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関東大震災や伊勢湾台風から生まれた防災標語「地震だ、火を消せ」の勘違い~それって本当に正しいの?~

time 2020/01/30

関東大震災や伊勢湾台風から生まれた防災標語「地震だ、火を消せ」の勘違い~それって本当に正しいの?~

島国である日本は、その地理的要因により多くの災害に見舞われてきました。
とくに、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの地震を原因とした災害を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
しかし、近年では台風として初の特定非常災害に指定された“令和元年台風第19号”のような、大雨や暴風で甚大な被害をもたらす台風被害も深刻化してきています。
このように日に日に脅威を増していく災害に備えるべく定められているのが、「災害の記念日」です。
たとえば、前述した阪神・淡路大震災や東日本大震災などの災害が発生した日にちを記念日とすることで、過去の教訓を学び次なる災害に備えるということを目的としています。
そのような災害の記念日のなかでも広く知られているものが「防災の日」になります。
これは、関東大震災が起こった1923年9月1日に由来しているもので、同じく甚大な被害をもたらした “伊勢湾台風”(1959年9月1日に発生)による被害があった翌年の1960年に記念日として定められました。
今年2019年9月1日も防災の日には、全国各地で多くのセミナーやイベントが開かれ災害への備える動きがみられました。
また、1982年以降は防災の日を含む、8月30日~9月5日の前後一週間を防災週間としています。

台風被害と防災標語

実は、防災週間が定められている9月は、日本に上陸する台風が一年を通じて最も多い月でもあります。

日本への台風接近数(2012年~2019年)

気象庁ホームページ「台風の統計資料」より抜粋
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年間
2019 1 2 3 5 4 1 15
2018 2 4 7 2 2 1 16
2017 4 2 2 2 8
2016 1 5 4 1 11
2015 2 3 4 4 1 14
2014 2 3 2 3 2 1 12
2013 2 1 2 4 6 14
2012 1 3 3 6 3 4 17
0 0 0 0 3 10 21 31 27 21 4 0 107

 

日本への台風上陸数(2012年~2019年)

気象庁ホームページ「台風の統計資料」より抜粋
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年間
2019 1 2 1 1 5
2018 1 2 2 5
2017 1 1 1 1 4
2016 4 2 6
2015 2 1 1 4
2014 1 1 2 4
2013 2 2
2012 1 1 2
0 0 0 0 0 1 6 11 10 4 0 0 32

上記のグラフは、気象庁の「統計情報」から台風の接近数と上陸数を抜粋したものです。
これを見てみると防災週間となる8月から9月にかけて、台風が集中していることが一目でわかります。
とくに、近年では勢力の強い台風が甚大な被害を残していることが多く、防災の日の直後である2019年10月12日には前述した“令和元年台風第19号”が上陸し、各地で大きな爪痕を残していきました。
これらのことからもわかるように、いまや日本では地震だけでない多くの災害に備えることが必要とされているのです。
では、具体的にどのように災害に備えればよいのでしょうか?
ニュースや新聞などでは多くの情報が載っていますが、いざというときには幅広い世代で常識とされている“防災標語”を信じた行動をとろうと考えている人も多いのではないでしょうか。
そのなかでも有名なものとして挙げられるのが「地震だ、火を消せ」という防災標語です。
これは、1923年9月1日に発生した関東大震災で、およそ10万人以上といわれている犠牲者の8割が火災により命を落としていることから語り継がれているものです。
この「地震だ、火を消せ」という防災標語は一見すると常識のように感じてしまいますが、本当に正しいのでしょうか。

まずは、“身の安全を第一に”

実は、現在の常識としては「火の始末は揺れが収まってから行う」ことが正しいとされています。
たとえば、1993年1月15日に発生した釧路沖地震では、焚かれていたストーブの火をあわてて消そうとし、ストーブの上のヤカンの熱湯を浴びた多くの人が火傷を負いました。
また、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震も同じように、火を消そうとして、怪我をしたケースが相次ぎました。
そのため現在では、「身の安全を最優先に行動する」ことが正しいとされており、安全な空間に身を寄せ、揺れが収まるまで様子を見ることが、火を消すことよりも優先すべきとされています。
また、「ガスの元栓を締める」ことについても同様で、危険を冒してまで元栓を締めに行く必要はありません。
なぜなら、現在の都市ガスやプロパンガスは震度5程度の揺れを感知すると、ガスの供給を自動で遮断するように設定されているからです。
同じように石油ストーブなども耐震自動消火装置を備えたものが普及しているため、使用中の火器から出火するという危険性は低くなっています。
万が一出火した場合でも、落ち着いて対応することで揺れが収まった後からでも十分に消火することができます。
慌てて火を消そうとする行為は怪我のリスクを高めることにもなり、怪我をした場合にはその後の避難行動などにも支障をきたすことも考えられるため、身の安全を第一とした行動が求められているのです。

まとめ

初めは小火だったものが、やがて大火となり、次々に燃え広がって東京を焼き尽くした関東大震災の教訓のように「災害時の火の始末」は、さらなる被害拡大を防ぐという常識的な心掛けとして、私たちが災害時に取るべき正しい行動の1つでもあります。
だからと言って、あわてて火を消そうと行動したがために怪我をしたのでは目も当てられません。
一方で、多くの災害に見舞われる日本で暮らしていくうえで、「地震だ、火を消せ」のように言葉だけが独り歩きし、本来の意味が伝わらない防災標語もあるということを知ることも大事なことなのです。
今回触れたこと以外の、「水害時は長靴避難」「火災発生時は煙に関係なく低い姿勢で逃げる」なども言葉だけを鵜呑みにせずに臨機応変に知識を活用できることが望ましいと言えるでしょう。日頃から自発的に防災に関する正しい知識を身につけるという意識をもち、いざというときのために備えておきましょう。

 

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