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ロンドンのタワーマンション火災を教訓に…マンションの防災を考える

time 2017/09/21

ロンドンのタワーマンション火災を教訓に…マンションの防災を考える

ロンドンで2017年6月14日深夜に発生したマンション火災。24階建て・高さ68メートルのタワーマンションは建物全体が炎に包まれ、多くの死傷者が出る惨事となりました。この火災をきっかけとして、世界中でタワーマンションの安全性に対する関心が高まっており、日本国内でもタワーマンションの防火設備・体制を点検する動きが広がっています。

ロンドン火災の概要と日本のマンション防災について

ロンドンで起きたマンション火災では、消防車40台以上・消防士約200人が動員されましたが、高層階での消火活動が進まず大きな被害につながりました。

火災が起きたタワーマンションは1974年に建てられたもので120室、400~600人ほどの人が入居していたとされています。

出火の原因については捜査中ですが、地元メディアでは4階での爆発が火災の原因と報道しており、低層階から出た火がマンション全体に広がったと考えられています。
このマンションでは火災が起きる前年に、総額で1,000万ポンド近い費用を投じて大規模な改修工事が完了したばかりでした。

改修工事では、換気機能の付いた外装材やカーテンウォール、排煙換気システム、新しい暖房システムなどが導入されました。工事を請け負った業者は、建築・防火基準などの基準を満たしていると説明しているそうです。しかし短時間で火がマンション全体に燃え広がったことから、実際にどのような工事が行われたのか調査を求める声もあります。さらに出火当時、マンションの防火設備が作動していなかったという指摘もあり、複数の要素が作用して大惨事に至った可能性が考えられます。

日本国内にもタワーマンションが多数ありますが、防火対策はどのようになっているのでしょうか。日本経済新聞の取材に応じた東京理科大の小林恭一教授によると、ロンドン火災では可燃性の断熱材が使われていた可能性があり、日本ではこうした断熱材は普及していないとのことです。

また、消防法の規定により、高さが31メートルを超える建物については、11階以上にスプリンクラーを設置する必要があるほか、一定の基準を満たす建築物については、建築基準法により防火区画の設置が義務付けられており、火災が起きても燃え広がりにくい工夫が施されています。これらのことから、日本国内ではロンドン火災のような大規模火災の恐れは少ないと考えられるでしょう。ただし、はしご車の届く高さは30メートル程度のため、スプリンクラーで防げない自体が起きた場合は、消火や救助が困難になる可能性も指摘されています。

防火設備の点検については、マンションによって事情が異なる可能性があります。このケースをきっかけに、居住するマンションの防火設備や避難体制について見直してみるとよいかもしれません。

防災格言

「災害は深夜に起こりやすく、人間活動の弱点を突いてくるから始末が悪い」
「『自分の所だけは大丈夫だ』と勝手に思い始めても困る。これは、だれにもある『正常化の偏見』と呼ばれる災害時の困った心理である」。
宮澤清治(1923~2011 / 気象学者・気象解説者)

長野県出身の宮澤氏は、現在の気象大学校を経て気象庁に勤務し、福岡管区気象台予報課長となった人です。豪雪のメカニズムを解明して運輸大臣表彰を受けたほか、気象知識を広く浸透させたことで1996年には岡田賞も受賞されています。NHKテレビやラジオでは気象情報を担当しお茶の間でも親しまれました。

『宮沢清治のウェザーボックス』『現代の気象テクノロジー 3 防災と気象 気象災害を防ぐには』『近・現代 日本気象災害史(1999年 イカロス出版)』など、気象に関する著作も豊富です。格言は『近・現代 日本気象災害史(1999年 イカロス出版)』のあとがきに記されたものです。この著作のなかでは、明治時代以降の気象災害について事例ごとに分析と解説が行われており、過去の災害事例を通して生み出された格言は、私たちが災害に対してどのように向き合うかについての心がけを示してくれます。ロンドンのタワーマンション火災も深夜に起こりました。就寝中で逃げられなかった人も多くいたそうです。

この格言を一人ひとりが受けとめ、いつ災害が起きても困らない心構えをしておくことで、被害を最小限にくい止められるといえるでしょう。

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