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那須雪崩事故から考える「なだれ注意報」と意識のマンネリ化

time 2020/02/22

那須雪崩事故から考える「なだれ注意報」と意識のマンネリ化

日本が世界有数の積雪量を誇っているのはご存知でしょうか。
とくに北海道や東北地方、北陸地方は年間を通して降雪日が多く、北海道においては年間平均で1年の3分の1にあたる125日も雪が降るというデータがあります。

また、日本の国土の半分の地域が法律によって豪雪地帯と定められ、その地域の人口は2000万人にも上ります。
豪雪地帯に指定されていなかったとしても、年間を通して雪がほぼ降らない地域は沖縄だけになっており、雪に関しての防災は個々人で考えなければならない冬場の重要な問題の1つになります。

那須雪崩事故という悲劇

雪による災害はいくつもありますが、2017年3月27日に栃木県那須町にある那須温泉ファミリースキー場の近くで起こった、高校生を巻き込んだ雪崩事故を覚えている方は多いのではないでしょうか。
この雪崩によって、栃木県高等学校体育連盟主催の「春山安全登山講習会」に参加していた7名の高校生と1名の教員が亡くなり40名が負傷しましたが、宇都宮地方気象台は「なだれ注意報」を前日の午前から栃木県那須地域に出しており、注意を促していたという事実があります。

しかし、実施判断を下した1名の教諭は「雪の状態や過去の登山経験から、大丈夫だろうと考えた」と話しており、結果として尊い人命が失われるという悲劇に繋がりました。
2019年3月には実施判断を下した3名の教諭は業務上過失致死傷の容疑で書類送検され、今も捜査が行われており、2020年2月現在、結審されたという情報は入ってきておりません。

事故の背景にある正常性とマンネリ化

では、この事故は何故起きたのでしょうか。

検証委員会では、最終報告として今回の事故の要因を上図にまとめています。

難しい言い回しもありますが、要約すると「危ないという意識が現場になかった」「毎年大丈夫だから今年も問題ないだろうと県の教育委員会も思っていた」「経験だけで物事を判断しており判断を下すだけの根拠を持っていなかった」ということになります。
そして注目すべきはこの3つの背景として『関係者全体の「正常化の偏見(正常性バイアス)とマンネリズム(形骸化)」』を検証委員会が挙げていることです。
これも具体的には書かれていませんが、要約すると「雪山は慣れているから大丈夫」「自分はベテランだから大丈夫」「あの人が大丈夫と言っているから問題ない」などの安易な考えがあったということが言えるでしょう。

雪崩は自然災害であり、人間がコントロールすることはできません。そして昨日大丈夫だったから今日も大丈夫というわけにもいきません。
こういった危機管理意識は雪山を訪れる1人1人が持ち続けなければならないのではないでしょうか。

また、個人ではなく国の活動としてはこれらの自然災害を常に監視し続けており、この危険を報せるための方法として「警報」や「注意報」などを用いています。

なだれ注意報とは

那須の事故の前日にも発表された「なだれ注意報」ですが、なだれによる災害が発生するおそれがあると予想したときに発表されます。
驚くことに雪崩に関して発表されるのはこの「なだれ注意報」しかありません。他の災害であれば「大雨特別警報」や「波浪警報」などの「警報」があります。
警報は「重大な災害の警戒を呼びかけて行う予報」であり、注意報は「災害への注意を呼びかけて行う予報」となります。
少しわかりにくいですが、重大か、そうでないかの違いがあり、重要なのはどちらも「災害」に対しての呼びかけであるということです。

たかが注意報と考えるかもしれませんが、雪崩は注意報が最大の予報であり、注意報が出た時点で雪山に近づかないという認識を持つことが必要になるのではないでしょうか。
もしこの注意報を唯一信頼できる警告として受け取っていれば、那須の事故は起こっていなかったかもしれません。

まとめ

今回は那須で起こった痛ましい事故を基にどのような防災意識を持つ必要があるのか取り上げてきました。
スキーやスノーボードが好きな方などは雪山へ行くのが楽しみで仕方ないと思います。
安全に楽しむためにも危険には近づかず、「少しくらいいいだろう」という意識を捨て、雪は突然牙をむくということをしっかりと認識しておきましょう。
周りが発する「大丈夫だから」は危険信号かもしれませんので、十分に注意しましょう。

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