先生が定めた厳しい基準に「NO!(そこまでの基準は不要!コストパフォーマンスが悪くなるだけですよ)と言えない」メーカー担当者の悲哀すら、その裏に想像してしまうのであった。

さらに余談になるが、

記事には「別業務の社員が不正に気づき報告し発覚」とある。

そういう「世直し」な時代観にいるんだな。
きっと会社の人材の世代交代時期に突入しているんだな思う。昔の上司の置き土産の尻拭いなんてしたくない、というのもありそうだね。

《FYI》
国交省 > KYB(株)及びカヤバシステムマシナリー(株)が製造した免震・制振オイルダンパーの国土交通大臣認定への不適合(2018.10.16)
産経 > KYBデータ改竄 社長ら会見一問一答「組織が知っていたかは継続調査する」(2018.10.16)
産経 > KYBデータ改竄 不正の手口「脈々と」 改竄手法口頭で伝え、チェック体制も欠如(2018.10.16)
産経 > 免震装置986件で不正 KYBが検査データ改竄 全国のマンションや病院 国交省が一斉調査(2018.10.16)
KYB株式会社

<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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