丹羽安喜子（1892〜1960 / 歌人 与謝野鉄幹・晶子の愛弟子）が室戸台風(1934年)の高潮災害の時に遺した名言 [今週の防災格言453]

『 波五寸減りしと云ひて満潮の時を過ぎぬと云ひて喜ぶ 』

丹羽安喜子（1892～1960 / 歌人 与謝野鉄幹・晶子の愛弟子）

格言は歌集「芦屋より（昭和11年）」豪雨篇より。

昭和9（1934）年9月21日朝、安喜子は台風による高潮災害に遭遇する。

記録的な最低気圧（911.6hPa）と最大瞬間風速（秒速65メートル）が観測された台風は、後に「室戸台風」と呼ばれた。猛烈な風により建物の倒壊が多発、大阪湾では高潮が発生し、大阪、兵庫、京都を中心に三千人以上が亡くなる歴史的な大災害となった。

丹羽安喜子（にわ あきこ）は、歌人・与謝野晶子（1878〜1942）の愛弟子として知られる人物。
三重県津市生まれ。明治38（1905）年、東京府立第三高等女学校を卒業し、明治42（1909）年に丹羽俊彦（1886〜1971 / 関西学院財務部長・歌人）と結婚。結婚後に夫の趣味だった文学に興味を持つようになったという。
大正6（1917）年頃に、与謝野鉄幹が創設した東京新詩社に入り、大正8（1919）年5月から社友だった与謝野晶子が丹羽安喜子の歌の添削を請け負うという師弟関係が始まる。昭和5（1930）年頃までには与謝野鉄幹・晶子夫妻の愛弟子として家族同様の親しい関係となった。昭和11（1936）年に初の歌集「芦屋より」を上梓。翌昭和12（1937）年に関西の友人らと紫絃社を起こし、昭和15（1940）年に芦屋短歌会を創立。昭和19（1944）年、第二歌集「低唱」を出版。昭和35（1960）年8月に68歳で死去。

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2024.04.19

与謝野晶子（1878～1942 / 歌人）が東京で体験したスペイン風邪（新型インフルエン...

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『 私は今、この生命の不安な流行病の時節に、何よりも人事を尽して天命を待とうと思います。人事を尽すことが人生の目的でなければなりません。 』　与謝野晶子（1878～1942 / 歌人 浪漫主義女流作家の第一人者）　今から100年前、大海原を最も速く渡る手段が蒸気船で、海を越えて飛ぶような航空機もない時代。1918（大正7）年から1920（大正9）年までの約2年間、新型ウイルスによるパンデミックが発生した。1918（大正7）年春にアメリカで発生したスペイン風邪（新型インフルエンザH1N1型）は、わずか数か月で地球をひと巡りし、1920...

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2024.04.19

角田浩々歌客が『理趣情景』に記した格言(文芸評論家)[今週の防災格言235]

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『 平和は欣（よろこ）ぶべし 安静は喜ぶべし、されど葛藤苦悶を經（へ）ざるの平和、艱難辛酸（かんなんしんさん）を味はざりし安静は、喜ぶべからずして寧（むし）ろ之（これ）を弔（とむら）ふべし。 』角田浩々歌客（1869〜1916 / 明治・大正期の新聞記者 評論家 詩人）格言は著書『理趣情景（1905年）』の中の『冥想片々（一）憂無き人最も憫（あわれ）むべし』より。角田浩々歌客（かくだ こうこうかきゃく / 本名：角田勤一郎 別号は伊吹郊人・剣南子・剣南道士・不二行者など）は、明治時代に主に大阪を中心に活躍した文藝評論...

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2024.04.19

水上滝太郎が関東大震災の時に遺した格言（小説家）[今週の防災格言396]

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『 天変地異の暴威の前に、小賢しい人間の力は、在（あ）って無きが如きものに感じられた。けれども、此（こ）の意気地のない心持は、存外長くは続かず、日を経るに従って、人間の力が蘇生（そせい）して来た。 』水上滝太郎（1887〜1940 / 小説家・劇作家・実業家 代表作「大阪」）格言は「所感」（1923年10月21日）より。（著書「貝殻追放（東光閣書店 1925年）」集録）親戚ら十数人と鎌倉由比ガ浜の別荘地で過ごしていた時、関東大震災の地震と津波に遭遇する。家は倒壊し、親類の18歳になる娘が逃げ遅れ下敷きとなるが、奇跡的に無...

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戸川秋骨が著書『活動論』に書き記した格言（随筆家）[今週の防災格言426]

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『 宇宙は無限なり、造化（ぞうか）は万古（ばんこ）依然（いぜん）たり、只（ただ）之（これ）に対する人の観想（かんそう）の異（ことな）るのみ。 』戸川秋骨（1870〜1939 / 英文学者・随筆家 慶應義塾大学教授）格言は著書「活動論」（明治27年）より。曰く―――人の接し方、見方により、造化（=大自然）はさまざまにその形や姿を変えて現れる。戸川秋骨（とがわ しゅうこつ）は、明治から昭和にかけ活躍した英文学者であり翻訳家、そして名評論家、ユーモアあふれる随筆家としても知られる人物。随筆家・戸川エマ（1911〜1986）は秋...

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寺田寅彦（1878～1935 / 物理学者 随筆家 俳人）が室戸台風（昭和9年）を契機に遺...

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『 文明がすすむほど天災による損害の程度も累進する傾向があるという事実を充分に自覚して、そして平生からそれに対する防護策を講じなければならないはずである 』寺田寅彦（1878～1935 / 物理学者 随筆家 俳人）京阪神で死者3千人以上をだす昭和9（1934）年9月の室戸台風後に物理学者の寺田寅彦（てらだ とらひこ）は『天災と国防』（経済往来 昭和9年11月）という随筆を残している。寅彦が、関東大震災（大正12（1923）年）で横浜から鎌倉までの被害状況を視察したときに、丘陵のふもとの古い家屋が平気だったのに対して、田んぼの...

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2024.04.19

寺田寅彦が室戸台風（昭和9年9月）直後に書いた随筆『天災と国防』から、現代都市...

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『 文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増す。 』　寺田寅彦（1878～1935 / 物理学者 随筆家 俳人）　昭和9年（1934年）9月21日午前5時頃、高知県室戸岬に巨大台風が上陸した。上陸時の気圧は、911.6ヘクトパスカルで、当時の世界最低気圧記録を更新した。大阪では最大瞬間風速秒速60メートルの暴風が襲い、わずか10分間に大阪湾の水位は2メートルも上昇する高潮が発生した。明治以降の都市開発などによる地盤沈下もあって、海水は大阪城付近にまで達し、湾の一帯では急な水位の上昇に避難が間に合わなかった千...

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2024.04.19

加々美武夫（1890～1936 / 室戸台風（1934年9月21日）時の大阪市助役・大阪市長(第...

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『 既往（きおう）を懐（おも）うは将来を警（いま）しむるの喩（たと）へ、今回（※室戸台風）の風水禍により都市の文化的施設は天災に対し如何に無力なるものなりしかを如実に痛感せしめ、我等都市行政に携わるものをして災害に対する防衛の強化を示唆して余りあり。 』　加々美武夫（1890～1936 / 警察官僚・内務省内務書記官 大阪市長(第8代)）　格言は「大阪市風水害誌」（昭和10年5月）序より。曰く―――。《 惟（おも）うに古来天災地殃（てんさいちおう）尠（すくな）からずと雖（いえど）も、今回突如として関西一帯を襲いたる台...

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2024.04.19

藤原咲平（1884～1950 / 気象学者 中央気象台長 東京大学理学部教授）が著書『天気...

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『 我国は天災国である。 』藤原咲平（1884～1950 / 気象学者 中央気象台長 東京大学理学部教授）藤原咲平（ふじわら さくへい）は、日本気象学の草分けとして知られる地球物理学者の一人で「お天気博士」として親しまれた人物。2つの台風が接近し相互作用する「藤原の効果」を提唱したり、気象学・地震学分野の「渦動論」で世界的に知られている。長野県上諏訪町（現諏訪市）生まれ。明治42（1909）年、東京帝国大学理科大学理論物理学科を卒業し、明治44（1911）年、中央気象台（現気象庁）に入り天気予報の研究などを行う。大正10（...

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