世界中を見ても日本は鉄道網が非常に発達しており、とりわけ路線数や新線・延伸計画が多いのが首都圏です。とくに、東京都心では地下鉄の新構想も持ち上がっており、郊外路線で事業化が予定されている区間も多くあります。
たとえば、羽田空港アクセス線や東京メトロ豊住線などの鉄道新線計画や、東京の臨海部~銀座~東京駅を結ぶ地下鉄構想なども持ち上がっており、将来的にも地下鉄を活用する動きは活発化していくと思われます。
地下鉄は便利な一方で、地下トンネルという閉鎖的な空間を通っているため災害に遭遇したときの危険性についても常日頃から考えておく必要があります。
都内で働いている方や学生など、普段から地下鉄を利用している方のほうが電車に乗っている際に地震などの災害に遭う可能性は高いと言えますが、地方在住者にとっても関係のない話ではありません。
出張や旅行などで首都圏を訪れている人も多く、その際に地下鉄を利用する可能性は十分に考えることができます。
そこで今回は、地下鉄を利用しているときに被災してしまったとき、どのような対策ができるのか?ということについて、地震や火災、洪水による浸水に着目して考えていきたいと思います。
地震への対策
地震が発生したとき
もし、地下鉄に乗っているときに地震の揺れを感じたら、もしくは揺れを感知した車両が緊急停止した場合は、安全の確保が最優先されます。
ホームにいる場合は、線路に落下しないよう注意し、照明や外壁などの落下物にも警戒する必要があります。
また、車内にいる場合はしっかりと手すりや吊り革に掴まり、荷物や照明などの落下物にも注意してください。
地震の発生後
地震に遭遇したときに身の安全を確保できた場合でも、地下という特殊な環境下では油断をしてはいけません。ホームにいる場合には駅員の誘導に従い、押し合ったりせずに落ち着いて行動することが求められます。また、車内にいる場合についても外に飛び出さずに、車内放送を聞いてから行動しなければなりません。
地下鉄の駅やトンネルなどの施設の多くは、大きな地震にも耐えられる構造をもっています。都営地下鉄の場合では、阪神・淡路大震災と同規模の地震でも安全が確保されるよう設計されています。地震の震度に応じて運転再開も見込まれるため慌てずにアナウンスを待ちましょう。
火災への対策
火災が発生したとき
地下鉄での火災は地下空間という特殊な環境で起こるため、屋外での火災と比較しても冷静な行動が必要となります。
ホームにいる場合には火元から離れ、火災報知機を鳴らすことが大切です。車内にいる際には安全な車両に移り、備え付けられているインターフォンで通報してください。
何よりも火災が起きているという事実を伝えることが消火活動や避難行動に影響を及ぼすため、身の安全を確保しながらも早急に事態を知らせることが重要です。
火災の発生後
しっかりと火災の情報に耳を傾けて行動しなければなりません。
ホームにいる場合は、押し合うことなく駅員の誘導に従って避難行動をとってください。
また、車内にいる場合でもむやみに外に出ずに、車内放送を聞いたうえで行動をとるように心がけましょう。
地下鉄の駅施設は国の基準を満たした不燃性・難燃性の材料が使用されています。
また、自動火災報知機やスプリンクラーなどの設置も進んでいるため、個人で消火活動は行わずに避難を最優先してください。
浸水への対策
地下鉄は地面よりも下に位置しているため、大雨などが降った場合には雨水が進入してくることもあります。
そのため、浸水防止計画として各鉄道会社では浸水防止機や止水板、防水扉などの設置が進んでいます。また、地下鉄から地上までの避難計画を策定するなど、円滑・迅速に避難誘導が行えるように備えられているため、有事の際には避難誘導に冷静に従うことが大切です。
参考資料:国土交通省「地下街等における連携した避難確保・浸水防止計画の作成」
まとめ
私たちの生活にとって便利な地下鉄は多様な災害に備えて設計してあり、安全と言われています。
ただ、地下鉄トンネル内に避難口がないということが問題点として指摘されているのも事実です。トンネル内には最寄り駅への方角と距離が書かれたプレートが設置されていますので、万が一の際は徒歩でホームを目指すことになります。
どのような状況下であっても、慌てずに駅員の誘導やアナウンスに従うことが何よりも重要です。
そのためには日頃から地下災害への備えを意識し、有事の際には避難誘導に従うように心がけましょう。