この土日、本牧(神奈川県横浜市中区本牧)を歩いていましたら、白木蓮 (はくもくれん)の花が美しく咲いていました。
…毎日が暖かく、テレビでは桜の開花が話題にのぼり、すっかり春の到来を感じる季節になって参りましたね。
さて、
冬は、遠くの景色まで綺麗に眺められますが、春になると、遠くの景色がなんだかぼんやりとしてきます。
まるで薄雲がかかったような景色になることがありますが、このような状態を「春霞(はるかすみ)」と呼びます。
春になって気温が暖かくなり草木が芽吹いてくると、植物の蒸散が活発となって、大気中の水蒸気の量が増えます。
そこに花粉や、チリや埃、そして、中国大陸から偏西風に乗った黄砂などがあわさって、遠くの景色がぼんやりと霞んで見えるのだそうです。
そして、「霞(かすみ)」という現象はとても風流です。
太陽がでている日中にはこの現象を「霞(かすみ)」と呼んでいますが夜になると同じ現象なのに古来から「朧(おぼろ)」と呼び名を変えて表現します。
千年昔の平安絵巻「伊勢物語」や「源氏物語」にも朧月夜が登場します。
春の夜に月が、ほのかに霞んでいる情景を「朧月夜(おぼろづきよ)」と呼び、朧月は、春霞と同じく春の季語にもなっています。
春なれや 名もなき山の 薄霞(松尾芭蕉)
花の顔に 晴れうてしてや 朧月(松尾芭蕉)
季節感を素直に詠んでいる芭蕉は良いですね。